弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【半分冗談】「流行語大賞」ノミネートから学ぶ出願戦略 【半分本気】

2012年11月08日 23時50分05秒 | 実務関係(商・不)
“ああ、年末だなぁ”と感じる、風物詩の一つ。

今年も「現代用語の基礎知識選 2012 ユーキャン新語・流行語大賞」
ノミネート50語が発表されたそうです。


毎年のことではあるのだけれど、
“納得”なものから“ナニソレ?”なものまで、さまざまに50語。
今年はオリンピックイヤーだったこともあり、それ絡みのものが少なからず。


それでまあ、「流行語」と「商標」、
実は意外と関係がある。

何と言ったって、商品の名前を覚えてもらうのには、
需要者が覚えやすいネーミングにすることが大事。
流行語を採用する、というのは、一つのアプローチ方法
(もちろん、一過性になってしまうリスクは織り込む必要はあるけれど)。

ま、ここでは、そんな戦略論や講学的なオハナシをするつもりはあんまりない。
むしろ、
「流行語にまつわる商標登録出願のイロイロ」
を、ちょこっとピックアップ。


(1)ど、ドクター、それは… (「維新の会」)

 ※この件は、知り合いの弁理士さんもFBで触れていたっけ。

 商願2011-90946「日本維新の会」
 これ、実は出願人が、某市長さんではない。
 発明家としてご高名なドクターN氏。
 審査経過を見てみると、11号以外の4条拒絶、なので
 たぶん15号(混同のおそれ)か7号(公序良俗違反)かな?

 ただ、政党「日本維新の会」の政党名採択は今年の9月。
 出願時(2011.12.16)の段階で「日本維新の会」が周知著名であったとは
 時系列的には考えにくく、そうすると7号だろうか。
 でも拒絶査定発送は今年の8月(つまり政党発足の前)なんだよなー。
 (※ファイル閲覧すればわかるけど…ま、そこまではしない。)

 現在拒絶査定不服審判に係属中。

 いや、なんというかですね、コメントに窮しますが…
 皆さん、大事な名前は、有名になる前に出願をしておきましょう(笑)
 ちなみにこのドクターN氏、
 「東京都維新の会」(第5503113号)
 「平成維新の会」(第5503114号)も出願、こちらは登録されている。
 無効審判請求したら認められるんだろうか?
 …市長、ご相談お待ちしていますよ(笑) 

 「維新の会」絡みでは、しょうちゅうについても別途出願されており
 (商願2012-22055)、こちらも拒絶理由通知がでている状況。

(2)それだけじゃない 香川県 (「うどん県」)
 地域おこしのストレートな手法。
 いやむしろ真正面過ぎて引く。
 要潤くんが香川県出身だとは、このプロモーションまで知らんかった。

 さすが我が故郷、しっかり商標権を取得している(第5516550号:第30,39,43類)。
 そればかりか、「うどん県\それだけ\じゃない\香川県」も出願中(商願2012-50251)。
 ついでに「うどん県\検索」も(商願2012-50252)。
 商標の特定の仕方にはもう少しやり方があったんじゃないかなぁとも思うが
 (「検索」とか、どう考えたって要らんし)…って、
 あんまりあれこれ言ってカドが立ってもいけない。
 出願代理人、表面上はついていないようだけど、どなたかアドバイス受けているかもだしね。
 …浜田知事、ご依頼お待ちしていますよ(笑)


(3)え、それは登録商標だったの!? その① (「美魔女」)
 株式会社光文社さんがガッチリ抑えています(第5475609号)。
 注目すべきは出願日。2011.1.28とある。
 つまり、去年のあたまからしっかり出願を行ったうえで
 ブランド浸透戦略を実行、流行語の地位まで上り詰めた、というワケ。

 流行のしかけ方と権利保護のお手本のような事例。

(4)え、それは登録商標だったの!? その② (「まちコン」)
 確かに、最近地元でもしばしば行われている様子。
 もう10数年前に流行っていれば、自分も参加してみたかったな~、なんて。。。

 えー、こちらは全研本社株式会社さんが取得してます(第5418158号)。
 やはり注目すべきは出願日。2010.12.24 …クリスマスイブ、ということではなく、
 実に2年前から出願している。
 流行りだしてから抑えるのではなく、少し先の未来を予測して、
 出願をしておく。
これ大事。

 ちなみに、類似の商標がその後種々出願されているものの、拒絶されている例が多い。
 理由は、上記全研さんの登録商標と類似(4条1項11号)、とされるか、
 又は“もはや一般的な名称だから独占できない”(3条1項3号or6号)というもの。

 そうなんです。その商品/サービスとの関係で一般的になってしまうと、
 もはやその言葉自体では独占できなくなってしまうのです。
 その意味でも、“流行る前に抑える”ことは大事。


 このほかにも、ネタ的には面白い事例がいくつかあるのだけれど、
 長くなりすぎたきらいがあるので、今日はこの辺で…。



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