弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【商標_実務】早期審査・早期審理の対象拡大

2017年02月07日 06時51分55秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
今日もカラッと、空気も乾燥。風邪には注意 な湘南地方です。

さて、気が付けばこんなニュースリリースが。昨日からですね。

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商標登録出願の早期審査・早期審理の対象となる案件を拡大します

1.背景

商標登録出願の早期審査及び早期審理の運用は、模倣・侵害事件が生じている出願について早期に結論を出すニーズや経済活動のグローバル化を踏まえ、平成9年9月に導入しました。早期審査・早期審理の申請(「早期審査に関する事情説明書」等の提出)が行われ、対象となるための要件を満たした出願については、通常の出願に優先して速やかに審査・審理を開始し、その後も遅滞なく審査・審理の手続を進めています。
今般、多様化するユーザーニーズに応え、更に本運用の利用拡大を図るため、早期審査・早期審理の対象として、次の二つを追加しました。

2.新たな対象案件について

(1)マドリッド協定議定書※1に基づく国際登録の基礎出願
マドリッド協定議定書による国際登録を受けるためには、日本の特許庁へ出願している案件(基礎出願)、又は登録になった案件(基礎登録)を基にして、WIPO国際事務局に国際出願を行う必要があります。今回、国際出願“予定”の「基礎出願」を、新たに早期審査・早期審理の対象として拡大します。
これまでは国際出願“済”の基礎出願のみを対象としていましたが、マドリッド協定議定書の利用件数は年々増加しており、利用するユーザーから、国際出願予定の基礎出願の審査結果を早く知りたいといった声を頂戴しているところ、これに応えるべく対象とするものです。

(2)「商標法施行規則別表」や「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願
商標登録出願を行うに当たっては、出願した商標を使用する商品・役務を指定することが必要です。代表的な商品・役務については、「商標法施行規則別表」、「類似商品・役務審査基準」又は「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」において例示として掲載(以下、「例示掲載商品」といいます)しているところ、「例示掲載商品」のみを指定している出願については、商品・役務を明確に指定していることになるため、早期審査・早期審理の対象とします。
これまで「例示掲載商品」のみを指定していても、権利化の緊急性、又は、指定した全ての商品・役務について使用している(又は使用準備を進めている)必要がありました。しかし、多様化するユーザーニーズに応えるべく、権利化の緊急性がない、又は全ての商品・役務について使用していない場合でも、「例示掲載商品」のみを指定することで対象として認められます。

※上記(1)及び(2)のいずれの場合においても、早期審査・早期審理の対象となるためには、「指定した商品・役務のうち少なくとも一つの商品・役務に出願商標を使用している又は使用の準備を相当程度進めている」必要があります。

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(1)は、「国際登録出願の意思に関する宣誓書」なるフォームを提出すれば、この点については要件を満たすことになるようです。
(2)が、この文言通りだとしたら、かなり大きな変更だぞっ!と思って特許庁のHPも見てみたら、もう少し要件が細かく書いてありました。該当箇所は下記。

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(1)出願人又はライセンシーが、出願商標を指定商品・指定役務に使用している又は使用の準備を相当程度進めていて、かつ、権利化について緊急性を要する出願

※「権利化について緊急性を要する出願」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
(中略)
e) 出願商標について、出願人がマドリッド協定議定書に基づく国際登録出願の基礎出願として国際登録の出願を行う場合

(3)出願人又はライセンシーが、出願商標を指定商品・指定役務に既に使用している又は使用の準備を相当程度進めていて、かつ、商標法施行規則別表や類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願

※指定商品・指定役務中に、商標法施行規則別表や類似商品・役務審査基準等に掲載されていない商品・役務を含む場合には、早期審査の申出以前(同時でも構いません)に、それを削除する補正が必要となります。

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…そりゃそうですよね。そうじゃないと、殆どの出願が早期審査の対象になってしまう。

ただそれでも、
一時期は通常審査自体が相当スピード化していて(出願から3か月程度で査定がでる例もちらほらあった)早期審査の必要がないじゃん、って思ってたけど、
ここ1,2年また平均6月程度に戻っているから、既に使用開始or近く使用する予定で慌てて出願する場合には、早期審査活用の場面は増えるかな、と思います。

もう一点、穿った見方をすると、
庁としては“こだわりの指定商品表記”をなるべく排除して、審査基準通りの記載に整えたいのかな、と思います。
審査の便宜には資するのでしょうけど、ユーザ目線から見た場合、必ずしも適切な表記が審査基準に含まれていない場合もあります。
特に外国出願を念頭に置いている場合、日本の表記では認められない指定国が未だにかなりあるので。
(そういった批判を避けるために(1)も含めたんだろうな、と思ったり)

ともあれ、早期審査の依頼件数自体の増加が見込まれるので、
クライアント様にとって使いやすくするよう、弊所としても準備していきたいと思います。

☆表現が不正確であったため一部修正しました(2017.02.07 18:00)
コメント
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