<<Ep1~4総括(2週目)>>
★棋譜の重ね合わせ
Ep1~4それぞれで誰が共犯者なのかを検討したが、それをまとめると下表のようになる。
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Ep1 |
Ep2 |
Ep3 |
Ep4 |
蔵臼 |
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絵羽 |
共犯者 |
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留弗夫 |
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共犯者 |
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楼座 |
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共犯者 |
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朱志香 |
共犯者 |
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譲治 |
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戦人 |
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真里亞 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
夏妃 |
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秀吉 |
共犯者 |
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霧江 |
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共犯者 |
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南條 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
源次 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
熊沢 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
郷田 |
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共犯者 |
共犯者 |
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*共犯者:確定で共犯者
*共犯者:共犯者疑い
この表を踏まえたうえで、各人物について考察してみる。
★駒の動き
○四兄弟とその配偶者(蔵臼、絵羽、留弗夫、楼座、夏妃、秀吉、霧江)
Ep1では絵羽と秀吉、Ep2では楼座、Ep3では留弗夫と霧江が共犯者で、Ep4でも真犯人が絵羽、留弗夫、楼座のいずれかを共犯に誘っているが、蔵臼から金を引っ張る計画が成功しそうになったため、その誘いに乗らず、例外的に四兄弟とその配偶者のなかに共犯者はいないと考察した。
これは、真犯人はゲーム盤毎に、四兄弟のうちだれか一人をランダムに共犯者に選んでいるという結論を前提にすすめた考察ではあるが、それで矛盾は生じていない。
彼らが共犯者となる動機だが、経済的に窮している絵羽、留弗夫、楼座、秀吉には動機があることはすでに示されている。霧江も留弗夫には協力するだろうし、蔵臼の財政状況も火の車であるので、蔵臼にも動機があり、夏妃は蔵臼に協力するだろう。
改めて結論付けると、真犯人はゲーム盤毎に、四兄弟のうちだれか一人をランダムに共犯者に選んでおり、その配偶者も共犯者となる。ただし、蔵臼から金を引っ張る計画が成功しそうになると、共犯の誘いには乗らず、共犯者とならない。四兄弟とその配偶者はこのルールに従って動く。
従って、Ep1でも確定で、絵羽と秀吉は共犯者であると主張する。
○真里亞、南條、源次
この三人はEp1~4全てを通して共犯者疑いであり、しかも共犯者であることが確定しているEpが存在する。従って、真里亞、南條、源次は碑文殺人の計画にもとより組み込まれた共犯者であり、全Epにおいて真犯人の共犯者であると主張する。
真里亞は黄金郷に行きたいといつも口にしている。紗音の動機は、碑文に沿った殺人を完遂して儀式を成就し、黄金郷に行き、全ての恋を成就させることであるので、真里亞と紗音の利害は一致する。紗音はベアトリーチェ本人であり、真里亞はそのベアトリーチェを妄信している。しかも、さくたろうの死により黒き魔法の使い手になってしまっているので、真里亞は積極的な共犯者となりうる。証言によって、幻想の人物をあたかも実在の人物であるかのように六軒島の一同に信じさせるのが、真里亞の主な役目。
南條には病弱の孫が居る。そのためにもしかしたら大金を必要としていたのかもしれない。少なくとも、南條は死にたくないと強く思っているので、脅迫すればその動きをコントロールできる。例えば、南條の目の前で十七を殺して見せるとか…。嘘の検死をするのが、南條の主な役目。
源次は金蔵の親友であり、忠実な家具である。なので、源次は金蔵の指示には忠実に従うのは論を待たない。しかし、金蔵はすでに死んでいる。では今源次は誰に仕えているか、それはもちろん金蔵の後継者である。その後継者は蔵臼ではない。源次は蔵臼と夏妃に対し強い憤りを抱いている。それよりも、紗音は黄金の所有者であるので、おそらく碑文の謎を解いて黄金を手に入れたのであろうから、彼女の方が金蔵の後継者にふさわしい。紗音は金蔵の後継者である。だから、源次は金蔵の後継者である紗音が望むなら、忠実な共犯者となる。遺体の運搬など、殺人そのもの以外の雑事を行うのは源次であろうし、自分が黄金の正当な所有者であると納得させ、生贄の行動をコントロールするには源次が忠実に従う姿を見せるのはとても有効であろう。
○熊沢
熊沢はEp1~4全てを通して共犯者疑いでありながら、どうしてもその確定が得られない最も判断に困る人物である。
とはいえ、確定が得られない以上は、熊沢は共犯者ではないと判断せざるを得ない。熊沢は、紗音の演出を手伝うために右代宮家一同の前で堂々と嘘を口にできる人物であるため常に怪しく見えるが、それは、紗音に狂言殺人だと思い込まされているから協力しているのであって、もし、本当に殺人事件であると気付けば紗音を告発する可能性もある。そうならないように、熊沢は常に現場から一歩引いた位置に追いやられている。
○郷田
郷田は、自分の料理人としての立場が保証されない限り、犯罪行為には加担しない。Ep2とEp3では共犯者である可能性は指摘しているが、わざわざ共犯者とみなす必要はないであろう。郷田は共犯者ではない。郷田が偽証者であるときは、黄金をちらつかされて狂言殺人に協力しているつもりの狂言者ということで問題ないだろう。
○朱志香
朱志香はEp1でのみ共犯者である。共犯者ではあるが、犯人が紗音であるとわかったうえでそれを口に出さないだけの消極的な共犯者である。
朱志香が共犯者になるのはEp1だけなので、朱志香は、もともとは共犯者ではない。だが、朱志香は紗音が嘉音に変装していることを知っているという情報のアドバンテージがあるので、碑文殺人の進め方如何では犯人が紗音だとわかってしまう。そのとき、もし朱志香が両親に対する尊敬の念を残していれば犯人を告発する可能性が高いが、両親が金の亡者っぷりをさらしてしまっていた場合、朱志香は殺人計画に協力的になり、共犯者となる。
○譲治、戦人
Ep1~4ではこの二人を共犯者と疑う理由はなし。
以上をまとめると、下表のように修正される。
2週目Ep5以降の推理はこれに基づいて進めていきます。
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Ep1 |
Ep2 |
Ep3 |
Ep4 |
蔵臼 |
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絵羽 |
共犯者 |
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留弗夫 |
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共犯者 |
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楼座 |
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共犯者 |
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朱志香 |
共犯者 |
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譲治 |
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戦人 |
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真里亞 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
夏妃 |
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秀吉 |
共犯者 |
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霧江 |
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共犯者 |
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南條 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
源次 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
共犯者 |
熊沢 |
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郷田 |
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*共犯者:確定で共犯者
★碑文殺人の成立
Ep4では遺体に正しく杭が打ち込まれておらず、碑文殺人は成立していない。Ep4は、イレギュラーな事態に対応して急ごしらえながら何とか碑文殺人を成立させようとしたものの、結局失敗に終わったパターンである。
Ep3では第二の晩の前に紗音はイレギュラーの殺人者Xに殺されてしまうので、真犯人による碑文殺人はその時点で成立できなくなる。
Ep1、Ep2は碑文殺人が完遂されているかのように見える。しかし、本当にそうなのだろうか。
Ep1第一の晩では紗音は死んだふりをしていたわけだから、本当の犠牲者の数は五人であり、“鍵の選びし六人”には不足している。第五の晩も嘉音(紗音)は殺されていないし、死んでもいないので、“胸を抉りて殺せ”を実行できていない。
Ep2第二の晩では、朱志香は嘉音本人であるから、“嘉音はこの部屋で殺された”を満たしているが、実際に殺されたのは朱志香ただ一人だけであり、果たしてこれを“寄り添う二人を引き裂”いたと言えるのだろうか。
Ep3も第一の晩まではちゃんと碑文に沿っているように見えるが、それは紗音がイレギュラーの殺人者Xに殺されたから結果的に“金蔵、源次、紗音、嘉音、郷田、熊沢の6人は死亡している!”を満たし“鍵の選びし六人”がそろった形になっただけで、本来の計画なら紗音は殺される予定ではなかったので、やはり一人生贄が足りなかったはずだ。
上記のように、紗音は、紗音自身の視点では必ずしも碑文に忠実ではない。紗音が、困難な連続殺人を遂行するために碑文の見立てを単なるカモフラージュとして利用しているのであればそれでも良いのだが、あくまで紗音の動機は、碑文に沿った殺人を完遂して儀式を成就し、黄金郷に行き、全ての恋を成就させることであるから、碑文に忠実に沿って計画を進めることは何よりも優先されるはずだ。これは矛盾が生じているのではないか?
これを説明するために、紗音としての動機だけでなく、黒幕ベアトリーチェとしての動機も考慮に入れてみる。黒幕のベアトリーチェの動機は戦人の罪にある。そしてその戦人がどのEpでも必ず終盤まで生存することを考えると、黒幕ベアトリーチェ、すなわち紗音には、碑文殺人を戦人に見せつけようとする意図がうかがえる。であるならば、紗音は、六軒島世界の戦人視点で碑文に忠実に沿っているように見えることが、碑文殺人が成立する条件であるとしているのではないだろうか。この条件ならばEp1、Ep3は問題なく成立していると言える。問題はEp2第二の晩だ。
Ep2第二の晩は、戦人には、朱志香が殺され、嘉音が行方不明になっているように見える。他のEpでは必ず二人並んで死んでいるのと比べると、第二の晩として成立しているのか疑問だ。だが、そもそも、第二の晩で必ず二人を殺す必要があるのだろうか。
第二の晩は“寄り添う二人を引き裂け”であるが、本来の暗号としての解釈は、連続する二文字の間にスペースを置くことであり、文字を消すわけではない。そう考えるとEp1第二の晩などは、絵羽と秀吉の遺体は同室に残されていたので、むしろこちらのほうが“引き裂”いたとは言い難い。要するに、“寄り添う二人を引き裂け”という言葉を紗音は、かなり広く解釈して融通を利かせている。殺すという形で“引き裂”いても良いし、距離を引き離すという意味で“引き裂”いても良い。もしかしたら、夫婦の一方だけを殺すことで“引き裂”いたという解釈もできるのかもしれない。
そこでEp2第二の晩に戻るが、第二の晩の犠牲者を朱志香と“嘉音”に決めたとき、“嘉音”の遺体は残せないので、どうしても“朱志香が殺され、嘉音が行方不明になっている”という形にせざるを得ないのが問題となる。行方不明の人間にはどうしても犯人の容疑がかかってしまうが、犯人は“引き裂”く側なので、嘉音が犯人だと思われては、戦人視点で碑文に忠実に沿っているようには見えなくなり、碑文殺人が成立しなくなる。戦人が、嘉音は犯人ではありえないと思ってくれさえすれば、嘉音が犯人でないなら殺されていようがいまいが、犯人の手によって嘉音が朱志香のもとから“引き裂”かれた形だと考えるのが普通なので、戦人視点で碑文に忠実に沿っているように見え、碑文殺人が成立する。
“嘉音”が犯人だと思われている方が、連続殺人を実行する上では有利ではある。だが、それでは碑文殺人が成立しなくなってしまうのだ。だから、紗音は、むしろ“嘉音”は犯人ではありえないことを証明するために、朱志香の遺体にマスターキーを残したのだ。