民主、公務員人件費1兆円超抑制 給与・人員削減で実現(共同通信)
民主党は13日、衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた「国家公務員の総人件費2割削減」について、現行の人事院勧告制度見直しによる給与引き下げと、大幅な人員削減で、ほぼ半分ずつの実現を図る「公務員制度改革実施計画」(11~13年度)を策定する方針を固めた。この実行により総人件費削減額は13年度で年間約1兆1千億円を目指す。人員削減は行政機関(総数約31万人)が主な対象。
かつて民主党が「カイカクを競う」と称して自民党よりも積極的に新自由主義的な政策を主張していたことは、よほど熱心な民主党支持者でもなければ記憶に新しいことだと思います。やがて小泉改革の弊害が明らかになるにつれ、そして政権奪取のために自民党とは反対側に立つ必要性が高まるにつれ、「カイカクを競う」との触れ書きは封印されていったわけですが、しかし現状はどうなのでしょうか? 周知の通り、ただでさえ少ない日本の議員数を削減しようということに関しては自民よりも民主の方が積極的なわけですし、公務員に対する政策も、どうも自民党と同じ方向を向いているような気がします。元より少ない日本の公務員をさらに削減するつもりのようですが、その行き着く先が「官から民へ」でもあったのですけどね。
戦略局に社国参加させない方針 鳩山氏、与党調整は党首級で(共同通信)
民主党の鳩山由紀夫代表は13日、新政権発足に向けた準備を続けた。連立与党間の政策調整は民主、社民、国民新3党の党首級でつくる「基本政策閣僚委員会」に一本化し、司令塔として新設する「国家戦略局」には社国両党を参加させない方針を固めた。社国両党は連立政権協議で、与党の連絡調整の一環として国家戦略局への参加を強く要求。9日の連立合意の際は「今後検討する」とされていただけに、反発しそうだ。
この辺は先日のエントリも合わせてお読みいただければと存じますが、ともあれ社民党と国民新党は与党間の協議機関を求めていたわけです。しかるに鳩山はこれを断固拒否、やむなく「落としどころ」として党首級限定の「基本政策閣僚委員会」が設置されることになりました。しかし本丸である「国家戦略局」は未だブラックボックスの中(参考、国家戦略局の組織と権能について説明はまだか - 保坂展人のどこどこ日記)、そして新たに決定されたのは「社国両党を参加させない方針」だそうです。どうにも小泉時代の各種諮問会議、「官邸主導」を思い出させます。与党の政治参加を抑え、中枢にいる人間だけで政策を決定しようとするその姿勢は、小泉時代の継承であるどころか先鋭化とさえ言えるのではないでしょうか。
16日にも発足する鳩山新政権の閣僚人事を巡り、民主党の輿石東参院議員会長が2人以上の「参院枠」を確保するよう求めた発言が、波紋を広げている。
参院選を来年に控え、発言力を強める参院側とどう向き合うのかは、鳩山代表の政権運営にも大きな影響を与えることになる。
(中略)
ただ、党内では「参院議員の入閣に異論はないが、結果的に何人になるかという話だ。最初から『枠』を決めるやり方は、鳩山氏の裁量を奪うし、何より自民党の旧来の手法と同じで、新政権にはふさわしくない」と反発する声がある。
ここで言われている「自民党の旧来の手法」ですが、その指し示すのは「古い自民党」――すなわち小泉登場前の自民党のことでしょうか。小泉が「ぶっこわした」後の自民党(要するに現在の自民党)ではなく、小泉が「ぶっ壊す」と叫んだ相手としての自民党(過去の自民党)と戦っているようです。亡霊と戦う、完全なシャドーボクシングですね。たしかに「古い自民党」への反発は圧倒的に強く、それが小泉に続いて鳩山を圧勝させる原動力となってきたわけですけれど……
それはさておき、「鳩山氏の裁量を奪う」ことが懸念されているそうです。う~ん、それって悪いことなのでしょうか。なんだかんだ言っても鳩山が行政のトップに立つわけです。今ある以上の「裁量」を与えるべきなのでしょうか、それとも制限をかけるべきなのでしょうか。憲法の本来がそうであるように、権力に歯止めをかけるのもまた重要な役割です。何でも鳩山の思いのままに決めさせてやるよりも、相互に牽制し合う機関が存在し、合意を取り付ける必要がある、そういう状態の方が健全だと私には思われるのですが。
自民党政権では「閣僚2人、副大臣4人、政務官8人」などを最初に「参院枠」として固め、青木幹雄・前参院議員会長ら参院幹部が選んだ参院議員を入閣させる方法が定着していた。派閥の要望を無視して組閣することも多かった小泉元首相も、参院の意向は尊重していたほどだ。
……で、小泉時代は「改革が足りない」部分もありまして、「そうしたかった」けれど「そうはできなかった」ものもあるわけです。派閥の意向を無視してきた小泉が参院の意向だって無視したかったであろうことは想像に難くないのですが、それでも「配慮」せざるを得なかった部分があったようです。その「小泉が目指したこと」を民主党が実現しようとしているのなら――やはり国民は変化ではなく継続を選択したと言わざるを得ません(あのまま自民党にやらせておけば「頓挫」という名の変化はあったでしょうから)。
民主党の衆院議員の間には「かつての自民党のように、小沢―輿石ラインを背景にして参院が『聖域』になれば、政権運営は縛られる」という懸念が出ている。
そして最後がこの一文です。曰く「参院が『聖域』になれば、政権運営は縛られる」と。たぶん、その手の人の頭の中では、政権運営とは一握りのトップの手によって担われるべきものなのでしょう。だから首相の意のままにならない存在は抵抗勢力でしかないわけです。参院は君主の手の及ばないところであるべきではない、君主を拘束するものであってはならない、君主こそが正しいのだから――そうした思いが窺われてなりません。そもそも参院だって選挙によって有権者の信を得た、国民の代表のはずです。だからこそ、参院を含めた国会の意向を政治に反映させて初めて「国民の声」に耳を傾けたことになるはずなのですが――しかるに「リーダーシップ」という名で国会の声、与党の声を退けようとするとしたら、これは「独裁」と呼ばれるべきものです。
…結局、貧困とか国民の多くは感心なかったんですかね。「貧困を放置したと政治家と官僚を叩ける」のが良かっただけで。
人員削減にしても仕事量は増えこそすれ減らないのに削減できるのでしょうか?
削減した人員を地方に回すにしても地方自治体の人件費の財源はどうするつもりでしょう。
自分達の政策を実行するのは公務員では?
その数を減らして、さて自分達の政策実現がうまくいきますかね・・・・??
大衆受けを狙って叩きに叩いた結果がどうなるか見物ですよ。
過去にも、1930年代に軍縮機運が盛んだったころは、軍人がいまの公務員のようなバッシングに遭ったようですが、その結果がどうなったでしょうかねぇ。
その時犬養毅とともに「統帥権干犯」を声高に叫んで軍部の暴走を許して日本を破滅させたのは、鳩山の祖父の一郎ではなかったですかね。
さて、孫の宇宙人は祖父とは異なり自ら暴走して日本を破滅にまねくのでしょうか??
見物ですよ。
そうしてみると、鳩山の先達であるところの小泉や橋下も「落とされる恐怖と戦」っているのでしょうかね。どちらも官僚/公務員叩きで上手くやってきたわけですし。もっとも、この手の方法でいかに支持を集めた結果がどうなのか、小泉の場合を見れば鳩山民主の行く末も推測できそうです。
>源内山人さん
表向きは社会保障関係を充実させる(目先を変えるだけにも見えますが)ようなそぶりを見せている民主党ですが、それだったら猶更のこと、公共サービスの担い手は拡充しなきゃいけなくなるはずなんですよね。それなのに反対に削減するわけですから、底が知れるというものです。まぁ小泉時代の自民と同様、支持率の確保にだけは成功するのかも知れませんけれど。
まあ、いくら政権交代があるといっても新政権樹立にいたる過程が『始皇』(鄭問著、モーニングKCDX)みたいなことをくりかえす中国も問題であることはみとめますが。
ただ「腐敗した前政権を打倒したから現政権はただしいのだ」という発想は、民主党及び民主党支持層の中に非常に強く、それが多数派を占めているわけです(内容的には「継承」に他なら内のですが)。そうしてみると、前近代の中国と同レベル、という見方が打倒化なのかも知れません。
第十六条 労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、船員法(昭和二十二年法律第百号)、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)、じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)及び船員災害防止活動の促進に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)並びにこれらの法律に基いて発せられる命令は、第二条の一般職に属する職員には、これを適用しない。
この規定が
日本国憲法
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
に違反するのかどうかというところでしょうかねぇ…
ちなみに判例としては
全文は
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26969&hanreiKbn=01
内容としては
日本国憲法第28条による労働基本権の保障は原則として公務員にも及ぶことを認めるものの、
公務員の争議行為は使用者たる国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼす
公務員の勤務条件は国会の制定する法律と予算により民主的に決定されるものであり、公務員の争議行為は議会制民主主義に背馳し、国会の議決権を侵す虞がある
私企業における労使交渉であるようなロックアウトや、市場の抑制力による歯止めが、公務員の争議行為にあっては働かない
既に労働基本権の制約に対する代償措置(人事院)が設けられている
ことを理由とし、日本国憲法第13条の公共の福祉による制約により、争議行為を一律に禁止する国家公務員法の規定は合憲
となっていますが…今の代償措置が代償措置たりえてるかはあえて触れないでおきます(苦笑)
公務員や官僚が不平不満を言う理由の正当性は実情を知り得てから判断するとしても、言いたいことは大声で叫んでもいいと思います。マスコミとかがねじ曲げて言うことでバイアスがかかることを覚悟して言い続けられればなおさらです。
「憲法上が公務員の立場をどう規定しているか」ということと人事院が政治から独立していることの両方がクリアになれば、労働基本権は拡充できると思うのですが、考えが浮かばずにいます。
「公務員も増やせ」という立場ですので、この件では呆れています。サラリーマンですが、「立場と仕事の内容に給料が見合わないと意味がない」と思っていますので、こういうことをして公務員のなり手がいなくなって、やる気のある人間が民間企業に行ったり、ニートやフリーターになって埋もれてしまう可能性が高くなると思います。
母方の親戚に公務員が多いので身につまされます。私もそういう立場になれたらここでもっと言えるのですが。
何しろ憲法判断には踏み込まない、行政には介入しないのが日本の司法ですからねぇ。民主党も自民党から公務員叩きの流れを継承する以上、なかなか希望は見えません。ましてや代替的な保障が「特権」と呼び習わされるような状況でもありますし……
>ヒイロさん
なにしろ「初めに結論ありき」ですからねぇ。公務員は「悪」と決まっているようですから、もう何を言ってもムダという雰囲気になっているのかも知れません。非公務員が自らの権利を主張することには、まぁ半分くらいの人は理解があると思うのですが、公務員となると絶望的ですから。
国が財政難なので、削りやすいところから削りたい気持ちはわかりますけどね・・・
ただでさえ少ない公務員数を大幅削減したせいで人出が足りなくなり、行政の仕事が疎かになったとしても、マスコミは「公務員の怠慢」「お役所体質の無能公務員」で通すんでしょうね。そのせいで純粋な世論はさらに公務員数削減を唱える、と。そして票が欲しい政治家たちはさらに(ry
そもそも世間一般の公務員像である、仕事がない暇な公務員はいったいどこからきたのか疑問ですね。
2ちゃんねるとヤフーコメント欄に、「公務員なんて新聞とコーヒー飲んでるだけのくせに!!」「定時に帰れて、書類の整理してるだけなのに!!」
このような書き込みで溢れてるのを初めてみたときには相当驚きました。
私も公務員じゃないので役所の内部は知らないのですが、いくらなんでも決めつけが酷すぎる。
しかも、行政の仕事=窓口だけとはハッキリ言ってこいつらバカなんじゃないかと思いましたね。
県庁・市町村役場から中央省庁、そしてさらにその中でも各部署で仕事内容は違うでしょうに。
官僚なんて徹夜で働かされても国を牛耳る悪の組織扱いですから、やってられませんな。
削っても支持率減に繋がらない(むしろ上昇する)、その点では最も削りやすいところなんでしょうね。財界人や御用学者が低賃金労働者を「怠けている云々」と語れば、まぁ半分くらいの人は憤りを覚える、それが偏見に基づく誹謗であることをわかっていると思うのですが、しかるに対象が公務員となると……