植物化学調節学会第45回大会が11月1、2日に神戸大学百年記念館で開催された。今回の大会は、90の演題があり、当日参加を含めて191名の参加があった。初日午前は40の演題について口頭発表(ショートプレゼンテーション)があった。午後からは、総会、学会賞の授与、受賞講演、特別講演、45回大会記念講演があった。総会では、次期会長に筑波大学の鎌田 博先生(任期3年)が当選されたこと、第46回大会は平成23年11月1、2日に宇都宮大学で開催すること等の報告・議事があった。学会賞各賞受賞者は以下のとおり。
学会賞 渡辺修治(静岡大学創造科学技術大学院)
「花香気成分の生合成・発散制御の分子機構に関する生物有機化学的研究」
渡辺先生は、バラの香気成分の生合成を中心に研究をされており、生合成経路の解明、生合成酵素の解析を行なってきた。
学会賞 南原英司(トロント大学細胞システム生物学科)
「アブシジン酸の代謝・情報伝達に関わる分子遺伝学的研究」
南原先生は、アブシジン酸(ABA)の生合成・分解を中心に、分子遺伝学的手法によりABAに関して様々な発見をされてこられた。
奨励賞 岡澤敦司(大阪大学大学院工学研究科)
「寄生植物の光応答に関する生理生化学的研究」
岡澤博士は、寄生植物の発芽と光応答との関係を解析し、寄生植物防除につなげる研究を進めている。
奨励賞 真籠洋(理化学研究所植物科学センター)
「ジベレリン活性を制御する酵素の分子生物学的研究」
真籠博士は、ジベレリン(GA)代謝酵素の解析から内生GAレベル調節についての研究を進めている。
特別講演は、Abdel Gabar Babiker博士(College of Agricultural Studies, Sudan University of Science and Technology)が「Strigolactones : A genuine target for root parasitic weeds management」というタイトルで、アフリカにおいて寄生植物が農業生産に与える影響とその防除対策について講演された。45回大会記念講演は、Peter Hedden 博士(Rothamsted Research)が「Gibberellin biosynthesis and signal transduction: their roles in reproductive development and root growth」というタイトルで、ジベレリンの根の成長における役割についての逆遺伝学的手法を用いた解析について講演された。
学会会場となった神戸大学百年記念館
会場内風景