代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

サンダース候補に逆転の可能性はあるか?

2016年01月09日 | 政治経済(国際)
 来月から米国のアイオワ州、ついでニューハンプシャー州で共和党と民主党の大統領指名候補を争う予備選が始まる。
 以下のサイトから最新の世論調査を紹介する。 
 
http://www.realclearpolitics.com/



 まず共和党陣営を見ると、トップを独走していたトランプ候補であるが、ここに来てアイオワ州でテッド・クルーズ候補に抜かれてしまっている。もっとも全国では相変わらずトランプが首位であるが2位のクルーズ候補や3位のルビオ候補との差が縮まっている。

 民主党陣営を見ると、ヒラリー候補とサンダース候補の差が縮まってきている。ニューハンプシャーでは、いちじヒラリーに逆転されていたが、サンダースが再逆転してリードを広げている。このままいけばアイオワではヒラリーが勝っても、ニューハンプシャーの予備選ではサンダースが勝つ可能性が高そうだ。ニューハンプシャーで勝てば、その後、民主党内の空気はどう変化するか分からない。
 
 いまのところ、共和党ではトランプ、クルーズ、ルビオの3氏が有力で、民主党ではヒラリーかサンダースのどちらかに絞られた感が強い。
 支持率を見ると、サンダースがヒラリーを逆転するのは難しそうにも思える。しかし、民主党員が以下のデータを直視した場合、判断を変える可能性もある。

 本選で共和党の3人と民主党の2人がマッチアップした場合、可能な組み合わせは3×2=6通りある。この6通りのマッチアップを想定してどちらに投票するかを調査してみたのが以下の表だ。

 ↓ サンダース対共和党3候補のマッチアップ

 ↑ ヒラリー・クリントン対共和党3候補のマッチアップ

 これは興味深いデータである。民主党内ではヒラリーがサンダースを19ポイントもリードしているものの、共和党候補とのマッチアップになるとサンダースの方が当選可能性が高いのだ。ヒラリーは相手がトランプだったらかろうじて勝つものの、クルーズにもルビオにも負けるという結果である。対するサンダースの場合、トランプにもクルーズにも勝利する。つまり、民主党はヒラリーを擁立するよりもサンダースを擁立した方が、共和党候補に勝てる可能性は高まるのである。

 トランプは共和党内では強くても、民主党候補には勝てそうにない。トランプは、「ヒラリーとオバマがISISをつくった」と発言し、軍産複合体にとっては触れてはいけない「大禁忌」(わかる人には公然の事実だが)を軽々と破ってしまった。これからアメリカの支配層が総力をあげて「トランプ潰し」にかかるのではなかろうか。

 共和党ではルビオが予想外に強い。この結果を見ると、共和党ではルビオが浮上してきて最終的に勝つ可能性が高いということだろう。ルビオはキューバ移民の子で、スペイン語ペラペラのヒスパニック系なので、ヒスパニック票をたくさん集められることがこの結果に出ているようだ。キューバ系移民にありがちな、反カストロ意識から逆ブレして右翼になるケースであり、経済面で新自由主義、軍事面で軍産複合体の言いなりという、私から見ると最悪の政策である。もっともルビオは反中国の急先鋒で、「尖閣は日本領と明言」していることから、安倍政権にしてみるとうれしい味方になりそうだ。ルビオは軍産複合体にとってはお気に入りの候補として、浮上する可能性が高いだろう。
 
 民主党陣営としては、ヒラリーならルビオに3ポイントも差をつけられているのに対し、サンダースならルビオに対してもわずか1ポイント差と十分に逆転可能であるという事実に注目すべきであろう。民主党員としては、ヒラリーよりもサンダースを選んだ方が、共和党に勝てる可能性が高いのだ。

 いまのところ民主党の大票田の有力労組などは軒並みヒラリー支持である。またモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなどのウォール街の中枢も強力にヒラリーをバックアップしている。であるにも拘わらず、サンダースがこれだけヒラリーを猛追しているというのは驚きですらある。アメリカの中に、「大企業の大企業による大企業のための政治」に心底嫌悪感を抱く人々が増えているのだ。
 アメリカの労働者階級はいまこそ真剣に考えるべきであろう。ウォール街や軍産複合体の傀儡でしかないヒラリー・クリントンと、彼らからの献金を一切拒絶して「人民の人民による人民のための政治」を実現しようとしているサンダースのどちらが自分たちを代表し得るのか。 

 私は共和党ではトランプに、民主党ではサンダースにがんばって欲しいと思っている。差別発言ばかりする排外主義のトランプと、あらゆる差別に反対しマイノリティの権利を何よりも優先する社会主義者のサンダースでは対極にあるように見えるかも知れない。
 しかし、二人には共通点がある。二人とも大企業から不浄な政治献金を受け取っておらず、TPPには明確に反対し、アメリカが世界の警察官としてふるまうことにも否定的なのだ。二人とも自由貿易とグローバル資本主義の拡張路線に反対し、伝統的なモンロー主義に回帰しようとしているように見える。私はアメリカがモンロー主義に回帰することこそ、アメリカにも世界にも平和をもたらし、地球温暖化にも歯止めをかける最善の途だと思う。

 トランプは地球温暖化なんてウソだと発言しているが、TPPやFTAに反対し、関税を高くして、行き過ぎた自由貿易を是正しようという彼の政策そのものが、最良の地球温暖化対策になるはずである。もっともトランプは排外主義発言が行き過ぎて、マイノリティを完全に敵に回しているので、たとえ共和党内では勝てたとしても、民主党候補には勝てそうにない。

 対するサンダースはユダヤ人である。それゆえイスラエルを守らなければいけないと考えている。もちろん左派・社会主義者である彼は、イスラエルを守るためにも、イスラエルにパレスチナ攻撃を止めさせ、パレスチナ国家を建国し、平和的に共存を図って欲しいと提案している。真剣にイスラエルのために提案しているので、イスラエルもサンダースの言うことには耳を傾ける可能性がある。ひょっとするとユダヤ人のサンダースなら、アメリカのユダヤロビーも、軍産複合体も、許容範囲かも知れないのだ。逆転の可能性はまだあるだろう。


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1 コメント

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Unknown (通りすがり)
2016-01-12 01:13:21
個人的にトランプとサンダースの一騎打ちという管理人さんと同意見です。二人は少なくとも大企業の傀儡ではないので…

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