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論文)シロイヌナズナの葉の大きさを制御するF-boxタンパク質

2017-07-15 15:13:00 | 読んだ論文備忘録

F-Box Protein FBX92 Affects Leaf Size in Arabidopsis thaliana
Baute et al. Plant Cell Physiol. (2017) 58:962-975.

doi:10.1093/pcp/pcx035

トウモロコシゲノム中には約350のF-boxタンパク質をコードする遺伝子が見出されている。ベルギー VIB-ゲント大学 植物システムバイオロジーセンターのInzé らは、その中のZmFBX92 をシロイヌナズナで恒常的に発現させたところ、葉が大きくなることを見出した。また、この形質転換体は浸透圧ストレスに対して野生型よりも耐性が向上していた。ZmFBX92 発現個体のロゼット葉の面積増加は発生過程の非常に早い段階から確認され、これは葉の細胞数が増加していることによって生じていた。しかしながら、トウモロコシでZmFBX92 を過剰発現させても葉の大きさに変化は見られなかった。一方、ZmFBX92 のシロイヌナズナオーソログのAtFBX92 (At3g07870)を恒常的に発現させたシロイヌナズナは、野生型よりも葉が小さくなり、この表現型は葉の発生過程初期から見られた。AtFBX92 発現個体の成熟葉は野生型よりも小さく、これは細胞数の減少によるものであり、細胞の大きさの拡大によって部分的に相殺されていた。AtFBX92 をターゲットとする人工マイクロRNAを発現させたamiFBX92 個体は、細胞数の増加によって野生型よりも葉が大きくなり、細胞の大きさが小さくなることによって部分的に相殺されていた。AtFBX92タンパク質にはF-boxドメインのC末端側にF-box関連ドメインがあるが、ZmFBX92タンパク質にはない。F-box関連ドメインを欠いたAtFBX92 を発現させた植物は野生型よりも葉が大きくなった。この面積の増加は、ZmFBX92 発現個体やamiFBX92 個体と同様に、発達過程の非常に早い段階で確認された。AtFBX92 は若い芽生えでは全体的に発現しており、胚軸での発現は幾分弱く、根での発現は強くなっていた。葉での発現は、若い葉よりも成熟した葉で発現が強くなっていた。土耕栽培したAtFBX92 発現個体は野生型よりも小さくなり、amiFBX92 個体やF-box関連ドメインを欠いたAtFBX92 を発現させた個体は野生型よりも大きくなった。また、AtFBX92 発現個体の葉は上編成長していた。amiFBX92 個体やF-box関連ドメインを欠いたAtFBX92 を発現させた個体の葉では、細胞周期を正に制御する遺伝子および負に制御する遺伝子の発現量が増加しており、AtFBX92 発現個体では減少していた。以上の結果から、F-box遺伝子のAtFBX92 は、細胞分裂や細胞周期に影響することで葉の大きさを負に制御していると考えられる。

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