Laboratory ARA MASA のLab Note

植物観察、読んだ論文に関しての備忘録
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論文)サリチル酸シグナル伝達に関与するメディエーターサブユニット

2013-01-18 05:55:45 | 読んだ論文備忘録

Non-Recognition-of-BTH4, an Arabidopsis Mediator Subunit Homolog, Is Necessary for Development and Response to Salicylic Acid
Canet et al.  The Plant Cell (2012) 24:4220-4235.
doi:10.1105/tpc.112.103028

サリチル酸(SA)は防御応答や成長制御のシグナル分子として機能している。SAシグナル伝達に関与する因子としては、NON-EXPRESSER OF PATHOGENESIS-RELATED GENE1(NPR1)が知られており、NPR1のパラログのNPR3、NPR4はSAとの結合能を有している。スペイン バレンシア工科大学のTornero らは、SAシグナル伝達に関与する新規因子を単離することを目的に、SAのアナログ物質であるベンゾチアゾール(BTH)に対して非感受性となるシロイヌナズナ変異体を単離し、解析を行なった。Non-Recognition-of-BTH4NRB4 )と命名した遺伝子座に変異のある単離された植物体はnpr1-1 変異体のようにBTHに対して非感受性であり、BTH存在下での成長抑制が起こらなかった。また、npr1 変異体芽生えは高濃度SA条件では成育できないが、nrb4 変異体も同様の傾向を示した。更に、病害応答性の低下についてもnrb4 変異体はnpr1 変異体と類似していた。nrb4 npr1 二重変異体の解析から、両者は相加的に作用することが示唆された。nrb4 変異体においてNPR1タンパク質の安定性や核局在に変化は見られないことから、NRB4はNPR1の下流において機能していると考えられる。NRB4 はAt1g15780にコードされており、翻訳産物のN末端側にKIXドメインが、中央部にGln-rich領域が含まれていた。単離された3種類のnrb4 対立遺伝子は全てKIXドメインに点変異が見られた。T-DNA挿入nrb4-4 変異体は成長が遅いために野生型よりも小さく、葉のトライコームの表面に見られる乳頭突起とトライコームの基部の細胞群が欠落していた。またトライコームの腕にも異常が見られた。npr1 変異体は核の内複製を野生型よりも多く起こすことが知られているが、nrb4-4 においても同じ現象が見られた。nrb4-4 変異体を長日条件で育成すると抽だいは起こすが、殆ど花成せず、まれに花成しても花に雄ずいがなく、心皮は胚珠を完全には包み込んでいなかった。nrb4 変異体のSA含量は通常条件では野生型と同等だが、病原菌の感染によるSA蓄積増加量は野生型よりも高くなった。しかしながら病原菌に対する抵抗性は非常に低くなっていた。NRB4は転写調節に関与するメディエーターのモジュールの1つであるMED15のオーソログであると思われ、SA応答の際の転写制御に関与するメディエーターのサブユニットとして機能していることが推測される。マイクロアレイデータによると、NRB4 の発現量は各種刺激による変化が見られず、npr1 変異体での発現量も野生型と同等であった。酵母two-hybridアッセイにおいてNRB4とNPR1は物理的相互作用を示さなかった。NRB4タンパク質には核局在シグナルは含まれていないが、GPPとの融合タンパク質を発現させたところ、強い核局在が観察された。また、この核局在性はBTH処理による変化は見られなかった。NRB4 を過剰発現させた形質転換体は病害応答性に大きな変化は見られなかったが、SAに対する感受性は高くなっていた。以上の結果から、メディエーターサブユニットと推測されるNRB4はNRP1の下流においてSA応答に関与していると考えられる。

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論文)エチレンによる胚軸伸長制御とCOP1との関係

2013-01-14 20:03:10 | 読んだ論文備忘録

Involvement of COP1 in ethylene- and light-regulated hypocotyl elongation
Liang et al.  Planta (2012) 236:1791-1802.
DOI:10.1007/s00425-012-1730-y

シロイヌナズナ黄化芽生えをエチレン(ACC)処理すると胚軸伸長が抑制されるが、明所育成芽生えでは伸長が促進される。よって、エチレンは胚軸伸長に対して光条件の違いによって反対の効果を示すが、その機構については明らかとなっていない。中国 蘭州大学Bi らは、シロイヌナズナの各種変異体芽生えを用いて、明所と暗所でのエチレンの胚軸伸長に対する効果の違いをもたらす因子の解析を行なった。エチレン非感受性変異体であるetr1-3ein2-1 は明所においても暗所においてもACC処理による胚軸伸長変化が見られず、この過程にはエチレンシグナル伝達が必要であることが示唆される。明所での胚軸伸長はオーキシンによって促進されることから、オーキシン非感受性変異体tir1-3axr1-3axr1-12 でのACCの効果を見たところ、暗所での伸長抑制は起こったが、明所での伸長促進は見られなかった。したがって、エチレンによる明所での胚軸伸長促進はオーキシンを介してなされていると考えられる。オーキシン応答DR5プロモーター制御下でレポーター遺伝子を発現するコンストラクトを導入したシロイヌナズナ芽生えにおいて、明所ではACC処理によって胚軸でのレポーター遺伝子の発現誘導が観察されたが、暗所では発現は見られなかった。オーキシン生合成酵素をコードするTAA1YUCCA1YUCCA5 は明所においてエチレンによって発現が促進されるが、暗所ではTAA1 の発現は促進されるが、YUCCA1YUCCA5 の発現は抑制された。したがって、YUCCA1YUCCA5 の発現量変化と胚軸のIAA量とは一致している。オーキシン輸送に関与する因子のACCによる発現量変化を見たところ、PIN7AUX1PGP19 の発現がACC処理によって明所では促進され、暗所では抑制されること、PIN3PGP1 の発現がACC処理によって明所で促進されることがわかった。したがって、エチレンは明所育成芽生え胚軸でのオーキシンの生合成、輸送、分布に対して影響していることが示唆される。シロイヌナズナの光形態形成において、bZIP型転写因子のELONGATED HYPOCOTYL 5(HY5)は正の制御因子として機能し、CONSTITUTIVE PHOTOMORPHOGENIC 1(COP1)ユビキチンリガーゼはHY5の分解に関与することで光形態形成の抑制を行なっている。よって、hy5 変異体やCOP1 過剰発現個体では明所での胚軸伸長が促進され、cop1 変異体は暗所での胚軸伸長が抑制されて、明所育成芽生えと同等になる。ACC処理による明所での胚軸伸長促進は、hy5 変異体やCOP1 過剰発現個体においても見られるが、促進の程度は野生型と比較すると劣っていた。暗所で育成したcop1-4 変異体芽生えをACC処理すると胚軸伸長が促進され、野生型の芽生えではACC処理によって胚軸伸長が抑制された。よって、COP1がエチレン処理による胚軸伸長制御の重要な因子であることが示唆される。エチレンシグナル伝達経路に関与してるETHYLENE-INSENSITIVE 3(EIN3)転写因子を過剰発現させた芽生えは、明所においては胚軸伸長が促進され、暗所においては胚軸伸長が抑制された。EIN3 を過剰発現させたcop1-4 変異体暗所育成芽生えは、胚軸がcop1-4 変異体よりも長く、EIN3はエチレンによる胚軸伸長に関与していると考えられる。暗所で育成したcop1-4 変異体はACC処理によって胚軸伸長が促進されるが、同時にオーキシン輸送阻害剤のNPAで処理すると伸長促進が抑制された。よって、暗所育成cop1-4 変異体芽生えのACCによる胚軸伸長促進はオーキシンを介してなされており、オーキシン輸送がこの過程に関与していると考えられる。YUCCA1YUCCA5 の発現はACC処理と同様にEIN3 過剰発現個体においても明所育成芽生えでは促進され、暗所では抑制された。cop1-4 変異体では暗所においてもACC処理もしくはEIN3 の過剰発現によってYUCCA1YUCCA5 の発現が促進されることから、COP1はEIN3の転写促進活性を制御していると考えられる。EIN3によって発現が促進されるETHYLENE RESPONSE FACTOR 1ERF1 )の発現は、ACC処理もしくはEIN3 過剰発現によって明所においては促進され、暗所においては抑制されるが、cop1-4 変異体ではACC処理もしくはEIN3 過剰発現によって暗所においても発現の促進が起こった。以上の結果から、エチレンによる胚軸伸長制御は、明所ではEIN3によるYUCCA1YUCCA5 の発現促進によってオーキシン量が増加して胚軸伸長が促進し、暗所ではCOP1によってEIN3の転写活性が抑制され、EIN3の下流に位置するYUCCA1YUCCA5 の発現が抑制されて胚軸伸長が抑制されるものと考えられる。したがって、胚軸伸長に対するエチレンの効果の光条件による違いには、COP1が重要な役割を演じていると考えられる。

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論文)グルタミンアミドトランスフェラーゼによる分枝形成制御

2013-01-09 05:59:08 | 読んだ論文備忘録

A Nitrogen-Regulated Glutamine Amidotransferase (GAT1_2.1) Represses Shoot Branching in Arabidopsis
Zhu and Kranz  Plant Physiology (2012) 160:1770-1780.
doi:10.1104/pp.112.199364

米国 ワシントン大学Kranz らは、マイクロアレイ解析によって選抜されたシロイヌナズナの芽生えを低窒素源条件で育成した際に発現量の変化する230遺伝子のうち、17遺伝子についてT-DNA挿入変異体の表現型を観察し、その機能の解析を試みた。その結果、クラス1 グルタミンアミドトランスフェラーゼ(GAT1)をコードするGAT1_2.1 (At1g15040)遺伝子のT-DNA挿入変異体gat は、シュートの分枝が増加することがわかった。gat 変異体はロゼット葉の数が野生型よりも多く、葉はやや小さく、花成時期が早くなるるために若い植物体は草丈が高くなるが、成熟個体の草丈は野生型よりも低くなった。したがって、GAT は腋芽分裂組織の誘導と成長の両方を制御していると考えられる。gat 変異体でGAT 遺伝子を過剰発現させると表現型は回復したが、野生型植物でGAT 遺伝子を過剰発現させても分枝数に変化は見られなかった。gat 変異体の表現型はmax ストリゴラクトン変異体と類似した表現型を示すが、必ずしも同一ではなく、gat 変異体は供給する窒素量に関係なく分枝数の増加が見られるが、max 変異体では低窒素条件で分枝数が増加するのはmax2 変異体のみであり、max1max3max4 では分枝数の増加が見られなかった。暗所育成芽生えのフックの屈曲程度はgat 変異体もmax 変異体も野生型よりもやや弱くなり、胚軸の長さはgatmax1max3max4 の各変異体は野生型と同等だが、max2 変異体は長くなった。野生型植物でのGAT 遺伝子の発現を定量PCRによって調査したところ、芽生えではシュートよりも根で発現量が高く、成熟個体では花や未熟な長角果で発現量が高く、茎や葉では低くなっていた。芽生えを低窒素条件で育成するとGAT 遺伝子の発現量は低下し、低リン酸条件で育成すると発現量は増加した。gat 変異体でのカロテノイド生合成関連遺伝子やMAX 遺伝子の発現量は野生型と比較して大きな差は認められず、max1max4 変異体でのGAT 遺伝子の発現量にも大きな変化は見られなかった。gat 変異体に合成ストリゴラクトンGR24やオーキシン処理をしても分枝表現型に変化は見られなかった。以上の結果から、GATは未知物質をアミド化することでシュートの分枝を制御しており、窒素ストレスによる分枝形成制御に関連していると考えられる。

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論文)JAZタンパク質の核への移行

2013-01-07 23:05:53 | 読んだ論文備忘録

Transcription factor-dependent nuclear localization of a transcriptional repressor in jasmonate hormone signaling
Withers et al.  PNAS (2012) 109:20148-20153.
doi:10.1073/pnas.1210054109
 
JASMONATE-JIM DOMAIN(JAZ)ファミリータンパク質は、中央部のZIMモチーフとC末端側のJasモチーフから構成されており、ZIMモチーフはJAZタンパク質のホモ/ヘテロ二量体形成に、Jasモチーフはジャスモン酸(JA)受容体であるCORONATINE-INSENSITIVE1(COI1)との相互作用に関与している。これまでの試験において、Jasモチーフを欠いたJAZタンパク質(JAZ1、JAZ3、JAZ10)を異所的に過剰発現させたシロイヌナズナはJA非感受性となることが知られており、JAZタンパク質はJAシグナル伝達における転写抑制因子として機能していることが明らかとなっている。米国 ミシガン州立大学He らは、Jasモチーフを欠いたJAZ9タンパク質(JAZ9ΔJas)を過剰発現させたシロイヌナズナではJA非感受性とならないことを見出した。JAZ9ΔJasタンパク質はJAZ1ΔJasタンパク質と同様に生体内において安定しており、酵母two-hybridアッセイから、JAZ9ΔJasタンパク質もJAZ1ΔJasタンパク質もCOI1と相互作用を示さないことがわかった。しかし、JAZ9ΔJasタンパク質はJAZ1ΔJasタンパク質とは異なり、MYC2との相互作用を示さなかった。JAZ1タンパク質をC末端側から順次削ってMYC2との相互作用を見たところ、Jasモチーフを欠いたJAZ1は正常なJAZ1と比較すると程度は落ちるがMYC2との相互作用を示し、ZIMモチーフまでの100アミノ酸を削ったタンパク質においてもMYC2との相互作用能力を有していたが、更に50アミノ酸を削ったタンパク質ではMYC2との相互作用が失われていた。よって、ZIMモチーフよりもN末端側にもMYC2との相互作用に関与する領域が存在すると考えられる。JAZ1ΔJasタンパク質は核と細胞質に局在していたが、JAZ9ΔJasタンパク質の核の局在量はJAZ1ΔJasタンパク質に比べて少なく、このことから、MYC2との相互作用能力がJAZタンパク質の核局在に関与しており、MYC2はJAZタンパク質を核へ移行させる能力があると考えられる。MYC2タンパク質はN末端側を介してJAZタンパク質と相互作用をし、C末端側に核局在シグナルが含まれている。MYC2タンパク質C末端側断片(207-624)は核に局在するが、N末端側断片(1-333)は核と細胞質に局在していた。C末端側MYC2はJAZ9タンパク質と相互作用をせず、JAZ9タンパク質の核局在に対して影響しなかったが、N末端側MYC2はJAZ9タンパク質と相互作用をして、JAZ9タンパク質を細胞質に局在させた。したがって、MYC2とJAZ9の物理的相互作用がJAZ9タンパク質の細胞内局在を制御していることが示唆される。また、JAZタンパク質と相互作用をするMYC3、MYC4もJAZ9タンパク質の核局在に関与していることがわかった。さらに、JAZ9タンパク質のJasモチーフに含まれるアミノ酸残基のうち、JasモチーフのC末端側に位置するArg残基がJAZ9タンパク質の核局在とMYC2タンパク質との相互作用にとって重要であることがわかった。そしてこのArg残基はCOI1との相互作用にも関与していた。以上の結果から、JAZ9タンパク質Jasモチーフ内のArg残基はMYC2の関与した核局在とMYC2との相互作用に関与していることになる。JAZ9ΔJasタンパク質に核局在シグナルを付加して発現させると、核局在は起こるがJAシグナルに対する感受性は保たれており、JAZ9ΔJasタンパク質を核に局在させるだけではJAシグナルの抑制は起こらなかった。したがって、JAZ9タンパク質の核移行と核でのMYC2との相互作用の両方がJAシグナルの抑制に必要であることが示唆される。

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論文)オーキシンと環境ストレス応答との関係

2012-12-27 20:15:52 | 読んだ論文備忘録

A GH3 family member, OsGH3-2, modulates auxin and abscisic acid levels and differentially affects drought and cold tolerance in rice
Du et al.  Journal of Experimental Botany (2012) 63:6467-6480.
doi:10.1093/jxb/ers300

生体内のオーキシン(IAA)量の調節は、遊離の活性型IAAからIAAとアミノ酸(Asp、Ala、Phe)との不活性型縮合体への転換によってなされており、この反応はGH3ファミリーに属するIAA-アミド合成酵素によって触媒されている。中国 華中農業大学のXiong らは、イネを実験材料に用いて、オーキシン量制御と環境ストレス耐性との関係を調査した。OsGH3-2 を過剰発現させた形質転換イネは、わい化し、葉身と葉鞘との間の屈曲の程度が増し、止葉、穂、節間の長さが短くなった。よって、OsGH3-2 の過剰発現はイネの成長に対して有害な効果を示す。過剰発現個体の葉身の表皮や節間の細胞は小さく、このことが過剰発現個体のわい化をもたらしていると考えられる。また、過剰発現個体は冠根数が少ないが、根自体は長く、根毛の密度が低くなっていた。OsGH3-2 は野生型植物において多くの組織や器官で発現しており、特にカルス、葉、根での発現量が高く、穂や茎での発現量は低くなっていた。OsGH3-2 の発現はIAA処理によって急速に増加し、アブシジン酸(ABA)処理によって減少した。また、OsGH3-2 の発現は乾燥処理によって誘導され、低温処理によって抑制された。ABA欠損変異体でのOsGH3-2 の発現量は通常の栽培条件でも乾燥処理条件でも野生型との差が見られず、乾燥処理によるOsGH3-2 の発現誘導はABA生合成量の変化によるものではないと考えられる。OsGH3-2 過剰発現個体は乾燥処理による葉のしおれが野生型よりも早く起こり、通常の栽培条件に戻した際の生存率も低かった。過剰発現個体でのスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)活性は、通常栽培条件下では野生型よりも高いが、乾燥処理後には野生型よりも低くなっていた。よって、OsGH3-2 過剰発現個体は乾燥ストレス条件下での活性酸素種(ROS)の除去能力が低下していると考えられる。低温処理をした場合には、野生型植物はOsGH3-2 過剰発現個体よりも早くしおれ、通常栽培条件に戻した際の回復もOsGH3-2 過剰発現個体のほうが優れていた。低温処理は細胞膜に損傷をもたらすが、OsGH3-2 過剰発現個体の細胞膜の損傷の程度は野生型よりも低くなっていた。OsGH3-2 過剰発現個体でのIAA量の減少と酸化ストレスとの関係を見るために、野生型植物に合成オーキシンのナフタレン酢酸(NAA)もしくはIAA生合成阻害剤のアミノエトキシビニルグリシン(AVG)処理をしてROSの生成量を見たところ、NAA処理ではROS生産量が増加し、AVG処理では減少していることがわかった。OsGH3-2 過剰発現個体はメチルビオロゲン(MV)処理によるクロロフィル含量低下の程度が野生型よりも低く、酸化ストレスをもたらす中間代謝産物のモノデヒドロアスコルビン酸(MDA)の低温処理による生成量が野生型よりも低くなっていた。したがって、OsGH3-2 過剰発現個体は酸化ストレス耐性が高くなっていると考えられる。OsGH3-2 過剰発現個体は内生IAA含量が野生型よりも少ないが、内生ABA含量も少なく、ABAの前駆体であるα-カロテン、β-カロテンの含量も少なくなっていた。OsGH3-2 過剰発現個体でABA含量が減少していることから、気孔の開閉度と密度を調査したところ、OsGH3-2 過剰発現個体では乾燥ストレス条件での気孔の開度が野生型よりも高くなっており、このことか乾燥ストレス感受性に関与していると考えられる。OsGH3-2 過剰発現個体では多くのABA生合成酵素遺伝子の発現が抑制され、ABAの異化に関与する酵素遺伝子の発現量が増加していた。ABAシグナル伝達に関与する遺伝子の発現量には大きな変化見られなかったが、OsPPC30OsPPC49 の発現量は僅かに増加し、OsbZIP23 の発現量は僅かに減少していた。IAAシグナル伝達に関与する遺伝子は、OsIAA20 、OsRAA1OsSAUR39 の発現量は増加していたが、他の遺伝子の発現量には変化は見られなかった。以上の結果から、OsGH3-2 過剰発現個体ではABA生合成に関与する遺伝子やオーキシンシグナルに関与する遺伝子の発現量が変化し、このことが乾燥や低温ストレスに対して異なる応答性をもたらしていると考えられる。したがって、オーキシン量とABA量の調節は乾燥や低温に対する応答性にとって重要であると考えられる。RNAiによってOsGH3-2 の発現を抑制した個体では、IAA量やABA量、ストレス応答性に変化は見られず、他のOsGH3 ファミリー遺伝子によってOsGH3-2 の機能が相補されていると考えられる。

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論文)果実成長における2種類のジベレリン応答機構

2012-12-24 17:25:47 | 読んだ論文備忘録

Fruit Growth in Arabidopsis Occurs via DELLA-Dependent and DELLA-Independent Gibberellin Responses
Fuentes et al.  The Plant Cell (2012) 24:3982-3996.
doi:10.1105/tpc.112.103192

果実の形成にはオーキシン、ジベレリン(GA)、サイトカイニンが関与しており、これらのホルモンが単独もしくは組み合わさって作用することによって、受粉しなくても果実の成長(単為結果)を誘導することができる。これまでの知見から、受粉によって種子から発せられたオーキシンシグナルがジベレリン生合成を増加させ、果実の成長が誘導されることが知られている。英国 ジョン・イネスセンターØstergaard らは、シロイヌナズナを用いて、GAシグナルのリプレッサーであるDELLAタンパク質の果実成長に対する役割を解析した。シロイヌナズナの5つのDELLAタンパク質が機能喪失したglobal 変異体とglobal 変異にGA生合成欠損を加えたga1 global 変異体の長角果の成長を見たところ、果実成長の初期過程ではga1 global 変異体の果実は野生型よりも僅かに長かったが、その後の成長過程ではglobal 変異体もga1 global 変異体も野生型よりも果実の長さが短くなった。また、両変異体とも発達が止まった胚珠が見られ、種子量が減少した。ga1 global 変異体と野生型植物を交雑したところ、どちらを母親もしくは花粉親としても種子量の回復は見られなかったことから、ga1 global 変異による稔実低下は母親、父親のどちらの変異によっても引き起こされることが示唆される。global 変異体もga1 global 変異体も野生型よりも花柱が長く、柱頭が幅広になっていた。よって、DELLAタンパク質は果実の成長と稔実に関与していると考えられる。果実の成長過程における個々のDELLA 遺伝子の発現パターンは異なっており、果実成長過程の各ステージにおいて関与するDELLA 遺伝子が異なっていると考えられる。野生型植物を開花前に除雄すると果実の伸長は促進されないが、除雄したglobal 変異体やga1 global 変異体の雌ずいは成長して単為結果を起こす。della 単独変異体を除雄して果実の成長を比較した結果から、未受精果実の成長抑制はGAI、RGA、RGL2が主に関与しており、RGL1は一部関与、RGL3の関与は低いことが判った。除雄した野生型植物の果皮は6つの細胞層が明確ではないが、global 変異体やga1 global 変異体では、受粉やGA処理した雌ずいと同様に果皮の細胞層がはっきり区別でき、各層の細胞とも十分に拡張していた。除雄したglobal 変異体やga1 global 変異体の雌ずいは単為結果を起こして果実が成長するが、受粉した変異体の果実と比較すると短く、まだ成長の余地が残されている。除雄した野生型植物の雌ずいはIAA処理をすると伸長が促進されるが、global 変異体やga1 global 変異体の雌ずいはIAA処理による伸長が見られず、オーキシンによって誘導される単為結果はDELLAによるGAシグナルを介して起こるものと考えられる。除雄したglobal 変異体果実のIAA含量は受粉したglobal 変異体果実よりも低く、global 変異体での単為結果はIAA含量の増加によるものではなく、DELLAタンパク質の欠損の直接の効果であることが示唆される。したがって、global 変異体における単為結果誘導機構は、胚珠からのオーキシンシグナルよりも下流において作用いているものであると考えられる。global 変異体やga1 global 変異体の果実をGA処理すると、その濃度に応じて果実の伸長が起こることから、DELLAタンパク質とは独立したGA応答機構が存在していると考えられる。GA耐性のDELLA(GAI)を生産するgai-1 優性変異体の雌ずいをGA処理すると果実の成長が促進されることからも、DELLA非依存GA応答機能の存在が示唆される。gid1a/b/c 三重変異体の雌ずいをGA処理しても伸長促進は起こらないことから、DELLA非依存GA応答はGID1を介したGA受容は必要であると考えられる。global 変異体のGA処理による雌ずい伸長は26Sプロテアソームの阻害剤であるMG132で予め処理することによって完全に抑制されることから、この機構には26Sプロテアソームが関与していると考えられる。DELLAタンパク質のユビキチン化に関与しているF-boxタンパク質SLY1の変異体sly1-10 の雌ずいではGA処理による伸長が見られることから、この機構にはSLY1は関与していない。bHLH転写因子のSPATULA(SPT)と4つのDELLAタンパク質の変異体quad-della spt-2 はGA処理による果実伸長が見られず、SPTがDELLA非依存GA応答に関与していることが示唆される。除雄したspt 変異体の雌ずいは野生型よりも長くなることから、GA非存在下でSPTは雌ずい成長の抑制因子として機能していると考えられる。しかし、GA処理をした場合にはspt 変異体雌ずいは野生型よりも短くなり、SPTはDELLA非依存GA応答に関与していると考えられる。SPTはGA処理による分解やGID1Aとの直接の相互作用を示さないことから、SPTによる作用はDELLAタンパク質とは全く別のGAシグナル伝達機構によってなされていると考えられる。以上の結果から、シロイヌナズナの果実の成長はDELLAタンパク質を介した主要なGA応答機構と、DELLAタンパク質とは独立したSPTを介したGA応答機構によって制御されていると考えられる。

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論文)ジャスモン酸イソロイシンヒドロラーゼによる虫害応答の調節

2012-12-20 22:12:36 | 読んだ論文備忘録

Jasmonoyl-L-isoleucine hydrolase 1 (JIH1) regulates jasmonoyl-L-isoleucine levels and attenuates plant defenses against herbivores
Woldemariam et al.  The Plant Journal (2012) 72:758-767.
doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.05117.x

ジャスモン酸(JA)とイソロイシン(Ile)の縮合体JA-Ileは、生物活性を有した分子であり、F-boxタンパク質のCOI1と相互作用をしてJAシグナル伝達のリプレッサーであるJAZタンパク質の26Sプロテアソームによる分解を引き起こす。しかし、JAシグナルが下流へと伝達された後には、シグナルカスケードをリセットする必要がある。JAZ 遺伝子には負のフィードバック制御機構があり、JAシグナルによって発現が誘導される。また、JA-IleもシトクロムP450によってヒドロキシル化もしくはカルボキシル化されることで不活性化されることが報告されている。しかしながら、JA-Ileを直接加水分解してJAとする機構の関与については報告がない。ドイツ マックスプランク化学生態学研究所Galis らは、JA-Ileを加水分解するジャスモン酸イソロイシンヒドロラーゼ1(JIH1)について、野生タバコNicotiana attenuata を用いて解析を行なった。NaJIH1 遺伝子は、草食昆虫の食害を模して葉に傷害を与えることで発現が誘導され、傷害葉をタバコスズメガ(Manduca sexta )の口腔分泌物で処理(WOS処理)した場合よりも強く発現した。NaJIH1 の発現量とJA-Ile量との間には負の相関が見られた。NaJIH1はJA-Ile、JA-Val、JA-GluおよびIAA-Alaを加水分解したが、IAA-Aspは分解しなかった。RNAiによってNaJIH1 の発現が抑制された野生タバコ(irJIH1)は、WOS処理1時間後に野生型よりも多くのJA-Ileを蓄積していたが、3時間後には基底レベルにまで減少していた。WOS処理1時間後のIAA量は野生型とirJIH1植物との間で差が見られなかったことから、NaJIH1はIAA-AlaよりもJA-Ileの代謝に主に関与していると考えられる。WOS処理と同時にIAA処理を行なってもirJIH1植物のJA-Ileは野生型よりも高くなっていることから、WOS処理によるJA-Ile量の上昇はIAA量とは独立したものであることが示唆される。WOS処理したirJIH1植物は、野生型よりも多くのOH-JA-IleやCOOH-JA-Ileを蓄積しており、NaJIH1活性の低下を補っていると考えられる。OH-JA-Ile生成を触媒する酵素をコードしているCYP94B3 の発現量はirJIH1植物において変化が見られないことから、irJIH1植物でのOH-JA-Ileの増加は転写レベルでの制御によるものではない。irJIH1植物ではスペシャリストであるタバコスズメガおよびゼネラリストであるSpodoptera littoralis (ヤガの一種)の幼虫の摂食による体重増加が野生型植物を摂食させた場合よりも低くなっていた。また、irJIH1植物ではWOS処理24時間後のニコチン、17-ヒドロキシゲラニルリナロオールジテルペングリコシド(HGL-DTG)、プロテアーゼインヒビターといった防御応答物質の蓄積量が野生型よりも高くなっており、これらの物質の蓄積量増加が幼虫の体重増加の抑制に関与していると考えられる。また、野外試験において、irJIH1植物ではGeocoris pallens (カメムシの一種)によるタバコスズメガの卵の摂食量が野生型よりも高くなっており、G. pallens を誘引する揮発性有機化合物(VOC)のWOS処理による放出量が高くなっていた。よって、irJIH1植物では直接的および間接的な虫害応答が野生型よりも高くなっていると考えられる。以上の結果から、NaJIH1によるJA-Ileの代謝は、草食昆虫による食害や傷害によって上昇したJA-Ile量を下げ、虫害に対する防御応答を厳密に調節していると考えられる。

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論文)CTR1によるEIN2のリン酸化とエチレンシグナル伝達

2012-12-17 06:12:42 | 読んだ論文備忘録

CTR1 phosphorylates the central regulator EIN2 to control ethylene hormone signaling from the ER membrane to the nucleus in Arabidopsis
Ju et al.  PNAS (2012) 109:19486-19491.
doi:10.1073/pnas.1214848109

エチレンの受容体およびエチレンシグナル伝達に関与しているCONSTITUTIVE TRIPLE RESPONSE1(CTR1)やETHYLENE INSENSITIVE2(EIN2)は小胞体膜に局在しており、これらが核での遺伝子発現を制御している。米国 メリーランド大学Chang らは、酵母two-hybridアッセイ試験から、CTR1のC末端側キナーゼドメインとEIN2のC末端側ドメインが相互作用をすることを見出した。また、BiFCアッセイによって、完全長CTR1とEIN2が生体内において相互作用することを確認した。CTR1キナーゼドメインはEIN2C末端ドメインをリン酸化し、645番目と924番目のSer残基が強くリン酸化されることがわかった。645番目と924番目のSer残基をそれぞれAla残基に置換したEIN2ein2 変異体で発現させたところ、S645Aでは僅かに恒常的エチレン応答表現型を示したが、S924Aではctr1 変異体のような強い恒常的エチレン応答表現型を示し、両Ser残基をAlaに置換したEIN2 を発現させた場合にはさらに表現型が強まった。よって、両Ser残基のリン酸化はEIN2シグナルを抑制するために必要であり、924番目のSer残基が645番目の残基よりも重要であることが示唆される。GFP等を付加した融合タンパク質を用いた実験から、EIN2タンパク質はエチレン処理をしない条件では小胞体に膜に局在しているが、エチレン処理をすることによって核にも局在することがわかった。一方、EIN2のN末端側ドメインはエチレン処理に関係なく小胞体膜に局在していた。よって、エチレンの受容によってEIN2タンパク質の切断が起こり、C末端側は核へ移行し、N末端側は小胞体膜に残ると考えられる。両Ser残基をAlaに置換したEIN2はエチレン処理に関係なく核において検出されることから、両Ser残基をAlaに置換したEIN2はC末端が核へ移行して恒常的なエチレン応答表現型を示すものと考えられる。ctr1 変異体ではエチレン処理をしない状態でもEIN2C末端は核に局在していた。以上の結果から、CTR1によるEIN2のリン酸化は、エチレン非存在下でのEIN2によるシグナル伝達を妨げ、エチレン受容によってCTR1のキナーゼ活性が阻害されることでEIN2のC末端が切断されて核へと移行し、下流に位置する転写因子等の転写が活性化してエチレンシグナル伝達が起こると考えられる。

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論文)トウモロコシTeosinte branched1 とストリゴラクトンとの関係

2012-12-13 20:27:34 | 読んだ論文備忘録

Diverse Roles of Strigolactone Signaling in Maize Architecture and the Uncoupling of a Branching-Specific Subnetwork
Guan et al.  Plant Phyiology (2012) 160:1303-1317.
doi:10.1104/pp.112.204503

トウモロコシは、栽培化の過程において、原種であるテオシントの頂芽優勢が増して1本の中央茎となったものを選抜してきたと考えられている。トウモロコシではTCPファミリー転写因子をコードするTeosinte branched1Tb1 )遺伝子の発現量がテオシントよりも高く、Tb1 遺伝子の上流に挿入された2つの転位因子が発現量増加の原因となっている。Tb1 のオーソログはシロイヌナズナ(AtBRC1AtBRC2 )、エンドウ(PsBRC1 )、イネ(FC1 )のものが知られており、いずれもストリゴラクトン(SL)のシグナル伝達の下流に位置する遺伝子であることが明らかとされている。しかしながら、SLシグナルのトウモロコシの形態に対する役割は不明な点が残されている。米国 フロリダ大学Guan らは、SL生合成酵素のカロテノイド酸化開裂酵素8(CCD8)をコードするZmCCD8 (GRMZM2G446858)にDs トランスポゾンが挿入されたノックアウト変異体zmccd8 を用いて、SLとTb1 との関係を解析した。zmccd8 変異体の芽生えでは野生型では見られない腋芽の成長が起こり、トウモロコシにおいてSLは分枝を抑制していることが示唆される。zmccd8 変異体での分枝形成数は野生型の2倍程度あり、雌穂節よりも下の腋芽が成長するが、シロイヌナズナのSL変異体のように旺盛に分枝が伸長することはなく、成長量は限られていた。また、二次、三次の分枝は見られなかった。zmccd8 変異体は、野生型と比較して、草丈が低く、雌穂が小さく、主茎が細く、節間が短くなっていたが、雄穂はやや長くなっていた。zmccd8 変異体は一次根が野生型よりも短く、節根の成長にも遅延が見られた。zmccd8 変異体のシュートにおけるTb1 遺伝子の発現量は野生型よりも高くなっており、野生型トウモロコシの芽生えをGR24処理をしてもTb1 の発現量に変化は見られなかった。よって、トウモロコシのTb1 はSLによる発現制御を受けていないと考えられる。zmccd8 変異体はtb1 変異体のような著しい分枝は起こさないことから、zmccd8 変異体ではSLが欠損していても分枝が抑制されていることが示唆される。tb1 zmccd8 二重変異体は、zmccd8 変異体と同様に草丈が低くなり、分枝数の増加、分枝の伸長、二、三次分枝の形成、先端部での雄穂形成についてはtb1 変異体と同等になった。Tb1 遺伝子のヘテロ接合体では分枝形成が野生型とtb1 変異体の中間程度となり、ここにzmccd8 変異が加わると分枝数が増加した。よって、Tb1 の発現量が制限された条件においてはSLシグナルが相加的に作用することが示唆される。以上の結果から、栽培化されたトウモロコシではTb1 はSLシグナルとは独立して分枝の抑制に機能しており、SLによる分枝抑制効果は他植物に比べて低いと考えられる。また、SLは分枝抑制以外にも草丈等に対してTb1 とは独立した多面的な効果を示す。

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論文)オーキシン処理とエチレン処理のプロテオーム解析比較

2012-12-08 17:34:48 | 読んだ論文備忘録

Effects of exogenous auxin and ethylene on the Arabidopsis root proteome
Slade et al.  Phytochemistry (2012) 84:18-23.
doi:10.1016/j.phytochem.2012.08.007

オーキシンとエチレンは共に様々な生理的、発生的な過程の制御をしており、両者の応答やシグナル伝達は多くの場面で相互依存していることが知られている。米国 バージニア工科大学Helm らは、この2つのホルモンの効果をシロイヌナズナの根のプロテオーム解析によって比較した。シロイヌナズナ芽生えをオーキシン(IAA)もしくはエチレン(ACC)処理をし、24時間後に根からタンパク質可溶化液を調製して二次元電気泳動で分画した。スポットの強度を無処理区と比較したところ、IAA処理では24のスポットに変化が見られ、13は強度が増加、11は減少していた。ACC処理では7つのスポットが変化し、4つは強度が増加、3つは減少していた。しかし、IAA処理とACC処理の間で変化の見られたスポットには重複しているものがなく、2つの植物ホルモンは共にシロイヌナズナの根に生理学的変化をもたらすにもかかわらず、量的変化を起こすタンパク質は異なっていた。強度の変化したスポットをMALDI TOF/TOF MSで同定したところ、IAA、ACC共に転写、翻訳、タンパク質ホールディングに関与するタンパク質の蓄積に影響しており、IAA処理によってのみ変化するタンパク質として、細胞骨格、細胞壁形成、炭素代謝に関与するタンパク質、ACC処理では硫黄代謝に関与するタンパク質が見られた。オーキシンとエチレンはターゲットとしている細胞過程が類似しており、分子機構に重複があるように思われるが、タンパク質量変化に対する効果は異なっていることがこの結果から示唆される。

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