非国民通信

ノーモア・コイズミ

議員を減らしたところで

2010-06-27 23:02:15 | ニュース

枝野氏「過半数なら民主だけで衆院定数削減」(読売新聞)

 民主党の枝野幹事長は25日、参院選公約で掲げた衆院比例定数の80削減について、「参院でも過半数を頂ければ、民主党だけで議員定数を削減できる。臨時国会に法案を提出したい」と述べ、参院選の結果、民主党が参院の単独過半数を確保すれば民主党だけでも法改正に踏み切る考えを示した。

 主立った党が挙って議員定数の削減を掲げている昨今ですが、どうなるんでしょうね。枝野は過半数を取れば民主党単独でも法改正に踏み切ると鼻息を荒くしていますけれど、野党だって規模の大きいところは議員定数削減に関して全く同じ方向を向いているだけに、民主党の単独過半数でなくともその気になれば定数削減の法改正は可能でしょうし。まぁ政策面で一致する党とは感情的な対立がある(あくまで国政レベルの話ですが)、一方で連立を組んでいる党とは政策面で全く逆の方向を向いているのが民主党です。その辺のパワーバランス次第で進んだり遅れたりもするのでしょう。

 さて、議員定数削減を与党が率先して唱えているわけです。なんのために? 理由の一つには「経費削減」みたいなのも挙げられているようですが、それだったらまず政党助成金を削減もしくは廃止するなどの議論が出ても良いはずです。しかし、あくまで議員定数の削減であって政党助成金など話題に上らない辺り、必ずしも「金」の問題ではないと見るべきなのかも知れません。経費削減はオマケであって、より重要なのは議員削減なのだと。

 議員が減ることで何かが良くなる、政治なり社会なりに好影響があるとは思えませんし、民主党もその辺を具体的に言及したことはないはずです。では何のための議員削減なのか? その辺はあくまでパフォーマンス、あるいは言い訳に過ぎないのでしょう。消費税増税によって「国民にだけ痛みを負わせるのか」みたいな反発もあるだけに、国会議員の数を減らすことで「議員側も痛みを負っている」と、逃げ道を作っておきたいものと思われます。この辺は首相就任後、真っ先に給与返上をアピールして見せた安倍晋三と同じですね。自分も「痛み」を背負ったんです、決して国民にだけ痛みを負わせるワケじゃありませんよ、と(もっとも民主党のような大政党にとっては議員定数を減らした方が過半数を取りやすくなりますので、党としてはむしろ楽をしようとしているフシもあります)。

参考、安倍晋三の真似なんてよしなさい

 議員定数が減ったところで、それによって国民の暮らしが良くなるはずもないのですが(少数派の声が届かなくなることで、より目配りの聞かない政治になることはあっても!)、一方で支持の獲得には繋がってしまうところもあるのでしょう。議員の経費を削ったところでそれが国民に戻ってくるわけでもありませんけれど、それでも議員の取り分が減ることに喝采の声を上げる人は決して少なくなさそうです。結局、国民が嫌っている何か「悪い奴」をやっつける、そういう姿勢が有権者を惹きつけるのであり、そうした風潮に迎合するポピュリズムもまた横行していると言えます。なぜ議員定数を削減しなければならないのか、本来問われるべきところが棚上げされたまま、「ウケが良いから」と言うだけで進められてしまうのでしょう。今や政治の主眼は、いかに有権者の「ご機嫌を取るか」ですから。

 

 ←応援よろしくお願いします


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« しわ寄せはいつも末端に | トップ | 成長なき財政再建? »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
議員定数削減について (貝枝五郎)
2010-06-28 10:34:46
> 議員定数が減ったところで、それによって国民の暮らしが良くなるはずもないのですが(少数派の声が届かなくなることで、より目配りの聞かない政治になることはあっても!)、

カマヤンさんの虚業日記からの受け売りですが、そもそも右派諸勢力は意図的に多様な意見や革新政党を切り捨てるために、少数派の意見はなるべく聞き入れない制度にするために、意図的に議員定数削減をねらっているのだとおもいます。

問題は、

> 一方で支持の獲得には繋がってしまうところもあるのでしょう。

とある様に、右翼反動勢力の策動に賛同してしまうおろかな人間が弱者の中にも少なくないことですね。もう15年以上前でしょうが小選挙区制にされた時点で現在の惨状は右翼反動勢力の想定の範囲内だったはず。さらにこれ以上、右翼反動勢力の策動どおりにうごこうとする、決して原稿政権では所得再分配されない人間の自殺行為については、まったくもって理解不能です。
返信する
Unknown (HANAKO)
2010-06-28 14:59:58
枝野は反貧困関係のイベントに顔を出している一人のようですが以前管理人様が指摘しておられた通りだと思います。反貧困にも良い顔をして全体としてネオリべ的な方向に持って行こうとしているのでしょうが、運動としては与党に働きかけなければならない所もあるがそっちに引っ張られないようしないといけない。悩ましい所ではありますが…
返信する
Unknown (ノエルザブレイヴ)
2010-06-28 20:14:16
阿久根のエントリーでも書かせていただきましたが、どうも何かことが起きると「即断即決即厳罰(それも再起不能系の)」だけしかあるべき選択肢として考えられないようになっているように見えます。
私はそれに異議を唱えたいですし現実は「ジャッジメント@特捜戦隊デカレンジャー」じゃねえんだぞ、とも思いますし議論を尽くせば時間もかかるとも思うのですが、「追って沙汰あるものと思え」という措置さえもノロマで手ぬるいものに見えるようです。
結局「話し合いなど無駄だ」と思われているのかもしれないですね。話し合いが無駄と思うなら議員もまたいらないのでしょう。
返信する
Unknown (非国民通信管理人)
2010-06-28 23:17:25
>貝枝五郎さん

 まぁ例によって、自分の首を絞める選択をする人は多いですよね。そして自分の首を絞めることになっても、それが自分の選択の結果でもあることなど棚に上げて、また新たな悪役(ムダ)を探すのでしょう。

>HANAKOさん

 枝野にも肯定的に評価できる部分がないでもありませんが、どうにもポピュリスト色が強い、世論、特にネット世論に流されるタイプのような気がします。反貧困運動にせよ、与党との繋がりは悪いことではない一方で、与党との繋がりを保つために与党に合わせるようになると、当初の思惑とは正反対の方向へと転落していきそうです。

>ノエルザブレイヴさん

 「自分の支持政党(政治家)」の独裁が、結局のところ望まれているのでしょうね。自民党の独裁を批判しておきながら、一方で小沢の独裁は歓迎するみたいな風潮も一部で見られましたし。何のために議会があり、二院制が敷かれているのか、なぜ間接民主制が敷かれているのか、有権者だけではなく政治家にも、その辺に理解がない人が多いようです。
返信する
バックの色 (読者)
2010-06-29 00:20:49
大変勉強になります。
画面のバックグラウンドが黒くて、読みたいのですけど、目が辛いのです。バックを明るくしてもらう事はできませんでしょうか?ご考慮ありがとうございます。
返信する
Unknown (非国民通信管理人)
2010-06-29 01:10:32
>読者さん

 コメントありがとうございます。ご指摘の背景色の件ですが、今まで(引用文の見出しなど)文字色に明るい色を指定しておりましたため、背景色まで明るくしてしまうと、今度は色文字の箇所が見えづらくなってしまうのです。gooブログの仕様上、利用者側で細かな色指定ができないため、ご希望に添えない場合もございますが、もう少し背景色を明るくすることも検討させていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ニュース」カテゴリの最新記事