【小沢氏講演要旨】「日本のあらゆる分野で精神の荒廃、劣化が急速に進む」(産経新聞)
この「(小沢一郎)政治塾」は、下世話な政局話をする場ではない。
今後のことを考えると、外需に頼りきりの日本経済は大きな打撃を受ける。中国は経済的崩壊が政治的動乱につながる恐れがある。政治経済は不安定な状況になりつつある。本来の日本人の精神力と知恵と力さえ持っていれば、このくらいの困難を克服するのは容易に可能だ。しかし、今日の日本社会を見るとあらゆる分野で、政界、官界、財界、一般社会においても、精神の荒廃、劣化が急速に進んでいる。規律、モラルという美徳がかけらもみられなくなった。
絶対にあり得ないと思っていたアメリカ社会で、黒人大統領が誕生した。危機にあって変革を訴えた(オバマ)大統領を選択した。私は決してアメリカ人を利口だと思っていないが、自分の意志による選択を実行していることを高く評価している。
政治経済ともに困難な時にあたって、日本人自身が自立した人間(になって)、自分で判断し、行動し、責任を持ち、きちんとしたモラルを身につけることが大事だ。今こそ急がば回れ、教育に思いを馳せなければならない。
民主党の小沢一郎前幹事長は25日の「小沢一郎政治塾」の講演で、米国観を語り、「米国人は好きだが、どうも単細胞なところがあってだめだ」と述べた。
米国のオバマ大統領について「絶対、黒人大統領はあり得ないと思っていた社会で、黒人大統領が誕生した。黒人が出たら暗殺されるといううわささえ以前にはあったが、この危機にあたって変化を強調したオバマ氏を選んだ」と指摘。「決して米国人は利口だと思っていないが、民主主義、危機にあたって国民の意思による選択がきちんと実行されていることを非常に高く評価している」と強調した。
また、小沢氏は「政界でも官界でも財界でも、精神の荒廃、日本人の劣化が急速に進んでいる」と問題提起。第2次世界大戦を舞台にした映画「戦場にかける橋」に登場する英国人捕虜の規律正しさを紹介し、英国を「さんざん悪いことをして紳士面しているから好きではない」としながらも「祖国のために戦う軍隊も、自分たちの意思で(作った)という意識がある。自分たち自身の社会であり、国であるという民主主義の基本の意識が徹底している」と評価した。
もう最初の記事だけでおなかいっぱいなのですが、あまりにも内容がアレなだけに産経が作文しているのではないかと感じる人もいるような気がしますので、読売の記事も載せておきます。ついでに日経でも似たような報道はありました。マジで、こんな発言をしていたというわけです。こんな妄言を言い出すようでは、もう小沢も終わりですね。小沢の取り巻き連中は出馬のお膳立てなんかしていないで、さっさと引導を渡してやったらどうかと思います。
小沢一郎は「決して米国人は利口だと思っていない」としつつ(これも十分、暴言です)、「黒人が出たら暗殺されるといううわささえ以前にはあったが、この危機にあたって変化を強調したオバマ氏を選んだ」アメリカを「危機にあたって国民の意思による選択がきちんと実行されていることを非常に高く評価している」そうです。ふむ、それを言うなら小沢の選挙戦と政権交代も似たようなものでしょう。小沢が前面に出れば各種の疑惑をほじくり返される噂ぐらいは当然あった中でも、一応は変化を強調した党を選んだのが日本の有権者でもあります。私は民主党に託すという選択肢を決して評価しませんけれど、民主党の元代表であり、衆院選を牽引した小沢の立場からすれば、一度は民主党を勝たせた「国民の意思による選択」だって、もっと評価しても良いのではないでしょうか。
しかるに小沢曰く「一般社会においても、精神の荒廃、劣化が急速に進んでいる」そうです。まぁ、かつては小泉を大勝させ、その路線を継ぐ党である民主党を勝たせるような有様は、劣化と呼ばれるべきなのかも知れませんね。精神が荒廃し、劣化した人が選んだのがおまえの党なんだよ、と。そして引用の順番が前後しますが、「本来の日本人の精神力と知恵と力さえ持っていれば、このくらいの困難を克服するのは容易に可能だ」とも小沢は語ります。昔は良かった、ということでしょうか。では日本人が「本来の」精神力と知恵と力を持っていたのはいつの時代なのか、その辺を小沢には聞いてみたいところです。
言うまでもなく、今の日本に必要なのは小沢の説くような精神論ではありません。求められるのは正しい現状認識と合理的な対策です。しかるに小沢の認識では「今後のことを考えると、外需に頼りきりの日本経済は大きな打撃を受ける」「政治経済は不安定な状況になりつつある」と、実に暢気なものです。もうとっくに大きな打撃を受けている、金融依存の国なんかよりもずっと大きな景気後退の波に掠われたのが日本であり、異常なデフレ経済、かつ国家元首が1年やそこらでコロコロと交代する不安定極まりない政治情勢がもう何年も続いているのですが…… もはや「今後」「なりつつある」などと悠長に語っていられる場面ではないということが小沢には理解できないのでしょうか? しかも「本来の日本人の精神力と知恵と力さえ持っていれば~」と精神論を持ち出すことしかできないでいるのなら、もう小沢の役目は終わった、さっさと退場してくれと言うほかありません。
「本来の日本人の精神力と知恵と力さえ持っていれば」
「精神の荒廃、日本人の劣化が急速に進んでいる」
どこの石原慎太郎、どこの平沼赳夫かと言いたくなるような内容ですね。具体的な方法を述べず精神論に逃げるダメ右翼政治家の典型そのものですね。
しかしさらに滑稽なのはこんな政治家を「左」に属するとされる人達が熱烈に支持してることですね。こんな発言をする人物に何の希望を持てるのかサッパリわからないのですが。
どうでしょうかね、日本「以外」の国とアメリカの関係は、日米関係のそれとは異なるとするならば、それはアメリカ人の問題ではなく日本人の側に原因があるのではないでしょうか。
>毛さん
昨年は昨年で「キリスト教もイスラム教も非常に排他的」などとも語っていましたし、政権交代後の小沢には色々と奢りを感じさせる発言が目立ちますね。もうちょっとクレバーな政治家だと思っていたのですが、今やすっかり耄碌しているようです。断じて「左」に属する人間が応援できる人物ではないはずなのですが……