非国民通信

ノーモア・コイズミ

求職と嘘とハローワーク

2014-04-13 23:52:31 | 雇用・経済

求人票:職安に苦情年7700件 実際の条件とかけ離れ(毎日新聞)

 ハローワーク(職業安定所)に掲示された求人票の労働条件が、実際の労働条件とかけ離れているという苦情が後を絶たない。厚生労働省が2012年度の1年間に全国のハローワークに寄せられた苦情を調べたところ、件数は7783件に上った。事態を重くみた厚労省は先月、常設の相談電話「ハローワーク求人ホットライン」を設置。改善への対応に乗り出した。【東海林智】

 不当な長時間労働や賃金不払いを常態化させる「ブラック企業」が社会問題となる中、求人票との食い違いがブラック企業への入り口になっているとの指摘があり、調査した。厚労省がハローワークの求人票に対する苦情件数をまとめたのは初めて。

(中略)

 東京労働局に寄せられた苦情の中には、ある運送会社の求人票に「基本給30万円」と記されていたが、実際の給料30万円には60時間の残業代が含まれており、本当の基本給は13万円程度だった−−という事例があった。また飲食業のある企業は「勤務先は都心部の店舗」として募集していたが、実際には都心から遠く離れた郊外での勤務を提示されたという。「経理事務」を募集している製造業の企業で面接を受けたところ、「営業しか採用はない」と言われたというケースもあった。

 

 厚労省が苦情件数をまとめたのは初めてとのことですが、求職者にとっては半ば周知のことでもあるでしょうか。ハローワークの求人は嘘だらけ、ブラック企業を避けたければハローワークは避けるのが鉄則、私に言わせれば常識の範囲ですね。ハローワークの掲載の求人に応募したら採用を餌に金銭を騙し取られたのなんて可愛い方、ハローワークに紹介を受けて就職したら詐欺に荷担させられて豚箱入りになったなんてケースすらあります。後者のようなケースではハローワークも詐欺の共犯者として相応の刑事処分を受けてしかるべきはずですが、これがお咎めなしとは正義も糞もありません。

参考1、ハローワークの利用は避けることを奨めたい

参考2、ハローワークの求人広告が最も信用できない

 商品(サービス)の広告に虚偽や誇張があれば景品表示法違反などに問われます。しかるに、求人広告に嘘があっても、これを取り締まるものは何もありません。景品表示法は求人広告に対しても適用されるべきものと私は前々から考えていますけれど、その様な動きはないようです。あまりにも嘘だらけの広告を連発している会社は元より、そうした信用できない広告を掲載し続け、利用者を誤認させるような組織もまた大いに問題があります。ハローワークにも当然のこととして、利用者に不利益を与えた場合は責任が問われてしかるべきでしょう。

 タチの悪い事業者を放置するハローワークに業務改善命令や営業停止処分、資格失効などの措置が取られることがない現状、嘘の求人広告で求職者を騙すのは完全に「やったもん勝ち」となっているわけです。何の後ろ盾も、そして多くは職もないであろう求職者に個人の力で悪質な求人を出す事業者に立ち向かうことを求めるのは、あまりに酷な話です。ここはやはり、公的機関による取り締まりが必要なのではないでしょうか。ハローワークが何もしないのなら、消費者庁なり警察に動いてもらった方がまだマシになるのかも知れません。

 求人を「出す側」の言いなりで、何の審査もしないような組織は単なるアリバイ作りのために存在しているようなもの、もうハローワークなんて大幅に業務縮小、市役所の一角に間借りして失業保険の受付だけに特化してしまった方が良いのではないかと思うこともあります。ちなみに失業保険の手続きに関しては色々と失礼なことを言われることが多いといいますか、受給者を半ば容疑者扱い、まず初めに「不正はしないように、不正をしたら罰則が云々」と脅しをかけられることから始まるのですが、もう一方のハローワーク利用者である求人広告を「出す側」へは、どう接しているのでしょうかね。

 実際の業務内容や待遇とは異なる求人広告を出す、その様な事業者こそハローワークの「不正な利用者」であること、それは強く意識されるべきです。失業給付を受けるに当たって嘘を吐いたら罰則が云々とハローワークの担当者はいつも語りますけれど、本当に嘘を吐いて不当に利益を得ようとしているのは誰なのか、そして嘘か本当かを審査することもなしに求職者が欺かれるのを対岸の火事のごとくに眺めているのは誰なのか、率直に言ってハローワークには解体も含めた大幅な改革が必要であろうと言うほかありません。

 

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コメント (4)
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