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論文)イネのストリゴラクトンシグナル伝達活性化転写因子

2017-10-27 21:38:36 | 読んだ論文備忘録

IPA1 functions as a downstream transcription factor repressed by D53 in strigolactone signaling in rice
Song et al. Cell Research (2-17) 27:1128-1141.

doi:10.1038/cr.2017.102

イネIdeal Plant Architecture1(IPA1)はSQUAMOSA PROMOTER BINDING PROTEIN-LIKE(SPL)ファミリーに属する転写活性化因子で、分けつの成長を負に制御しているTEOSINTE BRANCHED1OsTB1 )遺伝子のプロモーター領域に結合して分けつ数の増加を抑制している。中国科学院遺伝与発育生物学研究所Li らは、ゲノム編集によってIPA1の機能喪失変異体ipa1-10ipa1-11 および機能獲得変異体ipa1-3Dipa1-4D を作成し、表現型を調査した。その結果、ipa1-10ipa1-11 は分けつ数が増えて矮化し、ipa1-3Dipa1-4D は分けつ数が減少した。これまでにイネにおいて見出されてきた分けつ数に関する変異体はストリゴラクトン(SL)に関与したものであることから、ipa 変異体のSL(rac-GR24)に対する感受性を調査したところ、機能喪失変異体も機能獲得変異体もSL処理による分けつ数変化を示さず、SL非感受性であった。したがって、IPA1はSLシグナル伝達に関与していると考えられる。IPA1 mRNA量やIPA1タンパク質量はSL処理をしても変化せず、野生型イネとSL関連変異体との間でIPA1タンパク質量に差異は見られなかった。よって、SLはIPA1 の転写や翻訳に影響していないと考えられる。そこで、SLシグナル伝達の抑制因子であるDWARF53(D53)との関係について調査したところ、IPA1はD53と直接相互作用をすることが確認された。また、ベンサミアナタバコを用いた一過的発現解析から、D53がIPA1の転写活性化機能を阻害することがわかった。IPA1とD53との相互作用を詳細に解析したところ、IPA1のN末端ドメインとDNA結合活性に関与しているSBP-boxがD53と相互作用をしており、IPA1のC末端ドメインはD53と相互作用をせず、IPA1の転写活性化機能に関与していることがわかった。また、D53とIPA1との相互作用はIPA1のDNA結合活性には影響しないことがわかった。クロマチン免疫沈降(ChIP)-seq解析から、IPA1はD53 遺伝子プロモーター領域に結合することが確認された。また、この領域はIPA1が結合するGTACエレメントを含んでいた。さらに、IPA1はD53 プロモーターに直接結合して転写を活性化することがわかった。したがって、IPA1はD53 の発現を促進することで負のフィードバックループを形成している。野生型植物ではSL処理をすることでD53 転写産物量が増加するが、d53ipa1-10ipa1-3D の各変異体ではD53 転写産物量の変化は見られなかった。したがって、イネのSLシグナル伝達経路では、D53がIPA1の転写活性化活性を抑制することで下流遺伝子の発現を抑制しており、これは同時にD53 の転写も抑制し、SL応答の負のフィードバックループを形成している。IPA1はmiRNA156およびmiRNA529による転写後調節を受けており、miRNA156過剰発現個体(miR156OE )は分けつ数が劇的に増加し、IPA1 を含むSPL 遺伝子群の発現量が大きく減少する。miR156OE にSL処理処理をしても、分けつ数の減少やD53 の発現誘導は野生型と比べると僅かであった。ipa1-1D d53 二重変異体は、d53 変異による分けつ数の増加が抑制された。同様に、ipa1-1D d27 二重変異体やipa1-1D d10 二重変異体は、d27d10 といったSL生合成欠失変異による分けつ数の増加を抑制した。よって、IPA1はSLシグナル伝達経路においてD53の下流で作用していることが示唆される。以上の結果から、IPA1はSLシグナル伝達の活性化因子として機能し、SL非存在下ではD53と相互作用をして転写活性化機能が阻害されているが、SL存在下でD53がプロテアソーム系で分解されるとターゲット遺伝子の転写が活性化すると考えられる。また、IPA1はD53 遺伝子のプロモーター領域に結合してD53 の発現を活性化し、負のフィードバックループを形成する。

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