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中井久夫『世に棲む患者』(2011、ちくま学芸文庫)を再読して-ていねいな精神科治療のお手本に学ぶ・2

2017年07月15日 | 精神科臨床に学ぶ
 中井久夫さんの『世に棲む患者』(2011、ちくま学芸文庫)を再読しました。
 中井さんは私がもっとも尊敬と信頼をする精神科医のお一人。
 一度だけ家族療法学会で講演をお聞きしたことがありますが、流行のパワーポイントを使わずに、黒板に板書をしてお話をされたのが、新鮮な記憶として残っています。
 本書を読むのは、単行本だった『病者と社会-中井久夫著作集第5巻』(1991、岩崎学術出版社)の時も含めると4~5回目だと思うのですが、今回も勉強になりました。
 中井さんは統合失調症の治療で有名で、また、風景構成法などでは世界的に高名な精神科医ですが、その文章はまったく偉ぶったところがなく、やさしい語り口で、しかし、その内容は深く、広く、目配りの行き届いた文章です。
 中井さんの精神科治療もおそらくは同じようにやさしくて、配慮の行き届いた治療なのだろうと想像させられます。
 今回は、統合失調症だけでなく、境界例や強迫症などにも言及をされていて、とても勉強になりました。
 特に、あらためて驚いたのは、二人の家裁調査官の先輩の研究に言及されているところ。
 一人は(名前は明記されていませんが、内容から想像をすると)以前にも紹介をしたことのある山野保さん。(おそらくは)山野さんの『「未練」の心理-男女の別れと日本的心性』(1987、創元社)などを中心に未練や境界性人格障害について触れています。
 そういえば、私が裁判所に入った時に、配属された家事事件の部屋で、山野さんを中心としたメンバーが未練や嫉妬について勉強をされていて、よくそんな話題が部屋の中で話されていたことを思い出します。
 もうお一人は佐竹洋人さん。佐竹さんとも一緒に仕事をさせていただいたことがありますが、佐竹さんと中井さんは佐竹・中井共編『意地の心理』(1987、創元社)というとてもいい本を出されていて、この本を読むと、未練と意地の関係について考えさせられるところが多いです。
 しかし、当時、まだまだ若造にすぎなかった私は、まだあまりこれらの研究のすごさが実感できない新米で、ずいぶんもったいないことをしたなと反省をしています。
 その後、仕事の中で、うらみの重要性や困難さなどを経験して、いかにこのような研究が重要であったかを、今頃になって実感しています。
 今からでも、もっともっと勉強をしていかなければなりません。
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