ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

松木邦裕ほか『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』2014・岩崎学術出版社

2024年04月15日 | 心理療法に学ぶ

 2020年3月のブログです

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 松木邦裕・瀧井正人・鈴木智美『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』(2014・岩崎学術出版社)を久しぶりに読みました。

 じーじにしては早めの再読、と思ったのですが、もう6年ぶりになるのですね。いかん、いかん(松木さん、ごめんなさい)。

 付箋がいっぱいだったので、少し整理をしながら読んだら、だいぶすっきりしました(?)。

 もっとも、本当に理解できているのかな?やや心配です。

 鼎談相手の瀧井さんは心療内科医、鈴木さんは精神分析医と3人それぞれの立場で治療に従事しておられますが、3人とも、摂食障害は食の病いというより、こころの病い、という理解で一致しているようです。

 そうなのです。摂食障害は食の病いとして表現されますが、こころを深く理解していくと、生きていることの不安を見つめられずに、不安を感じまいとして行動でまぎらわしている病い、として理解されておられます。

 たしかに、体重は比較的コントロールしやすいので、不安を見つめないで、万能感を保持しやすいのかもしれません。

 摂食障害の人に、万引きなどの問題行動が伴いやすいこともそれを証明しているようです。

 しかも、世の中、DSMなどのマニュアルが流行していて、こころの中を理解するより、表面の行動や症状のみで治療が行われているので、問題が深刻化しやすい、と述べられています。

 やはり、こころの問題が重要なんですね。

 成長にしたがって出会う抑うつ不安といかに付き合っていくのか、周りがどれくらいサポートできるのか、が大切なようです。

 なかなかいい本ですので、もっともっと経験を積んで、学びを深めていきたいと思いました。      (2020.3 記)

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 2022年9月の追記です

 今、読み返してみると、ここでも、あいまいさに耐えること、わからないことに耐えることの大切さがポイントになっているようです。    (2022.9 記)

 

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藤山直樹・伊藤絵美『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』2016・岩崎学術出版社

2024年04月09日 | 心理療法に学ぶ

 2016年のブログです

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 藤山直樹さんと伊藤絵美さんの『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』(2016・岩崎学術出版社)を読みました。

 とてもおもしろかったです。

 そして、とても勉強になりました。

 この中で藤山さんが精神分析のエッセンスを講義されているのですが、おそらくじーじが今まで読んだ精神分析の説明の中で、一番わかりやすくて、かつ、一番深いものではないかと思います。

 もちろん、それは藤山さんなりの「精神分析」なのですが、だからこそ、藤山さんファンのじーじには宝物のような講義でした。 

 ここで、じーじがうれしかったのは、治療者がたとえ失敗をしても厳然と「そこにいること」の大切さが述べられていて、このところ、このことを考え続けているじーじにはとても勉強になりました。

 そして、失敗は必須のものではないか、とか、必然のものではないか、との指摘は今後の大きなテーマだな、と思いました。

 考えてみれば、ウィ二コットさんもそのようなことを述べていることを思い出しました。

 もっと勉強が必要です。

 藤山さんの精神分析への熱い思いは、まだまだ精神分析の初心者のじーじのこころにもかなり深く響いてきて、今後も何度も読み返して、理解を深めたいと思いました。

 また、伊藤さんとの対談も面白く、認知行動療法との異同を考えながら、心理療法全般のことを考えました。

 二人のこころの臨床家の対談にいろいろと触発をされて、もっともっと勉強をし、実践を積み重ねていきたいなと思いました。     (2016 記)

 

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神田橋條治・滝口俊子『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』2002・創元社

2024年04月07日 | 心理療法に学ぶ

 2019年春のブログです

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 神田橋條治さんと滝口俊子さんの対談『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』(2002・創元社)を再読しました。

 これもずいぶん久しぶりの本で、アンダーラインがあまりなかったのも、先日の下坂さんの本と同じです。

 しかし、この本も再読をしてみるとすごい本で、当時のわたしは本当に何を読んでいたんだろうと、反省すること大です。

 良く解釈をすれば、この20年ほどの間に、これらの本が少しは理解をできる程度に成長してきた、といえるのかもしれませんが、それにしてもお粗末です。

 例によって、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、これも最近よく目にしますが、部分の中に全体がある、という考え方。

 神田橋さんは、フラクタル理論から思いつかれたとのことですが、精神分析ではいろんな方が同じような趣旨のことを言われます。 

 だからこそ、今、ここで、の重要性が強調されることになります。

 二つめは、これもよく指摘されますが、現在によって過去の記憶が変わるということ。

 ゆえに、現在を充実させられれば、過去の記憶も充実したもの、意味のあるものに変化をする可能性があるということで、心理療法の意味付けにもなりそうです。

 こういう大切なお話が、神田さんと滝口さんの人生を振り返りながら話されますので、すごい読み物になっています。

 お二人とも、ご自分の信ずる道をていねいに生きてこられた方なので、その語りには重みと説得力があります。

 特に、神田橋さんのお話は、やや毒舌気味とところがありますので、痛快です。

 その神田橋さんでも、中井久夫さんの天才ぶりには圧倒されっぱなしのようで、中井さんがいかにすごい人なのかがわかります。

 この本も読んで損をしないいい本だと思います。

 こちらもまた数年内に再読をぜひしたいなと思いました。    (2019.4 記)

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 2022年2月の追記です

 よく考えると、本書の題名である、不確かの中を、という言葉も、わからないことやあいまいさに耐えることの大切さ、と関係しているように思います。    (2022.2 記)

 

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下坂幸三『心理療法のひろがり』2007・金剛出版-ていねいな心理面接に学ぶ

2024年03月16日 | 心理療法に学ぶ

 2011年のブログです

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 このところ、何だか自分の面接がやや雑になっていたような気がして、下坂幸三さんの『精神療法の条件』(1988・金剛出版)や『心理療法の常識』(1998・金剛出版)、『フロイト再読』(2007・金剛出版)、『心理療法のひろがり』(2007・金剛出版)、そして、成田善弘さんの『新訂増補精神療法の第一歩』(2007・金剛出版)などを再読しました。

 少し修正ができたような感じがしています。

 やはり時々、振り返りが必要なようです。

 特に、下坂さんの「家族面接」の技法は参考になります。

 じーじも同席面接をする時には、下坂さんの技法を真似て実践をしているのですが、まだまだ上手にはできません。

 しかし、時々、手ごたえのある面接ができることもあるような気がしています。

 もっともっと面接の質を上げていきたいなと思っています。    (2011記)

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 2019年冬の追記です

 ひさしぶりに下坂さんの『心理療法のひろがり』を再読をしました。 

 この間、1回くらいは読んでいるような気もしますが、例によって(?)記憶がはっきりしません。付箋は3種類くらいが貼られているのですが…。

 なお、上記の本のうち『フロイト再読』も再読をして、その感想は先日、ブログに書きましたので、よかったら読んでみてください(理論、言葉、心的現実などについて書きました)。

 今回、印象に残ったことを二つ、三つ。

 一つめは、どこかにも書きましたが、「なぞる」ことの大切さ。

 クライエントや家族の言うことを繰り返し、あるいは、要約をして返して、確認をすることの重要性です。

 じーじはこれがおろそかになりやすく、面接が上滑りしやすいなあ、と改めて反省をしました。

 二つめは、やはり言葉にこだわること。

 その人が使っている言葉の意味するところを徹底的に明らかにすることが心理療法に繋がると説きます。

 三つめが、少しの改善の積み重ねということ。

 心理療法では、ホームランを狙わずに、ヒットを繋げていくことが大切なようで、じーじはここでイチロー選手を思い浮かべました。

 いずれも、最近、じーじの面接で少し努力が不十分になっていたように思いましたので、さらに研鑽を深めていきたいと思いました。    (2019.2 記)

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 2022年の追記です

 今考えると、クライエントさんが話されることを「なぞる」ことがうまくいく時には、クライエントさんが使っている「言葉」に込められている意味が次第にわかってくることと重なっているような気がします。     (2022.2 記)

 

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藤山直樹ほか監修『事例で学ぶアセスメントとマネジメント-こころを考える臨床実践』2014・岩崎学術出版社

2024年03月15日 | 心理療法に学ぶ

 2015年のブログです

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 藤山さんらが監修をされた『事例で学ぶアセスメントとマネジメント-こころを考える臨床実践』(2014・岩崎学術出版社)を再読しました。

 やはり勉強になる本です。 

 精神分析的心理療法の初学者がベテラン2名にスーパーヴィジョンを受ける形式ですが,分析的な理解がとてもわかりやすく書かれています。

 同じ現象をベテランはこんなに深く広く捉えられるんだと感動さえさせられます。

 毎年参加させてもらっている精神分析学会で,同じ資料から先生がたは本当に多様で幅広く,そして深い理解を示されて唖然とすることが多いのですが,その一端がこの本でも体験できると思います。

 もっともっと勉強をして,患者さんに役立つ理解を適切な形でうまく伝えられるようになりたいなと思いました。    (2015.5 記)

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 2020年3月の追記です

 久しぶりに読み返しました。やはり勉強になるいい本です。今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、カウンセリングをしましょう、という時の、カウンセリング、という言葉の意味が、カウンセラーとクライエントさんの間で違っている場合があるので要注意ということ。

 これは、カウンセリングという言葉だけでなく、他の言葉、例えば、幸せ、とか、口うるさい、とか、厳しい、とかいった場合でも同様で、具体的に、細やかに、クライエントさんに話してもらい、理解をしていく必要があります。

 二つめは、困っている相談主体をはっきりさせること。 

 困っている人と問題行動を起こしている人が違っている場合がありますので、大切な点です。

 三つめは、クライエントさんを頑張りさせすぎないこと。

 無理は続きませんし、かえってクライエントさんを傷つける場合があります。

 背伸びをしたり、カウンセラーに気に入られようとして無理をしているような時には、クライエントさんの気持ちは尊重しつつ、無理をしようとしているクライエントさんの心理も検討をして、現実吟味をしっかりとしていくことが大切になるようです。

 まだまだ勉強しなければならないことがたくさんあって、さらに読みを深めていきたいと思いました。    (2020.3 記)

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 2023年秋の追記です

 同じ言葉でも、人によって意味するところが違うということは、家庭裁判所の仕事でもずいぶん経験しました。

 妻のいう「暴力」と夫のいう「暴力」、子どものいう「自由」と親のいう「自由」の違い。

 聴いてみると、中身がずいぶん違ったりします。

 それですれ違いになっている例が多くありました。

 このすれ違いを理解する方法を下坂幸三さんがわかりやすく教えてくださっています。

「なぞる」という方法で、各人の言葉に込められた細かいニュアンスを拾っていきます。

 ていないな臨床家は、おそらく、みなさん、同じような作業をされているのでしょう。

 もっともっと学んでいこうと思います。    (2023.9 記)

 

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霜山徳爾『素足の心理療法』1989・みすず書房-真摯な臨床への姿勢に学ぶ

2024年03月09日 | 心理療法に学ぶ

 たぶん2015年ころのブログです

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 霜山徳爾さんの『素足の心理療法』(1989・みすず書房)を再読しました。

 この本もものすごく久しぶりになってしまい、おそらく10年ぶりくらいです(霜山さん、ごめんなさい)。

 いい本で、何度も読む価値のある本なのですが…。

 まったくの勉強不足です。

 とても中身の重い本ですので、軽々しくは読めない思いで、読むときには姿勢をただして読もうと思っているうちに年月がたってしまいました。

 今回はボランティアでおじゃまをしている精神科デイケアで、自分の対応を考えながら読みました(メンバーさん、ありがとうございました)。

 内容は心理療法に大切なことがらを一つ一つていねいに述べられているのですが、いずれもがご自身の実践や体験に裏づけられているので、ひと言ひと言がすごく重いです。

 例えば、沈黙ということ。

 沈黙の持つ価値についてこまやかに述べられています。

 饒舌の、言葉の垂れ流しになっている現代には貴重なご意見だと思います。

 また、人間の限界、その中での温かさ、小さなことがらこそが世界に繋がること、ユーモアの大切さ、などなど、書ききれないほどの豊かな内容が述べられています。

 そして、おそらくは、初心者だけでなく、むしろ、中級者以降の人たちに役立つ、そして、考えるきっかけとなる大切なことがらが詰まっています。

 10年間、放っておくのは本当にもったいないいい本です。

 今後はもう少し頻繁に紐解いて勉強をしていこうと思います。       (2015?記)

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 2024年3月の追記です

 昨日のTBS報道特集を見ていると、以前、能登半島の珠洲市にも原発建設の話があったようで、反対派と賛成派に分かれて大変だったようです。

 結局は電力会社があきらめたのですが、反対派は無言電話などの嫌がらせを受けたり、子どもたちが先生から嫌味を言われたりと、ひどい扱いを受けたようです。

 しかし、もし、この時、珠洲に原発ができていたら、今回は?と思うと、背筋が寒くなります。

 地震大国日本ではやはり原発は無理なのかもしれません。   (2024.3 記)

 

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下坂幸三・飯田眞編『家族療法ケース研究5・うつ病』1993・金剛出版-ていねいな家族療法に学ぶ

2024年03月02日 | 心理療法に学ぶ

 2020年3月のブログです

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 下坂幸三さんと飯田眞さん編集の『家族療法ケース研究5・うつ病』(1993・金剛出版)を久しぶりに読みました。 

 家族療法学会にはしばらく顔を出していませんので、なんとなく疎遠になった感じですが、しかし、実はじーじの面接は、50歳前後のしばらくの間、家族療法の勉強の中で鍛えられた感じがします。

 面接の逐語録をそのまま報告書に書いて、調停委員さんには評判が良かったのですが、裁判官からは、もう少し短く書いてくださいね、と注文をつけられたりしました(裁判官さん、ごめんなさい)。

 その後は、精神分析的な面接が中心になっていますが、母子面接などの家族面接も大切だと考えていて、その重要さは変わりません。

 今回、うつ病の家族療法を再読して、懐かしさとともに、新たに考えるところが多々ありました。

 例によって、印象に残ったところを一つ、二つ。

 一つめは、後藤雅博さんの、うつ病患者さんの家族合同面接。

 後藤さんは新潟の家族療法の第一人者で、裁判所の研修にもたびたび講師で来ていただいて、勉強させていただきました。

 この論文では、うつ病の夫と妻の合同面接を逐語録も提示されてていねいに検討されていて、とても参考になります。

 特に、リフレーミング(再枠づけ)がうまいなあ、と感心させられました。

 二つめは、すっかり忘れていたのですが、大平健さんの「妄想を伴ったうつ病患者の一例」という論文。

 大平さんといえば、『診察室に来た赤ずきんちゃん』『やさしさの精神病理』などで有名ですが、家族療法の論文も書かれているのは意外な感じでした(一度読んでいるはずなのに、意外、もなにもないのですが…。大平さん、ごめんなさい)。

 例によって、大平さんのドラマのような症例報告で、堪能させられました。やはりすごいです。

 昔の本を、新刊本のように(?)新鮮な気持ちで読むことができて、とても贅沢な1週間でした。   (2020.3 記)

 

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松木邦裕『摂食障害というこころ-創られた悲劇/築かれた閉塞』2008・新曜社-患者さんの健康なこころと対話する

2024年02月07日 | 心理療法に学ぶ

 2020年2月のブログです

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 松木邦裕さんの『摂食障害というこころ-創られた悲劇/築かれた閉塞』(2008・新曜社)を再読しました。

 何回か読んでいるのですが、レポートは初めて。

 ようやく、少しは自分のものになってきたのかもしれません。

 松木さんが、自分が摂食障害について書くのは最後の本、というだけに、摂食障害という病いの成り立ち、病態、治療などについて、精神分析的な立場からかなり細やかな理解を示されていて、とても参考になります。

 じーじが今回、特に勉強になったのが、摂食障害の患者さんへの精神分析的な面接についての章。

 摂食障害の人との面接で留意すべき点がたくさん示されていて、勉強になります。

 たとえば、患者さんの話をよく聴くだけでは不十分、という点。

 話をよく聴くだけでもかなりの努力を要しますが、それだけでは面接は深まらないので、聴ききれない点や不思議に思う点を聴き返すべきだと説明されます。

 そうすることで初めて、患者さんが本当に考え、面接が深まり、治療が進む、といいます。卓見です。

 このことは摂食障害の患者さんだけでなく、他のパーソナリティ障害の患者さんなどにも大切なことがらだと思われました。

 これに関連して、患者さんのこころの中には、健康な部分と病気の部分があるという見方。

 患者さんの病気のこころに引っ張りまわされずに、健康なこころと対話をしていくことが大切といいます。

 その他にも勉強になることがたくさん、まるで宝箱のような章です。

 もっともっと読み込んで、いい面接ができるようになりたいと切に思いました。   (2020.2 記)

  

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遠藤裕乃『ころんで学ぶ心理療法-初心者のための逆転移入門』2003・日本評論社

2024年01月31日 | 心理療法に学ぶ

 2020年6月のブログです

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 遠藤裕乃さんの『ころんで学ぶ心理療法-初心者のための逆転移入門』(2003・日本評論社)をかなり久しぶりに読みました。

 このおもしろい題名の本、本の帯に、失敗からはじまるセラピストの第一歩、とあります。

 ころんだり、失敗したり、とたいへんですが、著者が自身の体験から学んだことを率直に書いていて、とても勉強になります。

 こんなことあるよな、こんなことしちゃったな、こんなことで困ったよな、と思い当たることばかりです。

 みなさん、同じような経験をしているんだな、と思えることが目白押しです。

 本の題名どおり、心理療法は失敗から学ぶのでしょうし、ころんでなんぼの世界なんだな、と納得させられます。

 決して初心者だけの問題でなく、おそらく中級者以上の人にでも勉強になる本だと思います。

 例によって、今回、特に印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、逆転移を通して理解できるクライエントの世界。

 クライエントさんから理由のないような攻撃をされると辛いものがあります。 

 しかし、クライエントさんはいつもそういう世界にいるという理解、これはやはり大きいと思います。

 そう思ってもとても疲れますが、しかし、この理解は大切ですし、セラピストが生き残るために必要だろうと思います。

 二つめは、クライエントさんの言動の激しさに驚かずに、そこでのクライエントさんのおっしゃりたいことを明確にしていくことの大切さでしょうか。

 クライエントさんと一緒にクライエントさんの世界をていねいに理解することが、クライエントさんとセラピストの両方を生き残らせてくれるようです。

 他にも、初心者や中級者の勉強になることがいっぱい、いい本です。     (2020.6 記)

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 2024年1月の追記です

 先日の能登半島地震でじーじの本棚から崩れてきた本を整理していたら、長年、行方不明だった本を2冊も発見しました(他にもまだありそうな気もします)。

 中井久夫さんの『治療文化論』と大平健さんの『食の精神病理』。どちらもとても読みたかった本です。

 こういうのを、ころんでもただでは起きない、というのでしょうか(?)。すこし違いますかね(?)。

 これで1か月は楽しめそうです。

 そして、ころんだ藤澤五月ちゃんは今年も大活躍中(!)。

 長生きをしていると、いろんなことが起きて、面白いなあ、と思います。   (2024.1 記)

 

 

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下坂幸三『フロイト再読』2007・金剛出版-丁寧でこまやかな精神分析的面接に学ぶ

2024年01月28日 | 心理療法に学ぶ

 2019年冬のブログです

     *

 下坂幸三さんの『フロイト再読』(2007・金剛出版)を再読しました。

 もう何回目になるでしょうか。

 本の中は何種類かの付箋とアンダーラインで大変なことになっています。

 下坂さんの晩年の論文が載っていますが、学ぶことばかりです。

 今回、印象に残ったことを二つ、三つ。

 一つめは、理論は繰り返し脇のほうに押しやることが大切で、それでも押し戻してくるものが重要、との指摘。 

 初心者のうちは、じーじもそうですが、つい理論に左右されがちですが、理論を忘れたくらいのところで勝負をすることがいいようです。

 たしか、ビオンさんも同じようなことを言っていたように思うのですが…。

 二つめは、言葉に安易に納得しないことの大切さ。

 同じ言葉でも、人によっては込められた意味がまったく違うので、徹底的にその意味するところをきいていくことが重要になります。

 それが即心理療法になるといえそうです。

 本書ではその具体例がたくさん示されていて、勉強になります。

 三つめは、心的現実の扱い方について。

 心的現実を尊重することは重要だが、全面的に肯定をすることの危険性も指摘されます。

 よくきくが、大きく頷くことはしない、という冷静な対応が、クライエントの歪んだ考えを少しずつでも訂正していく、との指摘は卓見です。

 統合失調症の患者さんの妄想のきき方にも通じそうです。

 最後、症例論文のクライエントさんの許可の問題。

 世の中、許可を得ることが流行となっていますが、その弊害を指摘します。

 まったく同感です。

 たしか、藤山直樹さんも同じようなお考えだったと思います。

 プライバシーの保護というのなら、許可を求める行為自体がプライバシーの保護を侵害することになりえる可能性も考慮しなければならないだろうと思います。

 難しい問題ですが、クライエントさんの本当の意味での保護と尊重ということをもっともっと深く考え、議論していかなければならないと思います。

 いずれにしても、まだまだ力不足であることを痛感します。

 さらに勉強を深めたいと思います。  (2019. 2 記)

 

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