そうかあ・・・ついに死んだか。
昭和、平成と、したたかに、その名も過去も隠して生き抜いてきた、85の老女が死んだかあ・・・・・・。
福島県から単身上京。出生時の名前は、伊東芳枝。
やがて、新橋第一ホテルで皿洗いをしながら、夜とも成れば、同僚の女性からも衣裳を借り、ガード下で、その身を売ってきた。
俗にいう「パンパン」。
そこで、駐留軍兵士から英語を、カラダで覚えもした。
やがて、伊東芳江にと改名。
源氏名。ホステス名は、数えきれないほど。
いつしか、野村へと姓名を変え、さらなる大変身を遂げる。過去を消し去り、隠して・・・・・・。
彼女の軌跡を追い、田園調布の家も行った。人を噛みそうな犬にも、ほえまくられた。彼女が書いた、誤字だらけの貼り紙も見た。
戦後の日本を象徴するかのように、血みどろになっても、見事に這い回り、這い上がって、一時期は、栄華を極めた。
獄中にも、転落したが、出るや、意気軒昂。
彼女をみていると、松本清張が描いた、戦中戦後をしたたかに、くじけることなく生き抜いてきたオンナに重なる。
昭和の裏面史体現おんなが、またひとり消えた・・・・・・