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大平健『純愛時代』(2000、岩波新書)を再読して-ていねいな精神科臨床の面接風景を味わう・2

2016年11月22日 | 精神医学を学ぶ
 精神科医である大平健さんの『純愛時代』(2000、岩波新書)を再読しました。
 『豊かさの精神病理』(1990)『やさしさの精神病理』(1995)に続く、大平さんによる岩波新書の精神医学三部作の一冊。
 岩波新書らしからぬ(?)くだけておしゃれな(?)題名ですが、内容はしっかりしていて、読みごたえがあります。
 どの章も、大平さんの、おそらくはふだんどおりの、ていねいな精神科臨床の面接風景を描写されているのだろうと思うのですが、今回、私が特に印象に残ったのが、第3章の「マーガレットのある部屋」という文章。
 映画のクレーマークレーマーそっくりのストーリーで、奥さんに逃げられただんなさんと子どもの奮闘記ですが、そこに若い保母さんの少しだけ職業を超えた愛情がからみ、事態が複雑になります。
 だんなさんのがんばりの甲斐もなく、離婚裁判で子どもは奥さんに奪われ、だんなさんは疲れ果てて、発病します。
 保母さんに精神科病院に連れてこられただんなさんが大平さんとの面接の中で少しずつ状況や事態を理解していきますが、その過程はとてもていねいで、精神医学的にも適切なようです。
 やがて、だんなさんは自ら、もとの奥さんへの「未練」や「うらみ」や「意地」に気づき、さらには、保母さんとの愛情にもきちんと向き合えるようになって、自分らしく出発するところで話は終わります。
 人が人との関わりあいの中で、自分らしさを取り戻していくという過程がていねいに描かれていて、感動的です。
 他にも、「透明な膜に包まれて」とか、「ろ過された想い」「天使の仕業」などなど、興味深いお話が満載です。
 大平さんの症例報告は本当にドラマのようですごいです。
 私も少しでも見習えるよう、これからもていねいな面接をしていきたいと思います。
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