性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

絵巻物の表現力

2011年01月04日 06時29分22秒 | Weblog

本日から営業開始です。
関東版次号の進行があって、年明け早々、いろいろ作業が山積です。
頑張らなくっちゃ、であります。

なんですが、ブログの方では
もうちょっと正月っぽく、歴史物系のおはなし世界に浸っていたい。
きのうのブログも「歴史民俗博物館」の発行物などを巡って
展開いたしましたが、
ここは本当に面白いことをやっていると思います。
日本の民俗学は柳田国男さんが先駆者であり、
歴史の中の生活の側面を生き生きとよみがえらせようという態度は
司馬遼太郎さんの歴史「取材」的態度とも繋がると思っています。
一昨年には、「日本建築は特異なのか」という企画特集をやっておりまして
日中韓3国の比較建築文化論を展開しておりました。
建築文化が、王宮建築・宗教建築・住宅
という3つに大きくカテゴリーが別れるのだ、というのも
この企画で知った次第。
江戸城はいま、皇居が置かれているけれど王宮建築とは呼べず
あれは、住宅の大なるものであるというのですね。
わたしのような建築門外漢で、住宅が大きなテーマになったような立場の人間にとって
この歴史民俗博物館のスタンスや立場は、本当に参考になる。
千葉県佐倉市という、なかなか行くのも大変な場所にあるわけですが、
ときどき見に行く機会を作っております。

で、展示では絵巻物とか
なるべく庶民の姿が見えるような展示が工夫されている。
そう、「絵巻物」なんかが多いんですね。
これが大好きなんです。うれしくなってしまう。
日本人って、筆での人物描写力がいい。
今日のマンガ文化に通底するような表現力世界を見せてくれている。
鳥獣戯画というような古典も、われわれの文化では持っているわけですが、
市井の雰囲気がいきいきと描き出されていて、
そのやさしい目線にうっとりさせられる。
なんというか、縄文の作品が持っている表現力が
筆を執って、平面的に表現されるとこんな風に展開するのではないかと
そんなアナロジーを感じざるを得ません。
非常に写術的でいながら、デフォルメがやわらかい、とも言える。
きっと筆と墨という媒体が、こういう表現力に繋がっているのではないでしょうか。
まぁなんとも味わいが深くて、
こういう絵巻物の類の表現をたくさん集めたい、見たいと思ってしまいます。
記録文書をはるかに超えて、民衆の感覚とか思いとかが
「そうだったのか」とストレートに伝わってくると思います。
日本民族のこういう絵巻物総アーカイブ、デジタル形式で
文化庁あたり、企画してくれないでしょうかね。
おおむねは、というか全部、著作権保護の存在しない作品ばかりであり、
そしてなにより日本民族の感受性を余すところなく伝えてくれるものばかりです。
ぜひほしいなぁと思っております。
現状では、バラバラに存在しているので、わかりにくくなっています。
こういう税金の使い方なら、大歓迎です(笑)。
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