さて衆院選の投票日も間近となりました。既に投票を先に済ませている人もいるかとは思いますけれど、今回もまた随分と結果の見えている選挙のようです。だったら、やる必要などないではないかと解散を決めた与党側に不満の一つも向けたくなるところですが、それは投票対象を決める材料としては些か弱いでしょうか。
所謂「アベノミクス」も争点の一つと言いますか、まぁ安倍政権のこれまでを問う選挙にもなっているのかも知れません。私の査定としては――民主党政権時代よりは確実にマシ、ぐらいが妥当な評価ではないかと思っています。民間企業の現金・預金残高がうなぎ登りで内部留保が積み上がるだけだった民主党時代と、株価が大幅に上昇して各種社会保障基金の運用益も劇的に改善された安倍政権とでは、やはり雲泥の差があるわけです。現政権にも少なからず不安要素がありますけれど、前政権と現政権のどちらがマシであるかと問われれば迷う要素は皆無です。
アベノミクスは大企業にしか恩恵がないと言い張る人も多いですが、しかし「それ以前」の政権の――ここには第一次安倍内閣も含まれますが――経済政策は、いったいどこに恩恵があったのでしょうか? 一部の人だけが助かるのは不公平で、全員が助からないのは公平だと、そう考えるのならアベノミクスは駄目な経済政策であり、民主党の主張も妥当だと言えます。しかし、全てではなく一部に止まろうとも景気の良くなる企業・業界が出てきたのは決してマイナスではないのではないでしょうかね。全面的にプラスではないから全否定、というのもどうかと。
アベノミクスの恩恵に与る企業もある一方で、苦境に追い込まれている企業もあります。ワタミとか、ゼンショーとかが代表的ですね。これまでは人を安く働かせることでコストを下げてシェアを拡大する企業がデフレ時代の寵児として大いに栄えてきたものですが、そうした企業が曲がり角に立っています。まだまだ不十分と言えるところは多いですけれど、「これまで」に比べれば非正規雇用が安く買い叩かれにくくなった、その点は良かったと思います。それで潰れる企業が出るのは、むしろ良き淘汰と考えられるべきものです。
主に二つの動機によって、アベノミクスは否定されていると言えます。一つは「自民党政権の業績を認めるわけにはいかないから」、もう一つは「消費税増税の悪影響を隠したいから」ですね。株価が上がれば社会保障の財源となるべき基金の運用益だって増える、経済成長を前提に設計されている年金制度の維持も可能になるだけに、左派からも「不十分」と言われこそすれ真っ向から否定される筋合いはなさそうに思えるのですが、それでも自民党の政策を認めるわけにはいかない層もいるのでしょう。
そして民主党なり朝日新聞なり逆進課税の信奉者からすれば、昨今の景気の落ち込みの原因が消費税増税であってはならない、消費税増税が悪かったのではなくアベノミクスがダメだったのだと、そう強弁したくなるようです。やれやれ、安倍政権にも、消費税増税という民主党との約束を守るという致命的な失策はありますけれど、景気の急激な減速の要因から消費税増税を除外しようとしているような、そんなミスリードを計る政党には議席を与えてはならない、と思います。素直に消費税増税の過ちを認められない政党には、日本経済の舵取りを任せることなどできません。
まぁ、民主党や維新の党が惨敗を喫して、それこそが民意なのだと民主党や維新の党とは真逆の政策へと自民党が進むようになるのなら、それは大いに喜ばしいことです。とはいえ、残念ながら消費税のさらなる引き上げという民主党との約束は将来的に守られることでしょうし、その他の選挙で否定された政党の政策もまた安倍内閣の方向性と一致している限りは避けられることもないでしょう。大勝した政党は、自分の好きなことをやるだけです。自民党側が「迂闊なことをやったら危ないな、趣味には走れないな」と、そう危機感を抱ける程度の結果になった方が良いのかも知れません。
しかし、現実に安倍政権が誘導した円安政策で、ブラックかどうかは分かりませんが、企業が倒産するケースが続出しています。実質賃金が目減りしていることも、正社員が減り、非正規雇用者ばかりが増えていることも当然ご存じのはずです。選挙が終われば派遣法の改悪にも動き出すでしょうし、安倍政権は将来の社会不安の種をまいているとは思いませんか?
それになにより、安倍の主眼は改憲です。
景気対策と引き換えに、基本的人権、思想信条の自由などが制限されたら、管理人さんも困ると思いますが?安倍は間違い無く仕掛けてきますよ。
確かに民主党政権はいろんな面で「お粗末」の一言に尽きるかも知れませんが、個人の内心に土足で踏み込むような真似はしない分だけ私にとっては遥かにましな存在でした。
まっとうな景気対策をリベラルな政権のもとで行って欲しいと切に望みます。乱筆乱文失礼しました。
それは悪夢の民主党政権時代に起こった不都合な真実を「なかったこと」にしてしまう修正主義の立場に立って初めて成り立つ意見ですね。民主党政権時代には企業は倒産していなかったのですか? 賃金は目減りしていなかったのですか? 増えるのは非正規ばかりではなかったのですか? まずい棒さんの論理は民主党がやっている悪質なミスリードそのものです。
そして原発事故後の民主党政権の暴走ぶり(福島における居住の権利の侵害など)を考えれば、何をし出すか分からない危うさは民主党の方にこそあって、悪い意味での「実行力」に秀でた民主党よりも自民党の方がまだしも、私はマシだと断言できますけどね。
あまり自民党が勝ちすぎても良くないとは思いますが、それでも今の政権よりも確実に酷かった「負の実績」を誇る政党には、票が入って欲しくないと思いますね。自分のことを棚に上げて自民党批判では、何の説得力もないどころか無責任さを際立たせるばかりですから。
ちなみに私は、共産に投票することも考えましたが、現政権の景気政策を多少信用して自民に投票しました。もっとも、次の選挙では共産に入れるかもしれませんが。
これでワタミやゼンショーのように、人を安く買い叩き、低賃金のまま飼い殺しにする企業がますます衰退、淘汰されれば嬉しく思いますがね。
ただ大勝との報道も相次ぐ一方で、1議席といえども自民党は議席を減らし、沖縄では4戦4敗ですから、大勝と呼んでいいのか私は判断しかねるところだったりします。まぁ、それでも絶対安定多数ですし、自民が勝ち過ぎもしなかったので、それで良かったのかな、と。一方で地味に議席を増やしているのが民主党だったりして、それもどうなんだろうと。結局、有権者からNO!と言われたのは次世代だけですからね……
実際の得票率は小選挙区でも50%に達していませんし、比例に至っては30%台ですよ。
そんなわかりきったことを今さら偉そうに語る人を見ると、なにやらタイムスリップしたような気分になりますね。ある種の次世代感すら漂います。