人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(本番編) 2016 オテロを指揮 ジュールフィル Jose Cura / Otello / Gyor Philharmonic Orchestra

2016-04-27 | オペラの指揮


シェークスピア没後400年の記念日、2016年4月23日、ホセ・クーラは、ハンガリーのジュールで、ジュールフィルハーモニー管弦楽団を指揮して、ヴェルディのオテロをコンサート形式で上演しました。ジュールフィルはこのコンサートの直後に、日本ツアーに出発しました。ツアーの成功、そして今後も、クーラとジュールフィル、日本との縁がさらに深まることを願っています。

当日の様子やリハーサル、直前に受けたインタビューなどを紹介します。
 *合唱団とのリハーサルの様子やヴェルディやオテロの魅力と解釈などについてのインタビューはこちらの投稿をごらんください。→(告知編)

会場は、アウディ・ジュールアリーナ、4000人、5000人規模で収容可能な多目的の巨大なアリーナです。クーラは指揮者であるとともに、演出と舞台のデザインを行いました。コンサート形式ですが、階段や簡単なセットを使い、演技もつけた半演奏会形式のようでした。白と黒を基調にしたシックな舞台で、大スクリーンも使用しています。









クーラは直前に受けたインタビューで、「オテロを指揮することは巨大な挑戦だ」と語りました。その内容について、ハンガリー語から訳してみました。誤訳、直訳、ご容赦ください。

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●称賛すべきハンガリー国立合唱団
ハンガリー国立合唱団とのリハーサルは非常に良い雰囲気だった。リハーサル中に合唱団がこんなに笑っていたのは、それほど頻繁にあることではない。合唱団がリハーサルの数時間の間、リラックスしていた。

コーラスの仕事に非常に満足できた。ハンガリー国立合唱団の成果を賞賛する。オーケストラに所属する合唱団として、彼らは、オペラ座の合唱団よりも、より柔らかいトーンを歌う上で大きな利点を持っていた。

テナーのセクションは特別に賞賛されるべき。いくつかの合唱団の場合、
他の声がテナーの声を「隠す」ほうが良いことがある。しかし、これはハンガリー国立合唱団にとっては不要だ。





●オテロの指揮は巨大な挑戦、並はずれたプレッシャー

20年間オテロを歌い続け、3年前にはブエノスアイレスのテアトロコロンでオテロの演出をした。この作品とともに長い年月を過ごした後、オテロを指揮することは、巨大な挑戦だ。新しい未知の音楽を扱うようには、簡単には近づけない。並外れたプレッシャーがある。

しかし数え切れないほど様々な状況で、多くの指揮者の下でオテロを歌ってきたことは、大きな利点でもある。この非常に複雑で長い作品の演奏において、何がよく働いて、何がうまく動作しないのか、よく知っている。

●リハーサルは登山のようなもの
一週間のリハーサル期間、我々はスーパーチームを待っていた。リハーサルの期間は、山を登るようなもの。国際的なソリスト、ハンガリーの合唱団、オーケストラ、そして観客と、一緒に頂上に到達したい。

私は、成功に非常に自信を持っている。何千人もの人々にクラシック音楽を伝えることは小さくはないタスクだ。しかし彼らのプロの仕事と、シェイクスピアとヴェルディの素晴らしい作品の質に助けられる。





●オテロの現代的テーマ
この傑作は、今日と非常に関連し、現代的だ。なぜなら、人種差別、外国人嫌悪および難民の問題は、現代のヨーロッパの最も重要な問題だからだ。

これは裏切り、搾取、残酷さ、家庭内暴力や虐待などの重要なテーマについても同様だ。この500年間で何ら変わっていないことを考えさせられる。オテロは今日の人々に、私たちの時代について語っている?

●オテロへの愛
このオペラとの愛は20年間続いている。毎回そのたびに、より多くの発見をする。これは、“真実の愛”というべきものだ。そして決して終わることのない、ネバー・エンディング・ストーリーだ。





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巨大なアリーナで行われたクーラの初めてのオテロ。いろいろ困難もあったと思うが、それを越えて大きく成功しました。オケ、合唱団、子ども合唱団、スタッフ、観客、大勢の人びととの共同をつくるうえで、クーラの経験と蓄積とともに、ユーモア、カリスマ性が大きな力を発揮したようです。
合唱団の方も、リハーサル後、ツイッターで、「ホセ・クーラの指揮とヴェルディがオテロの人生の奇跡を創り出した」「ぜひこの雰囲気を感じてほしい」と発信していました。

公演の様子を報道したニュース動画。クーラの指揮や舞台の様子が分かりますが、音楽にアナウンスが被って聴きとれないのが残念です。
Kulturális főváros lehet Győr


会場で開催された公開リハーサルの様子。アリーナの防災訓練もかねて(笑)、会場いっぱいの子どもたちを集めて行われた模様です。
Kritikus tömeg 2016


                          




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