「NHK平均給与1041万円」 民主・桜井氏、出身閣僚前に優遇批判(産経新聞)
「こんなに恵まれている。これを直すのが民主党だ」。28日の参院予算委員会で、民主党の桜井充氏がNHK出身の小宮山洋子厚生労働相、安住淳財務相の両閣僚を前に、高い給与など同社の手厚い処遇への批判を展開した。国家公務員共済などに比べて低い保険料率、保険料の事業主負担が62%と高い一方、個人負担は38%…など同社の優遇ぶりを列挙した。
年間の平均給与についてもただし、小宮山氏が「(NHK社員の)平均給与は1041万円、国家公務員の保険料の基礎となる平均給与は658万円」と明かした。これを聞いた野田佳彦首相は「随分と開きがある。不公平感がある」と述べ、驚きを隠せなかった。
また民主党議員がアホな発言を国会で繰り広げているようです。野党ならまだしも、与党の議員がこんな調子ですから肩をすくめるほかありません。何でもNHKの給料が高いとかで、それを聞かされた野田首相は「随分と開きがある。不公平感がある」と述べ驚きを隠せなかったそうですけれど、本当に驚いていたとしたら首相の無知の方にこそ報道側が驚くべきでしょう。
現代日本の平均からすれば高い部類に入るNHKの給与ですが、ただ業界内で見ればどれほどのものでしょうか? 言うまでもなく在京テレビ局は軒並み、NHKよりも高給です。我らがテレビ東京だって、NHKよりは給料が高いのです。それでも公共放送という特殊性を弁え、同業他社より低い給与で働くNHK職員の謙虚さには頭が下がる思いですね。むしろNHK職員の働きが民法のそれに劣っているわけでもないのに給料が低く据え置かれているとしたら、そこは労働者側の観点から異議を唱えずにはいられないところです。
公務員より高いけれど同業他社よりは低い給与の他に、国家公務員共済などに比べて低い保険料率もまた槍玉に挙げられたようです。なんでも保険料の事業主負担が62%で個人負担は38%なのだとか。そして「こんなに恵まれている。これを直すのが民主党だ」などと桜井充氏は宣うのですが、保険料の事業主負担が高いのは直すべきことなのでしょうか。むしろ大半のケースで事業主負担が50%に止まる日本の保険料制度の方が先進国としては立ち後れが目立つ部分でもあります。例えば一見すると法人税率が低いように見えるフランスやドイツ等でも、その実は社会保険料の事業主負担が大きいため、結局のところ企業が国庫に納める額は日本の方が少なかったりするわけですが……
事業主負担を50%にする、すなわち50%を社員の給与から天引きしても日本では許されるわけですが、敢えてそうせずに事業主負担分を多くしているNHKは少なくとも左派からは賞賛されこそすれ非難される謂われはないところです。一方で、いかに雇用主優位の力関係を築くかに腐心するばかりで経済合理性を無視してきたのが日本の十数年来の経済政策でもあります。保険料の事業主負担を軽くせよと要求する人も少なくありません(保険料の全額「消費税」方式なんてのもその一環ですね)。そうした手合いからすればNHKは目の敵にもしたくなるのでしょう。
何らかの企業が自社の従業員の給与を高く保ったり(NHKの場合は同業他社より薄給ですけれど)、保険料を事業主が多めに負担したりと、それは好ましいことであって他社にも見習わせるべきこととしか考えられないのですが、「これを直すのが民主党」だと明言されています。公務員に対しても東京電力に対してもそうでしたが、働く人の給料を下げるよう圧力をかけたりリストラを迫ったり、そして保険料を事業者ではなく個人に負担させようとするのが民主党というわけです。民主党が労働者の敵であることがはっきりしましたね。
じゃぁ、民主党の理想とする世界とはどんなものなのでしょうか。民主党に文句を言われないようにするためには、従業員給与や下請けへの支払いをガリガリ削って、値下げに励むしかなさそうです。まぁ、だいたいの企業は既に実践済みなのかも知れません。でも、そうやってコストカットと値下げ競争を続けてきた結果がデフレであり国内市場の壊滅状態であり、日本だけ下世界の経済成長から取り残されることにも繋がってきたはずです。むしろ価格を維持し社員の給料を上げるべく努力してきた企業こそ範とされるべきものと思われますが――政財界の主流派は別の道徳律に沿って動いているようです。
NHK職員の平均年収1000万円!受信料で高給ライフ満喫?(ZAKZAK)
受信料を集めてサラリーマンや国家公務員もうらやむ待遇を享受するNHK。そこから国会議員になると、所得税やたばこ税の引き上げも平気なのかもしれない。
で、蛇足ですが強烈に頭の悪い記事があったので取り上げます。引用したのは記事の末尾だけで、前半部分は冒頭の産経報道と同じようなものなのですが、曰くNHKは高給だから所得税の引き上げも平気なのかも知れない~とか。まぁ、この辺はお決まりのマスコミ批判と言いましょうか、あいつらは高給取りだから庶民のことがわからないみたいなヨタは随所で聞かされるもので、こういう発想の延長線上に河村たかしなどに代表される議員報酬カット案なんかも出てくるわけです。それはさておき所得税がどういうものが、このZAKZAKの記者は理解しているのでしょうか。日本はガチガチの分離課税ですから資産家はあまり負担していないものですし、言うまでもなく低所得者も負担は小さい(低所得者にとって重いのは社会保険料ですから)、そして平均的なレベルの給与所得者も配偶者控除などが大きいので実は意外に負担は小さく、ただただ「給与所得が高い人(≠資産家)」が主だって負担するのが所得税です。NHK職員にとって、最も自分の損になる増税こそが所得税増税なのですけれど……
一庶民としてはNHKの給与が引き下げられることで受信料が下がるのであればメリットがありますが、どうも論調からすると桜井氏の批判は庶民の負担を軽減させるためではないようです。
NHKの職員や公務員の給与を下げても税金の負担額が減るわけでもない、リストラしたら益々求人倍率が上がる、何のメリットも無いのになぜこういった考え方に人気があるんでしょう。
それがデフレというもので、ともすると物価なり受信料なりが下がると消費者には利益があるように見えますが、結局のところは労働者でもある我々の収入減にも繋がるわけです。国民にとってメリットはないのですが、しかし政治家にとっては「国民の声に応える」ということで支持率を得られるというメリットがある、そういうものなのでしょう。
>GXさん
そこで給料を下げるのが民主党です! 現役の議員が国会で明言しているのですから。
叩きやすいターゲットを見つけ出しては「既得権益者」のレッテルを張り、袋叩きにする。
公務員にも色々業種があってそれぞれで当然給与の額に差があるのですが、人気の欲しい野心家にとって「複雑さ」「面倒さ」は極力排除すべき要素であって、「分かりやすさ」が何よりも大事ですから一括りにしちゃうんですな。
官僚公務員、東電。次は何でしょう?
「自分達の生活改善は既得権益者を潰す事によって達成される」と言うのが2ちゃんねるの風潮(無論全ての利用者がそうではありませんが)ですが、政治家達の思考は2ちゃんねるをバカにできないくらいに同化してきている様に思えます。
当たり前ことができないのが一番いたい
これなら自民党の、いやまだ駄目だ
改憲で煽ってる。
グローバルビジョンしゃない
「東アジア共同経済圏」を確立すること
インドも含めてね
アジアで行きのこってくしかないですよ
また榊原英一さんの著書でも読んでみます
大きな政府についても語られてました。
最後に一言公務員叩きはやり過ぎると優秀な公務員が逃げます。
すでに東電で起きてます読売の昨日か一昨日に載ってた
また宮台のマル激でも見ようかな。
番組を作るのが本分の人たちなのですから、要求すべきは仕事の質=番組の質ですよね。なのに世論も民主党も、給与を下げることしか考えていないようです。
>amanojaku20さん
官僚、公務員、東京電力社員、NHK職員と来て、それで終わるなんてことはないでしょうからね。必ずや次のターゲットが見つけ出されるわけで、いずれは自分の身にも被害が及ぶものと理解して欲しいところです。小泉以来の「既得権益者」への敵視が続いていますけれど、それを十年以上続けた結果、何も好転しなかったことは自覚されるべきですよね。
>yasuさん
まぁ対抗馬もダメダメですが、流石に今の民主党を次の選挙でも勝たせてはならないよなぁ、との思いを強めるばかりの昨今です。ちなみに宮台もまた、民主党と同レベルの官僚叩き系の論者であるように思うのですが……
アジア主義で発展しようとしていたのはなんだったのか、その歴史的意義は。
そうところならまだ学ぶ価値はあります。
脱原発は今は急進的すぎますね。
失礼しました。
公務員住宅を叩くのではなく、公務員だけでなくすべての人が良質の公共住宅に住めるように、とマスコミも私たちも要求すべきなのではないか、と思います。ほんとうに悲しくなります。