非国民通信

ノーモア・コイズミ

もし民主党と自民党で立場が逆だったなら

2010-02-10 22:57:45 | ニュース

小沢氏不起訴に意見二分(中国新聞)

 政治資金規正法違反の疑いで告発されていた小沢一郎民主党幹事長の不起訴が決まった4日、中国地方の街頭では、有権者から幹事長続投をめぐり賛否の声が上がった。起訴された元私設秘書の衆院議員石川知裕被告に対しては、議員辞職を求める声が相次いだ。

 「不起訴でも疑念は消せない。政治不信を巻き起こした責任を取ってほしい」。呉市の会社員辻勝好さん(62)は小沢氏の幹事長辞任を求めた。岩国市の渡辺黎子さん(77)も「元秘書は起訴された。事務所代表として責任を問われるべきだ」と訴えた。浜田市のパート従業員高尾順子さん(54)は「衆院選では、民主党にはカネの問題がないと期待して支持したのに結局、自民党と同じ。政権交代の意味がない」と失望をあらわにした。

 意見二分と言っても世論調査を見る限り批判的7:容認3ぐらいの割合みたいですけれど、ともあれネット上の熱心な民主党支持層の動向とは裏腹に世間の目は冷めたものです。以前にも何度か指摘してきたことですが、鳩山内閣の支持率と選挙前に掲げた個々の政策への支持率には大きな差があります(参考)。有権者の大半は民主党の掲げたマニフェストの実現に期待したのではなく、もっと別のものを期待していたのでしょう。その一つが政治とカネの問題の解決で「衆院選では、民主党にはカネの問題がないと期待して支持したのに結局、自民党と同じ。政権交代の意味がない」とのコメントはその辺を象徴しています。

 クリーンな政治を期待するなら民主党はあり得ないだろうと私なんかは思うのですが、まぁ政権交代がほぼ確実になるまで小沢の政治資金や不正献金疑惑を追及してきたのは共産党ぐらい、大手メディアからは軒並みスルーされてきたわけです。メディアを賑わすのは自民党閣僚の疑惑ばっかり、昨今の民主党支持層の言葉を借りれば「小沢/民主党にも疑惑はあるのに自民党閣僚ばっかり追求を受けるのはおかしい!」ってところでしょうか。何はともあれ大手メディアの報道を見る限りでは、民主党は自民党と違ってカネの問題がない――政権交代前まではそう思える余地があったのかも知れません。

自民は不祥事から卒業=谷垣氏(時事通信)

 自民党の谷垣禎一総裁は7日、京都府宮津市内で講演し、過去に党所属議員が政治とカネで不祥事を繰り返したことに関し「乗り越えようとの議論をやってきた。私が総裁の間に(不祥事と)決別し、卒業しなければならない」と強調した。

 また、谷垣氏は、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の事件で小沢氏自身や党幹部らが捜査を批判したことについて「検察と対峙(たいじ)する姿勢から、法の支配を否定しようとの疑惑を持たれても不思議でない。徹底的に闘わねばならない」と述べ、政府・民主党への追及を強める姿勢を示した。

 まぁ無理じゃね?と思いますが、政府与党に返り咲く可能性が遠のけば遠のくほど関係機関やメディアの注目も遠のくものですから、追求するのは共産党だけで世間一般の目には届かない、政治にあまり関心がない人からすれば自民党は政府与党と違ってカネの問題がない政党に見えてしまう、そうなる見込みぐらいはあるのでしょう(野党でいる限りはね!)。それはさておき、「検察と対峙する姿勢から、法の支配を否定しようとの疑惑を持たれても不思議でない」辺りは妥当なところと言えます。自民党だって自分が与党になって検察の追求を受ける側に回れば今の民主党のように法の支配を否定しようという方向に動くでしょうから猶更です。

 小選挙区制は長らく自民党の政権安定化に貢献してきました。しかし、その小選挙区制が自民党内閣ではなく、非自民党内閣によって導入された事実は注目に値します。非自民党政権が作った枠組みが自民党の政権復帰後に本領を発揮するなんてこともあるわけです。では民主党が推し進めている行政への一極集中や官僚の口封じ、公約に掲げられた比例区の削減等々はどうでしょうか? アメリカの核は問題ないが中国の核は脅威みたいな立場の人も多いですが、自民の独裁は危険だが民主党の一元化体制は促進すべきみたいな主張を展開している人も多いと思います。でも小選挙区制度を導入した非自民党政権が短命であったように、民主党政権だって永遠ではないでしょう。そこで民主党が作った枠組みに自民党が収まる日がいずれ訪れるであろうと考えてください。行政の強権を持って検察を黙らせることができる、法の支配が否定されて司法は行政に介入できない、そこで「行政」のポジションに自民党が就くことを想定してみるならば、民主党政権の方向性の危うさもいくらか客観的に見ることができるのではないでしょうか。

 

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4 コメント

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なんつうか (た~ん)
2010-02-11 02:34:17
小沢さんファンクラブブログの皆さんの暴走っぷりには、もう呆れるを通り越して微笑ましくさえなっちゃうくらいの今日この頃。
(^^;
一頃のネトウヨをそっくりそのままひっくり返したようになってる所を見てると、
今更ながら二元論的政治テクニックを開発した小泉さんってのはほんと、良くも悪くも大政治家だったのかもなぁと思ってしまう。
そのうち政治史に『小泉後』っていうキーワードが出てきそうなくらい。

いまだにあそこから抜け出せてない感じなんだよね、右も左も。

まぁ昔から極右と極左は、考え方の違いこそあれその行動様式が結局似通ってきたりするもんではあったけども…。


しかしほんとなんでああなっちゃうのかなぁ?

結婚詐欺殺人事件の容疑者は実名晒し上げた上に無罪推定原則すっ飛ばして犯人扱いしながら、小沢さん関連だと無罪推定を盾にとって擁護してしまうダブルスタンダード。
そして不利な情報や世論調査は全て陰謀論。

ああいう人達が一番嫌ってた筈の言論行為なのにね。

しかもそれでいて『法の下の平等』をやたら唱えるんだよなぁ。

もう開き直って「平等には扱ってないですが何か?」くらいのスタンスならまだわからない事もないのになぁ。


まぁ人間てのは基本的に弱い者だからしょうがないのかな?

真の客観なんて実際には誰も出来ないだろうし。

しかし余りにも…。

なんだかなぁ…。

そういえば清濁併せ呑むとかもないんだよね。
頑なに無罪や違法捜査ばかりを主張するあたり見てると。

ああいうのは潔癖症みたいなもんなんだろか?
『自分の信じるものは常に潔癖であらなければならない』みたいな。

俺からしてみるとそんな清浄なだけの世界なんて、息がつまってとても生きていけないんだが…。
(^^;

まぁなんにしろ幅が狭すぎる気がするな。
滑稽なくらい。

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結局は・・・ (えちごっぺ)
2010-02-11 11:17:30
大方の国民が「リーダーシップ」「強権」を持った指導者を求めるという下地があるのでしょうね。(半泣)

「何かやってくれるだろう」「変えてくれるだろう」という現状打破の思いが、ああいう人物を支持するのでしょうね。

とにかく、まともな政策など訴えてもこの国では通じません、「わかりやすく」「威勢がいい」「カイカク」を叫ぶ、キャラの立った政治家が支持を集めるのですから。

「だまされるということ自体がすでにひとつの悪なのだ」・・・故伊丹万作の言葉の意味を考えたいですね。
返信する
あ、そうだ (た~ん)
2010-02-11 12:24:24
ちなみにこれが野党時代だったなら検察と徹底的にやり合っててもそう悪くはなかったと思うんだけど、今や民主党は政権与党の第一党。
任命権やら直接の権力を持ってる今の立場で、現在の対応はダメダメというか危険な兆候だとさえ俺は思ってる。


それに、小沢政治じゃなく民主党政治をちゃんとやるつもりなら、小沢さんはさっさと切ってしまった方が民主党へのダメージを軽減出来るし、一時的にせよ支持率回復にもつながるわけで、今の対応は政治テクニックとしても下策だと思えるなぁ。

しかしなんであんなに小沢さんに拘るのかね?
選挙師としての能力を買ってるからなんだろか?
まぁその選挙についても今の流れが奏功するとは限らないと思うんだけど。


普天間にしても、
最終的には辺野戸で決着するかもしんないけど、
衆院選前に行ってた通りに国外県外移転の主張だけはちゃんとアメリカにしといた方が良いと思うんだよね、鳩山さんが首をかけて。
失敗して鳩山さんが辞任しても、ちゃんと一当て二当てしてるだけで国民のイメージは変わってくるし、もしかしたらアメリカから一定の妥協を勝ち取る事も出来るかもしれない。

とにかく今のどっち付かずの対応がアメリカにも国民にも不信を与えてるわけで、そこの決断をちゃんと出来ないなら鳩山政権というか民主党政権は早晩瓦解するんじゃないかなぁ。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-02-11 14:42:10
>えちごっぺさん

 それゆえに、今の与党(=民主党)の方が下野した党(=自民党)よりも、各地で任期のポピュリズム系首長に政治姿勢が近いと思ったりします。一部論者は、同じことをやるにしても民主党か自民党かで立場を変えることに何の躊躇いも感じていないようですが、一方で大半の有権者は一貫して強権型、カイカク型を追い求めているようです。

>た~んさん

 民主党は社会主義的ではなく社会主義「国」敵なのだと書いたことがありますが、政策面では左派ではない一方で、政策決定の仕組みについては極左的と呼べる部分がある、その点で極右と極左の類似点が出てきたのかも知れません。どっちも中道を称したがる連中でもありますが……

 民主党支持層に関しては多分に自己愛的な動機、小沢/民主党を信じた自分を正当化したいという気持ちが作用しているような気がします。一方で民主党内の反応ですが……自民党が(実は少数派でしかない)極右層の声を有権者の声と取り違えたように、民主党もまた(実は少数派でしかない)コアな支持層の声(検察悪玉論など)を有権者の声と取り違えている部分もあるのかも知れません。
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