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論文)JAZタンパク質による花の脱離制御

2013-03-29 13:13:42 | 読んだ論文備忘録

A Jasmonate ZIM-Domain Protein NaJAZd Regulates Floral Jasmonic Acid Levels and Counteracts Flower Abscission in Nicotiana attenuata Plants
Oh et al.  PLoS ONE (2013) 8:e57868.
doi:10.1371/journal.pone.0057868

ジャスモン酸(JA)は植物の成長や防御応答に関与している植物ホルモンで、Jasmonate ZIM-Domain(JAZ)タンパク質はJAシグナル伝達の負の制御因子として機能している。ドイツ マックス・プランク化学生態学研究所Galis(現 岡山大学資源植物科学研究所)らは、野生タバコNicotiama attenuata に12個存在するJAZ 遺伝子のうちのNaJAZd について詳細な機能解析を行なった。N. attenuata のロゼット葉に傷害を与えるとNaJAZd の発現量が一過的に増加し、傷害葉にタバコスズメガ(Manduca sexta )の口腔分泌液(OS)を処理すると発現量がさらに増加した。RNAiによってNaJAZd を発現抑制したタバコ(irJAZd)でのタバコスズメガ幼虫の成長は、野生型植物を摂食させた場合と差は見られなかった。また、irJAZd系統のロゼット葉に傷害を与えてOS処理した後のJA-Ile、JA、サリチル酸、アブシジン酸といった防御応答ホルモン類の変化は、野生型植物と大きな違いは見られなかった。しかし、ニコチアナ属植物の虫害応答二次代謝産物であるニコチンの含量は有意に増加した。したがって、NaJAZdはニコチンの生合成もしくは根から葉への輸送を負に制御していることが示唆される。irJAZd系統を本来の生育地である米国ユタ州の砂漠で育成し、生物・非生物ストレスに対する応答性を野生型植物と比較したが、大きな違いは見られなかった。irJAZd系統は栄養成長に関して野生型植物との違いは見られなかったが、種子生産量が少なく、これは果の減少によるものであった。しかしながら、花芽の数、花弁の開き具合、花粉の成熟、柱頭の長さはirJAZd系統と野生型植物で違いは見られなかった。irJAZd系統の蕾数は野生型植物と同等もしくはやや多く、花冠長も長めであったが、脱離してしまう花が多いために開花した花の数が減少していた。花の脱離は花弁が完全に開いた花において見られ、未熟な花や蕾では起こらなかった。したがって、NaJAZdは花の発達後期の脱離を抑制する機能があると考えられる。野生型植物の花の発達過程でのNaJAZd の発現量を見ると、蕾から花冠の伸長過程までの期間で高く、花弁が開く時期には発現量は減少していた。花の脱離を制御するシグナルの1つであるエチレンは、花が発達すると共に発生量が増加したが、野生型植物とirJAZd系統でエチレン発生量の差は見られなかった。花の発達過程でのJAおよびJA-Ileの含量は、irJAZd系統では野生型植物よりも少なくなっていた。花の発達過程のうちの、雄ずいの成熟、花弁の展開、花蜜の生産の制御に関与しているR2R3-MYB転写因子NaMYB305 の発現を見たところ、野生型植物もirJAZd系統も花の発達に伴なって同じように転写産物量が増加していったが、開花した花でのNaMYB305 転写産物量はirJAZd系統では野生型植物よりも少なくなっていた。野生型植物とirJAZd系統の傷害+OS処理ロゼット葉での遺伝子発現を網羅的に解析したところ、一次代謝に関与している遺伝子の幾つかの発現量がirJAZd系統において減少していた。したがって、irJAZd系統では、葉から花へ供給される栄養源が少ないために花が脱離することも考えられる。

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1 コメント

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はじめまして、初コメントです! (めぐみ)
2013-03-30 19:30:48
はじめまして!めぐみっていいます、他人のブログにいきなりコメントするの始めてで緊張していまっす(゜▽゜*)ニパッ♪。ちょくちょく見にきてるのでまたコメントしにきますね(。-_-。)ポッ

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