右翼革新連合 vs 保守リベラル連合

　ハフィントンポストの以下の枝野さんのインタビュー記事面白かった。

http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/09/edano-02_a_23237032/


　枝野さんは、自らの政治的立ち位置をかつての自民党の大平正芳さんや加藤紘一さんと同じ、保守リベラルと規定している。そして現在の自民党は保守政党でもリベラル政党でもない、革新政党である、と。
　
　確かにそうだ。自民・希望ブロックは、岩盤規制を打ち破るとか、憲法を変えるとか、変えることばかり叫んでいる。純然たる革新勢力である。
　それに対し、立民・共産・社民のブロックは「変えるな」という主張が前面に出ている。保守勢力である。脱原発の主張に関しては、革新的と思われるかも知れないが、原発のなかった頃の安全・安心な日本に戻そうという主張なので、これも保守の感性に基づいた政策である。
　もっとも、共産党の党風はリベラルではない。では共産党はどんな政党なのだろうと考えると、純粋な保守政党だと思う。

　自民・希望・維新の右翼革新連合に対し、立民・共産・社民は保守リベラル連合と言ってよいだろう。
　現在の自民党に関しては、新自由主義による革新勢力（元トロッキストのネオコンと同根）と、国家神道の国体復活を目指す右翼という、個人主義と全体主義が鵺のように結びついた異形の思想、「右翼革新」という他ない。

　公明党は、右翼革新に同調しているわけではないので、一刻も早く右翼革新連合から離脱して欲しい。

　ではなぜ、「保守票」と呼ばれる票が右翼革新勢力に流れ、保守勢力である第３極に流れないのか。
　自民党の支持率はだいたい３割である。自民支持層のもっとも強固な基盤は、もちろん土建公共事業複合体の組織票だ。だいたい国民の２割は土建公共事業複合体に属すると考えられる。
　この２割の人々は、別に自民党の改憲・右翼・タカ派政策に賛同しているわけではない。公共事業という「御恩」に対して、「組織票」の供与で報いているだけの話なのである。強固な利権をベースにした安定票である。この２割は、右翼革新思想とは無縁であり、自民党の従米タカ派政策を支持している生粋の従米右派なんて１割程度だろう。

　しかし２割＋１割で国民の３割の支持があれば、小選挙区制では圧勝してしまう。その３割が確実に選挙に足を運び自民党へ投票すれば、投票率50％という条件下では、得票率は60％ということになり、小選挙区制では確実に勝利する。

　私の住む選挙区なんか見ると、かっては労働組合の組織票が強く、公共事業複合体の組織票を上回っていたので、小選挙区のガチンコ対決でも左派リベラルの野党が勝てた。しかし、製造業の海外移転が加速する中で、労働組合の組織票がジリ貧になる中で、いまや土建公共事業複合体の岩盤組織票には勝てない状況だ。

　すなわち、経済グローバル化と地方の産業空洞化が、現在の自民党一強体制を生んだのだ。製造業の空洞化が進めば進むほど、地方経済はますます公共事業依存になり、公共事業複合体はますます強固に結束していく。２割の岩盤組織票に、それこそドリルで穴を空けて打ち破らない限り、自民党政権は終わらないだろう。

　立憲民主・共産・社民には、強固な公共事業複合体を切り崩し、味方に付ける政策を打ち出す必要がある。自民党の新自由主義政策のもとでは、必ずや公共事業も切り崩されていくのだから、彼らの組織票を奪いにいく戦略が必要である。自民党の新自由主義政策に脅かされ続けている農協が、もはや自民の支持基盤ではなく、一部では造反して野党支援にも回っているように。
　共産党は、ゼネコン主導と談合公共事業を批判する一方で、中小建設業者の仕事を増やす生活に密着した公共事業を増やすということを一貫して主張しているが、それでも、中小建設業者が共産党支持に回るようなことはない。
　
　先ごろも民進・共産・自由の野党共闘によって、武蔵野市長選で勝利した。地方の首長をとったところから、住民参加により地域の生活に密着したオルタナティブな公共事業を実践していく中で、中小建設業界を味方に付けていく必要があろう。