運動会で人気のある人間ピラミッドなど組み体操の小学校での事故が2012年度、6533件に上ったことが日本スポーツ振興センター(東京)の統計で分かった。
後遺症が残る事故も12年度までの10年間で20件発生。人間ピラミッドは近年、高層化しており、分析した名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「他の種目に比べて深刻な事故も多く、徹底した安全対策が必要だ」と指摘している。
同センターは学校での事故の医療費給付事業を行っており、事故件数が増加しているとの情報を受けて集計を開始。その結果、11年度は5976件、12年度は6533件(部活動を除く)だった。内田准教授が種目別で調べたところ、跳び箱、バスケットボールに続く3番目で、上位10種目のうち組み体操だけが学習指導要領にある体育授業で扱う種目ではなかった。
近年は一部で高層化し、小学校で9段、中学校で11段と建物の2、3階に相当する高さに挑戦する学校もあるという。支える子どもへの負荷を計算したところ、11段の場合は最大で4・2人分を1人で支えていることも分かった。
学校での運動に関わる事故というと柔道とラグビーがツートップなわけですが、まぁ必修化の対象になっている方は輪をかけて懸念されるところでしょうか。そして今回の「組み体操」でも事故は結構、多いようです。私の小学校時代にも、人間ピラミッドの下敷きになって複雑骨折を負った人がいました。マスゲームを中断させられた教師達は大激怒、泣き叫ぶ負傷者を囲んで怒鳴りつける姿をよく覚えています。まぁ、学校教師にとって大切なのは児童ではなく行事を成功させることの方ですからね。
「運動会で人気のある人間ピラミッドなど」との文面で報道は始まりますが、「人気のある」とは何なのでしょう。生徒から人気があるのか、それとも保護者から人気があるのか、あるいは教育行政に介入する政治家達から人気があるのか、学校教員から人気があるのか――単純に「人気のある」とだけ伝えるのは一面的と思われます。むしろ、それを強いられる側などの立場も慮られてしかるべきではないでしょうか。果たして人間ピラミッドは児童から人気があるのか、歓迎されているのか、そこは問われるべきもののはずです。
総じて「子供を守れ」「子供のために」「子供を大切にしろ」と叫ぶ人ほど、その実は子供の自己決定権を蔑ろにする傾向が見受けられます。結局は子供を盾にして自分の立場を押し通そうとする、子供の口から自分の主張を代弁させたがる人ばかり、そういう大人の列に学校教員は大いに連なるものなのかも知れません。あたかも児童の教育に熱心な風を装って、実際は自分の思い通りに子供をコントロールしたがっているだけ、そうした欲望の発露が日本の運動会に特徴的なマスゲームであり、危険な組み体操にも繋がっているのではないでしょうか。
人間ピラミッドに組み込まれてしまえば、危ないと思っても逃げ場はありません。個人の判断による離脱を許さず潰されていくことを強いる日本の学校教育の精神を見事に体現しています。日本における「右」の人々は、とかく学校のセンセエ方を嫌っているようですけれど、その行動原理はどう映っているのでしょうか。小中学校教育こそ、日本の戦前の空気を受け継いでいる気がしないでもありません。運動会におけるマスゲーム、今回のような教員達の自己満足でしかない人間ピラミッドみたいなのは、まさに狂気の沙汰として左右双方から袋叩きに遭っても良さそうな気がするのですが。
団体演技なんて全部取っ払って少しふざけたようにも見える競技を入れたほうがよっぽど児童の素に近いものが出るでしょうが、組み立て体操とかをありがたがってる層はそういうものはお望みではないのでしょうね。そういった人達のどこが「子ども好き」なのかと思わずにいられないですが。
書きたいことは色々とありますが、こういう運動会系の行事やらは同調圧力や精神主義、教師や一部の保護者・生徒のオナニーぶりが本当に酷いので、相当に苦痛でした。
まさに管理人氏の言う通り、個人の判断による離脱を許さず潰されていくことを強いる日本の学校教育の精神を見事に体現しています
結局、世の「子供好き」の多くはペドフィリアと大差ないと思うんですよね。善人ぶってはいるけれども、その実は子供に対して自分の欲望を向けているわけで。学校の運動会とか子供を「出し物」にするのは悪趣味なことと認識されて欲しいものです。
>オオサンショウウオさん
逆に戦前や軍隊を賛美する人ほど、学校教員を叩いていたるするわけですから、まぁ肩をすくめるしかないでしょうか。何が自分たちの同類なのか、その辺が分からない人も多いようで。
>くり金時さん
まぁ、人が怒るのは憎いからでも可愛いからでもなく、単にむかついたから起こっているのが普通ですから。教師と生徒の間柄も特にそう、先生方の八つ当たりを受けることも珍しくないのですよね。
でも、あんな組体操って何の意味があるんでしょうね。
余談ですが、小学校時代は内地の学校では当たり前な指定の体操服はなく、男女ともに半袖シャツに短パンでした(当時の内地では女子の体操服はブルマーが主流だったと思います)。中学校時代は指定のジャージはありましたが、中に半袖シャツや短パンを着用していました。高校時代は男女ともに指定のジャージと半袖シャツ、ハーフパンツでした。
ところで、女子の体操服として用いられていたブルマーは現在ではほぼ消滅状態にあります。でも、運動会の団体演技をやらせようとする教師からは「ブルマーを復活させろ」という主張は聞かれませんね。児童・生徒の自己決定権を認めない現状からすれば、「ブルマーを穿きたい」と主張する女子の意見も黙殺するのでしょうか。
ちなみに、ブルマーが消滅に至った背景は「ブルマーの社会史」(青弓社)に詳細が出ています。
あと、下のサイトも参考になるかと思います。
http://trushnote.exblog.jp/11537084/
まさに「近親憎悪」と言うべきものではないのでしょうか。学校現場に限らず、「先生」と呼ばれて悦に入っている連中は弱い者苛めの大好きな輩が多いように見られます。日本人のメンタリティそのものが右翼的、ファシスト的なのかもしれません。「人間ピラミッド」など、まさに格差、差別の「ピラミッド社会」の象徴のようなもので、これほど残酷で嫌味なものはないでしょう。
nordhausenさんの世代がどれくらいか分かりませんが、なかなかリベラルな環境で育ったのかも知れませんね。私の頃は中学生まではガチガチに指定の体操服があったものですし、時代と共に流行は変われど「学校指定」の存在は変わらない印象が強いですから。
>不平湯さん
むしろ右派の夢想する戦前の軍隊の精神を最も受け継いでいるのが、小中学校教育だと思うんですよね。右派の民主党に対する近親憎悪もそうですけれど、自分たちの信奉しているものに近い存在を色眼鏡で評価しては全否定する、そんな滑稽なところもあるようです。