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朝井リョウ『世界地図の下書き』(2016、集英社文庫)を読んで-苦難の中にいる子どもたちの希望と友情と救いを描く

2016年12月02日 | 小説・エッセイを読む
 若者の世界をていねいに描き続けている小説家、朝井リョウさんの『世界地図の下書き』(2016、集英社文庫)を読みました。
 子どもたちの苦しさの状況を描いた小説ですが、感動的な小説で、一気に読んでしまいました。
 朝井さんは若いのに、人々の苦しみや悲しさ、憎しみ、いやらしさ、醜さなどなどがよくわかっているようです。
 いや、若いからこそ、救いのないようないまの世の中がわかるのかもしれません。
 物語は家庭の事情などで親と別れて暮らしている児童養護施設の子どもたちの日常。
 家庭での虐待、学校でのいじめ、進学できない絶望的な状況などなど、いまの社会の現実が描かれます。
 そんな中で、わずかな希望や楽しみ、助け合い、がんばりなどが描かれます。
 虐待家族の虐待を超えての再統合、いじめを超える希望、たしかな大人からの援助などなど、いまの社会にも希望があることも描かれます。
 決して楽観的なことはひとつも描かれません。
 厳しい、過酷な現実がこれでもかと突きつけられますが、作者は希望を失うことはありません。
 先も思いやられますが、しかし、登場人物たちは涙を流しながらも、何とか生きていくのではないか、という予感を抱けます。
 楽観的ではないものの、決して悲観はせずに、しぶとく生きていけそうな、そんな小説だと思います。
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