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【商標】「悪意の商標出願」事例集

2017年05月24日 09時57分43秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
今日は少し曇り空の湘南地方です。
…仕事のキリの良いところまでやったらブログ書こうと思ったらこんな時間。

さて、久々実務ネタ。
「悪意の商標出願」について、TM5が事例集の取りまとめを行ったとのこと。
(プレスリリースはコチラ

「TM5」とは、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国の5つの国/地域の商標庁のこと。
もともと日米欧の三極での相互協力が今世紀初頭から行われていたところ、2011年に中韓が加わったもの。

さて、「悪意の商標出願」(BAD FAITH と言ったりする)。
実はこの概念自体が、明確に外縁定義されているわけではない。
日本の商標法でも定義はなく、個別具体的に判断された結果既存の条項のいずれかの適用を受け
(多くは3条柱、4条1項7,8,10,15,19号あたりか?)拒絶/異議/無効となりうる。

つまり、「悪意」だから登録されない、というわけではなく、条項規定の要件に当てはまれば拒絶等される。

それに、悪意と一口にいっても類型は様々。
今回事例集として取りまとめられている中でも、カテゴリ付けとして以下の3つが明示されている。

①Free Ride
②Immoral
③Lack of intention to use

平たく言えば、
①他人の名声にただ乗りする
②他人を貶めたり外国企業の(元)代理店が許可なく勝手に登録受けたりするとか色々
③使う気がないのに登録する

事例集のとりまとめにより各庁の制度・運用の違いがより明白になるとともにハーモナイゼーションに向けた契機になる、のかなぁ。
そもそも制度上、国によって悪意の判断タイミングは違う(日本では審査段階で適用可能性があるが欧州では無効審判の場合のみ、など)。
色々な思惑がうごめく中であっても、判断基準を共通化、明確化していく取り組みとして歓迎したい。
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