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カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
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2016年12月号 難民キャンプ閉鎖へ  執筆:カバタ・ボル

2017年02月14日 | 特集記事
ケニア憲法は、1951年の難民の地位に関する条約と難民問題について1969年に成立したアフリカ統一機構(OAU)条約の内容を包括している。また、2011年の難民法は、ケニア議会が制定した法律で、難民問題の認識と難民の保護・管理や関連する問題についての規定が設けられている。

しかし、内務省の閣僚会議では、ケニアの難民条約を骨抜きにする重要な内容がいとも簡単に決定されてしまった。

2016年5月6日、ケニア内務省は、国内にある全ての難民キャンプの閉鎖を発表した。ケニアは国際的な保護対象者60万人以上を受け入れている。その同じ内閣が、難民局(DRA)を解散したのだ。難民局は、難民の登録や難民キャンプの管理、難民法に従った国内における難民の地位の決定を監督するために設置された。とするならば、キャンプ閉鎖はケニアが加盟している難民の地位に関する条約に明記されている難民の保護を求める権利を認めるノン・ルフールマン原則に違反するのではないだろうか。難民局の解散から数週間後、内務省は難民事務局(RAS)を設置した。今後はこの機関が難民局の全ての業務を引き継ぐと見られている。

カクマやダダーブキャンプの難民たちは、キャンプ閉鎖の決定は自分たちに対する悪意から出た行動であると考え、脅威を感じている。「私がダダーブのイフォキャンプにやってきたのは1994年です。それから、この地を出たことは一度もありません。危険な状況なので、今は帰国できないんです」アブダッラー・ハジはKANEREにそう語った。ダダーブの施設にいるたくさんのソマリア人は、強制的にキャンプを追われることになれば生活できなくなると危惧していた。

ケニア側はダダーブキャンプなどの閉鎖期限を11月とし、ソマリア人難民に帰国するように何度も呼びかけてきた。6月20日にジョセフ・ヌカイセリ内務大臣は、予定されたキャンプ閉鎖を延期するようにとの国際的な圧力はあるが、キャンプのこれ以上の存続は認められないだろうとの声明を発表した。

ところが内務省は、ダダーブキャンプを残すという別の声明を8月21日に発表した。これは、アメリカのジョン・ケリー国務長官がケニアを訪問し、地域の安全とテロ対策での協力そして来年の選挙について、ウフル・ケニヤッタ大統領と話し合った直後のことだった。

11月16日、ケニア政府は「ソマリアの安全についてのデリケートな状況」を理由にダダーブ難民施設の閉鎖期限を延期した。

この声明によって難民キャンプの住人たちは落ち着きを取り戻した。しかし、国連の難民機関である国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とケニア政府の両サイドからソマリア帰国を促されるプレッシャーは依然として強い。カクマのソマリア人コミュニティーのリーダーはKANEREに対し、「私たちは難民キャンプ閉鎖を考え直す声明を歓迎します。全てのソマリア人難民は、帰国するときはこれまで通り自らの意思での本国帰還を願っています」と語っていた。

ケニア政府は、ダダーブ難民キャンプ閉鎖の主な理由として、経済、治安、環境維持の負担が重い事を挙げ、国際的な支援は難民のサポートにはほとんど役に立っていないと非難した。とは言え、アメリカは世界の人道支援機関にとっての支援大国であり、難民危機を緩和するために今年だけでも4500万米ドルをケニアに出資している。

2013年には、ケニア政府、ソマリア政府、国連難民高等弁務官事務所が、難民の本国送還に対する立場を定めた三者協定に署名した。ケニア政府官僚によると、ダダーブのような難民キャンプは、これまでアル・シャバーブというソマリアを拠点とするテロリスト集団の滞在地になっていた。2015年には、あるケニア政府官僚が、ダダーブはテロ計画の温床になっていると述べている。ソマリアは何年にも渡る政情不安が続き、ソマリア人難民の自発的な帰国は遅れている。

2013年9月の三者協定への署名の後で自発的に志願して帰国した難民は約3万人にすぎない。国連難民高等弁務官事務所によると、他の難民たちは勝手にソマリアに帰国するかキャンプを去り他の国へ行き亡命申請をしているようだ。

ダダーブの難民にとって、2017年5月末まではキャンプの閉鎖はないという明確な保証はない。そして、難民たちの経済活動全般に暗雲が立ち込めている。住民たちにとって頼りの綱である配給は減らされてしまった。難民たちは中途半端な状態で身動きが取れない。50万人の住民はダーブで庇護されることを求めている。ダダーブが頼みの綱なのだ。

ケニアの難民危機は、ヨーロッパの難民や移民問題にも暗い影を投げかけている。問題は解決されていない。ダダーブの住民に次に一体何が起きるのだろう?


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