代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

アメリカ大統領選 ―奇跡の大逆転なるか?

2016年11月05日 | 政治経済(国際)
 大統領選一か月前の記事で「さすがにトランプの逆転は難しいだろう」と書いたが、まさにサプライズ。FBIの捜査再開により、奇跡の大逆転もあり得る状況。1勝3敗からひっくり返したシカゴ・カブスもびっくりだ。
 一つハッキリしていることがある。たとえヒラリーがかろうじて逃げ切ったとしても、4年の任期を全うすることはなく、すぐに退陣に追い込まれるだろう。

 クリントン財団のスキャンダルも、リビアのカダフィ殺害も、ベンガジ事件も、ISへの武器供与も何もかもが真っ黒すぎる。ヒラリーが勝ったとして、まともに大統領の職責を遂行するどころじゃなくないだろう。本来だったら、FBIは7月の時点でヒラリーを逮捕すべきだった。FBIが7月に捜査を中止したのも、ヒラリーサイドの贈賄らしい。
 腐敗、ここに極まれり。アメリカは自浄能力を失って暴走していたが、アメリカ人の良識が目覚め、支配層の横暴を許さなくなり、FBIも再捜査に追い込まれたと見るべきだろう。本年アメリカで起こったさまざまな出来事は、アメリカにおける社会革命の始まりを予告している。
 
 私も、トランプの政策の多くを支持しない。しかし一つだけハッキリしていることがある。ヒラリーが大統領になれば中東の戦火は拡大し、世界大戦の危機も高まる。しかし、トランプだったらそれはないということだ。その一点のみをもって、トランプの方がマシであると言えるのだ。
 ロシアとの関係改善に取り組む安倍政権。ロシアとの対決を望むヒラリーならそれを恫喝によって潰そうとするであろう。しかしロシアとの関係改善を望むトランプだったら、日本政府の対ロシア外交を妨害することもないだろう。日本政府にとってもトランプ政権誕生はそれほど悪いこととは思えない。

 トランプが大統領になれば、レーガン革命によって始まった新自由主義の拡張の時代が終わり、アメリカはモンロー主義の伝統に回帰する。不正・不義・格差・貧困・飢餓・腐敗・虐殺・難民を生み出すグローバル資本主義の世界システムに終わりの鐘がなる。
 遅かれ早かれそうなるのだから、犠牲が少ないうちに、一刻も早くその選択をすべきであろう。

 
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6 コメント

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Unknown (日本ではトランプを持ち上げるように誰かが仕掛けている)
2016-11-05 23:11:32
>トランプが大統領になれば、レーガン革命によって始まった新自由主義の拡張の時代が終わり

トランプ自らがレーガンに追随すると言っていますが。トランプはトリクルダウンをまだ続けるつもりですよ。
2015年からコーク兄弟は更にも増して共和党議員を買収しており、現在トランプの副大統領候補であるマイク・ペンスはコーク兄弟の操り人形とまで言われている、コーク兄弟(新自由主義者)の賄賂にズブズブの人物です。

ハッキリ言って、トランプもヒラリーもアメリカ国民のことは全く考えていません。富裕層減税を推進しながら、労働組合反対派、最近まで賃上げに反対していたトランプが新自由主義者ではない、とどうして言えるのでしょうか。また、国民皆保険制度の詳細を具体的に提唱しているのはバーニー・サンダースと緑の党のジル・スタインだけです。最近になってヒラリーも前向きのようですが信用なりません。それと同じように、富裕層が好きなように治療を選べない(保険に入る)のはおかしいと豪語しているトランプが国民皆保険を勧めるとは思えないのです。

新自由主義者は姿を現さずにトランプを推しています。また、ヒラリーもです。二大政党は利己主義超富裕層1%どちらからも献金でがんじがらめにされているからです。
新自由主義≠モンロー主義 (関)
2016-11-06 21:50:14
 建設的なコメントありがとうございます。
 もちろん、私もトランプの国内政策はほとんど支持していません。
 評価している点はTPPなどあらゆる自由貿易協定に反対し、関税を引き上げて内に籠ろうとしている点、軍産複合体に迎合して外国に余計な軍事的ちょっかいを出すような愚行は、相対的にヒラリーより少ないであろう点です。

>トランプ自らがレーガンに追随すると言っていますが。トランプはトリクルダウンをまだ続けるつもりですよ。

 「国内的に小さな政府+外国へは不干渉」というのはリバタリアンの政策で、それは新自由主義とは異なります。
 新自由主義は、グローバル大企業の自由な展開をするため、国境の壁を取り払おうとし、諸外国に対して、経済的・軍事的な対外的干渉と、価値観の押し付けを伴います。トランプにはそれがありませんから、やはり新自由主義者ではなく、モンロー主義者というべきでしょう。

 国内的に小さな政府をするか否かというのは、アメリカの国内問題であって、外国人にはあまり関係ありません。外国人からしてみれば、アメリカが他国に余計なちょっかいを出さなくなってくれるのが一番ありがたいことです。
田中宇氏の言われる「新ヤルタ体制」の実現と、あいば達也氏による「右翼バブル破裂」、すなわち「長州バブル崩壊」への強い期待。 ( 睡り葦 )
2016-11-07 14:53:19

 関さん、ありがとうございます。こちらこそどうかよろしくお願いいたします。
 「ねむりヨシ」を気取るつもりが、毎日毎日この国のありさまに茫然として動悸が速まるばかりです。
 申しおくれましたが、これまで本ウェブログのコメント欄と関さんのおかげで皆さんとともに私なりにいろいろと考えましたことは、すべて関さんの手の上のものとして、そのままではつかいものにならないものをよりレベルの高いものにご自由に換骨奪胎いただいて、幸運にも生かしていただくことができれば(また、もしやそのようなものがあれば)まことにさいわいに思います。今後を含めてしかるべくよろしくお願いいたします。

 家近良樹編『もうひとつの明治維新』の中の高橋裕文氏へのご注目ありがとうございます。薩摩そして長州における、いわゆる「反・倒幕派」の存在が意味するものを見抜くことは、押しつけられたコンセンサスの裏の真の歴史のモメンタムを見る上で非常に重要ではないかと推察します。
 「倒幕」=「反封建(近代化)」というわかりやすい焦点を立てての目くらましに欺されない関さんのご洞察の威力を確信しています。
 関さんのご思考が、世界史のなかで明治維新を把握することを含めて、取り囲んでいる与件を乗り越えることが絶対にできない日本史アカデミズムが持つことは到底不可能であろう、クリオが祝福する知性と理性をもたらすことは明らかであると思います。

 土曜日の<Nスペ>について聞くところによれば、「トランプが負けてもトランプ現象は続く。アメリカだけではなく世界で」と盟友ロンヴァルディ氏が語ったとのことですが、現代の歴史のモメンタムはすでにその地点を通りすぎているような気がいたします。
 ヒラリーの犯罪性が曝かれることが、米国国家を拠点とする軍産情報系戦争勢力の全人類的次元の犯罪性の決定的暴露に結びつくのか、それとも彼らがヒラリーを棄てて米政権支配を継続するという選択肢が維持されるのか、そういうところに来ているように思えます。

 関さんがみごとに喝破されているとおり、トランプ vs ヒラリーの真の対立点は、「複極的または多極的な戦争防止(平和)思考」と「米系軍産情報勢力による一極軍事政治支配のための戦争地政学」か、にあると思います。
 あの意気地なく最後に投げたサンダースがともかく語っていた「富裕とは無縁の大衆にプライオリティを置く政治」をトランプが意識しているわけがありませんし。

 しかしながら、国土外での戦争によって経済的利益(金儲け)と政治的利益(支配)とを得続ける勢力の下敷きとする覇権独占(世界制覇)思考の馬鹿馬鹿しさに気づいたトランプさんが、田中宇氏の言われる「新ヤルタ体制(世界的協調体制)」のもとに米国国内のゆたかさを追求すべきとアピールすることはきわめて大きな意味と波及効果を持つと思います。
 まして、それが米国国民の圧倒的な信認を公然と得ることが持つ世界史的意義ははかりしれません。そういえば英国のEU離脱国民投票がこの前奏曲であったとあとで認識することに?

 2007年に噴き出した世界金融危機の膿で浸されたままのこの10年、2017年に本格的な金融世界の一挙崩壊が発生するであろうという体感的推測から、「90年代以降、単独覇権体制下で米欧が経済発展したのは、実体経済でなく債券金融バブルが拡大したからだ。近いうちにリーマン危機以上のバブル崩壊が起きる」という田中宇氏の予見に追従します。
 おそらく関係者の内心においては予感されているこのパニックが米国における1%による99%からのあくなき収奪のスキームとその醜態を曝し出し、決定的な歴史的モメンタムを生み出すことを期待します。これが核による人類の絶滅を防ぐものとなると。

 あいば達也氏が予見する「アベノバブルと右翼バブル破裂」、むしろ外からの点火のほうが早いのではないかと想像します。2018年「明治節」復活でピークに向かおうとする「長州バブル」はカネの落ち葉に埋められた地雷を踏み、ロンヴァルディ氏が語った「トランプが負けてもアメリカだけではなく世界で続くトランプ現象」が、歴史の大きな波となることを強く期待します。
Unknown (12434)
2016-11-09 17:07:58
トランプ氏が当選確実、クリントン氏を破る【アメリカ大統領選】
http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/08/trump-wins_n_12856116.html
ハフィントンポスト

奇跡は確かに起きましたね。本当に驚きました。
質問させてください (キタキツネ)
2016-11-17 12:02:41
経済に関心のある肉体労働者です。
2008年頃、グローバル化は止められないという報道やコラムに不安を覚えていたのを思い出しますが、その時の認識では、「グローバル化は所得水準を世界規模で収斂し、新興国の経済を発展させ、資源価格の高騰によって先進国の所得は流出する」というものでした。
先生のおっしゃる意見は、どれを見てもとても納得がいくのですが、グローバル化よりも国家が内向きになることのほうが良いというところがいま一つ難しいです。例えば日本国内では、地方を中心にグローバル化によって確かに雇用の場が失われていますが、それ以上に交付税依存、公共事業依存の体質や、役人の無気力は惨憺たるものです。
このような公的セクターに国を任せることには、グローバル化以上の不安を覚えます。
国家間規模の問題と、地方都市の問題は関係ないのかもしれませんが、民間人の活力を底上げするには多国籍な人種が入り乱れるほうが良いのではないかとも想像します。
突然の書き込みをしてすみません。
公共事業依存もグローバル化の結果 (関)
2016-11-18 15:48:47
皆様コメントありがとうございます

睡り葦さま、12434さま
 しばらく激動の時代になります。自分を見失うことなく、できることを確実に、心してまいりましょう。これからもよろしくお願いいたします。

キタキツネさま

>交付税依存、公共事業依存の体質や、役人の無気力は惨憺たるものです。
>このような公的セクターに国を任せることには、グローバル化以上の不安を覚えます。

 同感です。東京都のみならず、どこの道府県も伏魔殿状態ですね。国民の血税に寄生しつつ醜悪化の度合いを深める公共事業複合体に未来はありません。
  
 しかし、この醜悪な公共事業依存症も、グローバル化による地方の衰退に歯止めをかけようとする中で生み出されたものです。グローバル化を終わらせない限り、地方の自立もありません。
 食料とエネルギーの地域自給率を上げようとする正しい方向へ、財政支出先もシフトせねばなりません。グローバル化にブレーキがかかれば、その流れも可能になり、土建公共事業依存体質も改まると思います。以前、以下のような記事を書きました。ご参照ください。
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/f128f3bb99df7324088911eeeb790aec

>民間人の活力を底上げするには多国籍な人種が入り乱れるほうが良い

 財のグローバルな流れは、国境での関税で調整すべきと考えますが、私もアイディアや技術や人材の交流は自由であるべきだと思います。
 食料とエネルギーの地域自給力が高まっていけば、社会は安定しますので、多国籍な人材が入り乱れても、排外主義が高まることはなくなるでしょう。

 しかし格差を生み出すグローバル化を放置したままでは、排外主義が高まるだけで、来る側も受け入れる側も幸せにはならないと思います。

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