(有)妄想心霊屋敷

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欲たすご縁は女の子29 煩悩、疑問、偏った知識

2007-01-01 23:37:28 | 欲たすご縁は女の子   二日目
『また来週~!』
司会のおっさんが締めくくり、番組が終わった。
「あー面白かった。こういう番組、もうないですか?」
こういう番組ってのは恐らく動物が出てくる番組のことなんだろうな。
「多分なかったと思うが……」
「そうですか。残念」
ちなみに、このチャンネルの次の番組はバラエティ番組だそうだ。
こいつそいうのはどうなんだろうか?
それは置いといて、とりあえず次の番組が始まるまでに風呂沸かしに行っとこう。
「どこ行くんですか?」
立ち上がった俺にセンが声を掛ける。
「風呂沸かしに。今からなら二十分ぐらいには沸くと思うぞ」
「センが行きますよ」
そう言って立ち上がる。
「お風呂の仕事はお任せ下さい!」
胸を叩く。その胸に何の反発力もないのは見れば解る。
よくよく考えれば今のこいつの格好ってかなり際どいのではなかろうか。
よくよく考えなきゃ気付かないってのもアレだが。
「じゃあ頼む」
そんな薄っすい煩悩は置いといて、話を続けようか。
「風呂場入ってすぐ横に操作パネルがあるから」
「ああ、ありましたありました」
「まず電源ボタン押して、そのあと湯張りボタンな。それだけだから」
「はい。では、行ってきます」
向きを変え、部屋を出ようとする。
「ちょと待て」
俺はそれを止めた。
「なんですか?」
「風呂桶の栓、閉め忘れるなよ」
「いくらなんでもそれは大丈夫ですよ~」
そう言って部屋を出て行った。
でもな、セン。お袋はたまにやらかしてたんだよ。
そろそろ沸いたんじゃないかと行ってみたら、お湯がなかったんだよ。

出て行くセンを見送った後、またテレビの前に座り込む。
見送ると言っても一分もかからずに戻って来るだろうが。
テレビの音以外、何も聞こえない。どうでもいいCMの音声など耳に入ってはこない。
頭に浮かぶのはあの言葉。
『あの時も気にしなければよかったよかったんですね……』
あれはなんのことだったんだろうか?
多分俺に遭う前の話なのだろうが、『あの時』に何があったんだろうか?
「お仕事完了しました~」
センが帰ってきた。頭に浮かんだ疑問を振り払う。
「あ、ああ。テレビ、何見る?」
チャンネルを回す。
「あ、これなんですか?」
画面を指差す。そこで俺は手を止めた。
「クイズ番組だな」
「クイズ……これ見たいです」
ということでクイズ番組視聴決定。
「自分の知識を試すいい機会ですから」
だそうだ。
いざ始めてみれば、解ったり解らなかったり。要するに普通。
知識の量が少ないというわけではないということだろう。まあ偏ってはいるが。
いや、むしろクイズなら偏ってる方が有利なのかもしれんな。
ちなみに途中、風呂が沸いた時のアラームが鳴っていたが、
「この番組が終わるまで待っててもらっていいですか?」
とのこと。風呂に入る順番はいつのまにか昨日の順で決定していたようだ。
別に文句があるわけではない。文句があるとすれば、
「あ、これは解りますよ。あのほら、あれですあれ」
「そうかあれか。俺には解らんがな」
「あ、すいません。また言っちゃうところでした」
解った瞬間に答えを言わんでくれ。俺もない知識振り絞ってんだから。
センがわざとらしく手で口を塞ぐ。俺は画面の問題文を睨む。
「……解らん……」
正解が発表されると、初めて聞く単語だった。解るわけがなかったのだ。
「お前、ホントに解ってたのか?」

「あはは、……違ってました」


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