非国民通信

ノーモア・コイズミ

捕鯨は聖域

2008-06-20 23:04:12 | ニュース

宅配クジラ肉を盗んだ容疑、「グリーンピース」2人を逮捕へ(読売新聞)

 環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」(東京都新宿区)が、調査捕鯨で捕獲されたクジラ肉の一部を宅配便会社から無断で持ち出した問題で、警視庁と青森県警は20日にも、都内などに住むメンバー2人を窃盗と建造物侵入の疑いで逮捕する方針を固めた。

 同庁幹部によると、メンバーらは4月16日、青森市の「西濃運輸」青森支店の配送センターに侵入し、調査捕鯨船「日新丸」の乗組員(52)が北海道函館市の自宅に配送を依頼したクジラ肉23・5キロが入った段ボール1箱を盗み出した疑いが持たれている。

 グリーンピース・ジャパンは先月15日、このクジラ肉を「証拠品」として、乗組員12人にクジラ肉の横領の疑いがあると公表、業務上横領容疑で東京地検に告発状を提出した。これに対し、西濃運輸側は同16日、青森県警に盗難の被害届を出したが、グリーンピース・ジャパンは「不正を告発するために証拠として確保したので窃盗には当たらない」と主張していた。

 まぁ企業の不正を内部告発した人が機密漏洩で罰せられるような国ですから、そういう風潮からすればこれもアリなんでしょうか。なんでも公益通報者保護法という法律がありまして、これが「公益のために通報した労働者を保護」するためのものだと言うことですが、これには該当しないという扱いみたいですね。

1,今回通報した団体職員は労働者ではない
2,誰もが知っている不正は通報してもいいが、
  隠されている不正を暴いてはいけない
3,「御上」に不都合な告発は公益ではない

 ……公益通報者として保護されない理由はこの辺でしょうかね。これなら不正を隠すのも簡単です。

 しかし日本の社会は遵法意識が高いのか低いのかよく分かりません。会社側が労働基準法に違反しても取り立てて咎められるわけでもありませんし、どこぞやの府知事が不法行為を暗に要求する発言をすれば絶賛される、憲法違反の行為を最高裁判所が容認するなど、ある面では法に背くことに極めて寛容です。一方では「法律に違反したのだから」と何でも全否定に走る人も多いのが我々の社会です。その二面性が端的に表れるのは犯罪者を前にしたときですね、法を重視して「法律に違反したのだから何もかも許されない」とする一方で、被告に対して法の定めるところを越えた刑罰を要求します。法を犯した相手には法を守る必要もない、法を守れと主張しつつ法を破ろうというわけです。とりあえず今回は相手を法律違反と咎めつつ、逃亡の虞も証拠隠滅の虞もないのに逮捕と。

 そう言えば天下り先とか利権団体とか補助金付けの公益法人とか、その手のものが一般には嫌われているわけですが、捕鯨関係を巡るそれは全くの反対ですね。今や出張で溜まったマイルを没収しようとか、その程度のしょぼい役得すら取り締まろうという時代なのに、捕鯨関係者の役得だけは大目に見るようです。これが普通の公務員で職務上で得た利益の一部を給与とは別に分配したとあっては、それこそメディアとその顧客は鬼の首を取ったように勝ち誇って公務員叩きに精を出すはずです。そこで監督部署がミリエル司教よろしく「それは(土産用として)与えたものだ」と疑われた人を庇おうものなら、それこそ日本中をバッシングの嵐が駆けめぐるはずです。でも捕鯨関係者だと違うんですな、これが。

 

 ←応援よろしくお願いします


コメント (17)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 報道されない重大事 | トップ | 日本は誰に住みよいか »
最新の画像もっと見る

17 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自分のHNは (いるか缶)
2008-06-21 00:20:05
実は捕鯨問題を見ながら『鯨を食べるのは日本の文化』って人はいるかを食べる日本の文化も認めるのか?と思ってもともとは違う缶詰だったのをいるかに替えたわけですが。ごめんなさいどうでもよくて。

しかし賛成派も反対派もどうして鯨はここまで人間を熱くするのでしょう。なぜいるかでは熱くならないのでしょう。それが捕鯨問題で一番興味があります。
 
 ただ、今日の報道ステーションで斉藤貴男が「この逮捕&捜査はサミット前に反政府的な動きは徹底して潰すというポーズがしたかった」みたいなことを言っていて、それはさすがにないと思いたいですが…
Unknown (非国民通信管理人)
2008-06-21 00:30:40
>いるか缶さん

 イルカだと盛り上がらないのは、わざわざ南極海まで遠征しないからでしょうね。捕鯨もそうですが、自国の沿岸の漁まで反対しているのは本当に一部の動物愛護団体だけですから。自国の沿岸で細々とやる分には、国家レベルの問題にはならないのですが、世界に一国だけ調査捕鯨に拘る国がありまして……
やりすぎ (kurosuke)
2008-06-21 01:17:46
私はこれ、グリーンピースがやりすぎだと思います。その主張に同調するしないは別にして、正しい目的のためなら違法な手段を使っていいという独善的な姿勢が嫌です。

宅配業者の立場になってみれば、お客から預かった大事な荷物を盗まれたわけで、ただのドロボー行為でしかありません。警察でもない民間人が、相手の違法行為を突き止めるためなら、クリーニング屋から洋服を盗むのもいい、修理工場に修理に出したクルマを盗むのも、修理に出したパソコンを盗むのも許される、ということになったらどうなりますか?

たしかに、遵法精神を守っていては突き止められないこともあるでしょうが、違法行為はこっそりとやって事実を確認をしたら、別の方法で表に出すとか、もっと、知恵を絞るべきでした。

それが難しいから非常手段に出たというなら、まあ、ご本人たちも覚悟の上だとか言っていたようなので、窃盗罪も仕方ないでしょう。
不思議なのが (おさふね)
2008-06-21 06:20:24
 鯨鯨と喚いている連中の中で、一体どれだけの人間が鯨肉の味を知っているか?なんですよねえ。私なんかはぎりぎり給食で鯨を食べた世代ですから、固くて筋ばかりで噛むのに苦労した覚えがあるんですが味付けは竜田揚げだから関係ないしなあ…と考えると、一種のブランド信仰なのではないかと思うわけで。
 更に、文化云々と言い出したのは最近の事で、当初は「貴重な蛋白源」が理由だったはずなんですが…今ならもっと美味しい物を皆さん食べてるはずなんですけどねえ…
 やはり今回も何時もと同じように「調査捕鯨」の名を借りた「商業捕鯨」を隠すための強権発動ですかねえ?
Unknown (ノエルザブレイヴ)
2008-06-21 10:15:02
結局のところ「対象者を嫌いか否か」にかなりかかってくるのではないかと思いますね。嫌いな奴が法を犯せばことさらに叩き、嫌いな奴には法を犯してでも不利益を与えんとする。それにしても単細胞です。
Unknown (仲@ukiuki)
2008-06-21 11:32:49
罪証隠滅のおそれも逃亡のおそれもない人間を逮捕するって、
それ自体、違法行為だったはずですが。
知らないうちに刑事訴訟法、変えられっちゃってたのかな……。

って、植草事件を思い出しました。いるか缶さんが紹介しておられる斎藤さんの指摘、たぶんあたってるんでしょう。

前回記事の釜ヶ崎の件にしても、何とも嫌な流れが加速するばかりです。何とか変えないと、底なし沼に引きずりこまれてしまいそうです。この国で暮らす人、そのほとんどが。

Unknown (Bill McCreary)
2008-06-21 12:15:18
窃盗は、さすがに公権力の介入を招いてしまいますよね。画像と動画を撮影しておいて、日本と犯罪人引渡し協定のない国で記者会見するくらいの革命的警戒心(笑)は必要でしょう。

>今や出張で溜まったマイルを没収しようとか、その程度のしょぼい役得すら取り締まろうという時代なのに

私もこれを知って失笑してしまいました。いいじゃんねえ、それくらい。役人の不祥事だったら、ほかにはるかに悪質なものがいくらでもあると思うけど。
喝!!ですね。 (単純な者)
2008-06-21 12:42:41
こんにちは。

情報に誤りはないかと控えめに書きますが、漁業会社では捕鯨に対しての外国からの非難と利益とを計算して、捕鯨にメリット無しとはしていませんでしたか。捕鯨という伝統芸と技術を守る必要があるので調査捕鯨存続を主張するのは例の天下り先確保に忙しい官僚たちだけということなんでしょうね。税金の無駄遣いを此処でもやってる。だから同じ官僚同士の相身互いで検察・警察が仰るような刑事訴訟法ぎりぎりの威圧行為に走ったと解したいです。(理解ではないので念のため)

目的のためには手段を選ばない国に対して慎ましい国民はどうすればいいかというお尋ねが聞こえて来そうですが、当然そ

では。
評判は? (単純な者)
2008-06-21 13:45:01
こんにちは。

勝手なことばかりやる国に代わって心配してやる奇特な心の持ち主だけが、こんな違法をやることをびっくり目の反捕鯨国がどう思うのかなと思うんでしょうね。

もうお上かなんか知らないけど無政府状態だと、
あきれました。

では。
Unknown (たろ)
2008-06-21 17:26:20
まぁ結局のところ窃盗をしたことにかわりはないよね。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ニュース」カテゴリの最新記事