代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

宇沢弘文先生長いあいだお疲れさまでした

2014年09月26日 | 新古典派経済学批判
 世界的な経済学者である宇沢弘文先生が逝去されました。宇沢先生の訃報に接し、深い悲しみに沈んでいます。

 震災の前、宇沢先生は、TPPを考える国民会議の代表世話人として、各地を駆け回ってTPPに反対する活動を展開されておられました。菅直人政権下で晴天の霹靂のようにTPP問題が浮上した際、宇沢先生は、焦燥感にかられたご様子で、「いやー大変なことになったね。もう細かいことでケンカなんかしている場合じゃないね」とおっしゃっていたものでした。

 震災の一週間前の2011年3月5日の田中康夫氏との対談では、「TPPに反対するために棺桶からはい出してきた」と宇沢先生は語られております。以下の動画で見ることができます。公の場で話されたものが映像で記録されている、これが最後のものかも知れません。

https://www.youtube.com/watch?v=t31kfmOQUP0

 
 震災と原発事故のあと、先生は脳梗塞で倒れられました。その後、懸命にリハビリを続けながら、復帰できる日を目指しておられました。

 病床にあっても、先生は、驚くべき強靭な意志力で社会運動にコミットし続けてきました。私が事務局を務めている八ッ場などダム計画の再検証を求める「ダム検証科学者の会」の呼びかけ人としても関わり続けて下さり、国交省による民意を無視した計画の見直しを強く求め続けてこられました。また、病床の中にあって普天間基地の辺野古移設にも反対される活動も継続してこられました。

 直近でも宇沢先生は、TPPが憲法に反するという違憲訴訟の呼びかけ人に、歌手の加藤登紀子さんらと共に名を連ねております。このTPP違憲訴訟の呼びかけが、宇沢先生の最後の社会活動になりました。

 宇沢先生の遺志を無駄にしてはなりません。密室で交渉し、国民に知らせぬまま国内法の変更までも強いていくTPPは明確に違憲です。TPPは、国民主権も国民の生存権もすべてを奪っていくことになります。宇沢先生のご遺志を受け継ぎ、TPP違憲訴訟は何が何でも勝訴せねばならないと思います。

 亡くなる直前まで、市場原理主義・新自由主義を批判し、米国のロビイストたちや日本の官僚たち等の横暴と闘い続けた宇沢先生。この絶望的な社会状況の今、宇沢先生が亡くなられたことは、日本社会にとってあまりにも、あまりにも大きな損失です。
 しかしながら、宇沢先生の志は残ります。死せる孔明は生ける仲達を走らせました。先生の残された社会的共通資本の考え方は、いつの日か、世界を闇に陥れてきた市場原理主義と新自由主義の横暴に打ち勝ち、世界を再生させる導きの光りとなるに違いありません。

 先生、長いあいだの闘い、お疲れ様でした。いまは天国で疲れを癒してください。

 合掌 
 
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2 コメント

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謹んでご冥福をお祈りいたします。 (12434)
2014-09-27 18:37:27
本当に残念でなりません。私も一人の農業従事者としてTPP交渉参加に抵抗を続けたいと思います。
TPPは宇沢先生の仇 (関)
2014-09-27 21:42:54
 菅直人政権がTPP参加を検討した際、民主党政権の裏切りのひどさに宇沢先生は烈火のごとくご立腹なされました。その後、ご高齢をかえりみず、TPP反対を表明して各所を駆け回り、お体にご負担をかけすぎたことが、先生の寿命を縮めてしまわれたように思えてなりません。いわばTPPは宇沢先生の仇です。

 絶対に、あの違憲協定を葬ってやらねば気がすみません。
 TPP違憲訴訟の原告への参加なども提起させていただきました。可能でしたら何卒よろしくお願い申し上げます。

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