私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

角田光代の対岸の彼女

2010年04月22日 05時29分44秒 | ミステリー/文芸


直木賞を受賞したこの作品、納得の一品だった。
まず単行本1680円の価値あり。お買い得なことに文庫で570円でも出ている。
間違いなく文庫本新品おすすめできる。

以前にこの作家の本"森に眠る魚"で挫折して以来、ちょっと敬遠していた作家だったのだが、こちらは実によかった。 森に眠る魚はあまりにも重く、暗く、怖かった、ので挫折。決してつまらなかった分けではなく、よすぎてダメだった。でも、これを気に再度チャレンジしようとおもう。

森に眠る魚同様、子持ち専業主婦/ママとも/社会性/育児/孤独/キャリア/夫と夫の家族などがテーマとなっている。とてもリアリテーあふれる本である。あふれ過ぎて、しょっぱなからどーーーんと暗い気持ちになる。最初からこれかと思い途中で止めようかなと思っていたのだが、話が高校時代の思い出などに戻ったりするので、あれ、ちょっと感じが違うとおもって読み進めた。 1日で読み終わってた。

30代後半の女性/母親の話や悩みなのだが、彼女たちの高校時代のエピソードが入り込められているので、ノスタルジックになると同時に年月をとうしての成長(もしくは成長のなさ)を読み取れる。


主人公の小夜子は3歳の女の子の母親/専業主婦で公園ジプシー(公園に集うママたちとうまくつきあえず、漂流するママたちをいうらしい。私にも新語だった)である。あまりに気弱で泣き虫友達の輪に入っていけない娘を歯噛みをしながら見ているのだが、それはまさに過去の自分をも見ているようでさらに小夜子をイライラさせる。娘を変えるために、この孤独さを変えるために、そして自分を変えるために、パートに出ようと決意する。義母に嫌みを言われながらも、義母に娘を預け面接にいく日々。数十回の面接後やっと清掃業のパートをみつけるも、(つかえない甘ったれ自己中全然理解してない)夫にはお掃除おばさんなんかやるなと否定的なことを言われる。保育園をみつけるのにも苦労する。もうこの辺りで、この本は子育てをがんばっている専業主婦にはオススメできないと思った。

しかし、小夜子を雇った小規模会社の女社長(独身)と出会い、いろいろ変わっていく。変わっていくのだが、型道理の女の友情みたいなきれい事ではなく、もっと生なましくかつ真摯な変化がまっている。それは読んでのおたのしみ。

このエンデイングのおかげで、この本を全ての人にオススメできる。
とくに、この本にでてくるような夫には是非読んでもらいたい。

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