私の読書日記

乱読・多読 私の読書日記です

『人間失格』(太宰治著)の感想その2

2011-01-26 09:19:40 | 日記
以前、作家の筒井康隆さんがテレビ東京の番組「世界を変える100人の日本人」の中で、この作品を紹介していらっしゃいまして、
「読者に自分のことだと思わせてしまう書き方がすごい」
と評していた記憶があります。

また、あとがきにも
「自分の生き死にもかかわるという、熱烈で真剣な読まれ方をしている」
という内容が書かれていました。

『人間失格』には独特の引力があるんですよね~。

この本を読むことで自分の人生に何かしらの染みが滴り落ちて広がり、それが皮膚を溶かし二度と消えない火傷となるのではないか。

そんな恐怖と好奇心によって読み継がれてきた作品のような気がする。

少なくとも、私はそうです。

社会や世間なんてものを蹴っ飛ばして、いっそのことフェードアウトしてやろうか。
そんな鬱々とした感情の中『人間失格』を手にしていました。


『人間失格』(太宰治著)の感想です

2011-01-25 10:18:25 | 日記
今までは食指が動かなかった太宰治の『人間失格』(新潮文庫、昭和27年初版発行)。

しかし、近年は文庫の表紙を人気漫画家のイラストにして売上部数を伸ばしたり、
生田斗真主演で映画化されたりとちょっとしたブームになっていた気がしないでもない。

2009年が太宰治生誕百周年だったから何かと注目されたのでしょうね。

私もようやく文庫本を購入し頁をめくりました。

まず、言わずと知れたタイトルがもう・・・
いいね!と親指を立てる(古っ)と同時に、脳裏に去来するツッコミ・・・

“『人間失格』なんて、あまりにも人間臭いですよ!”と。

人間以外で自らを「○○失格」と考える存在っていないと思うので。

作品にそう名付けた時点で、もう花丸。
立派な「人間」です。



『世迷いごと』(マツコ・デラックス著)感想その4(完)

2011-01-24 12:46:14 | 日記
こう言っちゃなんですが、本書も所詮は
『世迷いごと』=マツコ・デラックスという個人の色眼鏡で語った単なる愚痴、
なわけですから、真剣に読んで論ずるような代物でもないと思います。

ただ、マツコ・デラックスの言葉だから読んでみたい、聞いてみたいと思うのですよね。

そうじゃなかったら、別に他人が有名人をどうのこうのと論じている本なんて大して読んでみたいとは思わないのではないでしょうか。

マツコさんの仰る通り“それだけ、みんな、「異形な者」を欲している”ということなのでしょう。

そして、私たち大衆が「異形な者」を求め、マツコ・デラックスの言葉を欲するように、
マツコ・デラックスもまた「異形な者」を求めている。

おそらくは、私たち以上に。

あのドスのきいた声が、何かに焦っているような必死さを帯びて行間から聞こえてくるような錯覚を起こした本でした。


『世迷いごと』(マツコ・デラックス著)感想その3

2011-01-23 18:24:43 | 日記

ただ、私たち読者が勘違いしてはいけないと思ったのは、
マツコさんが標的にしているのは言葉を向けている本人ではなく、
その先に透けて見える相手である場合も多い、ということです。

例えば「女子アナvsマツコ・デラックス」という構図が
テレビ番組で一時期よく見られましたが、
マツコさんが攻撃しているのは女子アナのようであって実はそうじゃない。

本当に文句を言いたいのは、
「知的で若くて可愛い隙のある“欲望の対象”としての女子アナ」
という商品記号を作り上げたテレビメディアの在り方だったりするわけです。

マツコさんがテレビや書籍でワーッと毒舌振るっているのを
「あ~スッキリした」「あ~面白かった」
と単に受け身になって聞いたり読んだりしていてはダメだってことですね。




『世迷いごと』(マツコ・デラックス著)感想その2

2011-01-20 18:29:34 | 日記
さて、まさに時の人といっても過言ではないほどの人気ぶりのマツコ・デラックスが、何かと世間を騒がせている女性有名人をバシバシ斬っていく、という体の本書ですが。

読んでいて強く感じたのは、
マツコさんは人間の核の部分に到達するまで掘って掘って掘りまくって、そこから湧き出たエキスを浴びてようやく「いい湯だわぁ♪」と言える人なんじゃないだろうか、と。

だから女優にしてもスポーツ選手にしても女性キャスターにしても何にしても、
人間という生き物が醸し出す“業”という名のフェロモンに吸い寄せられていくのでしょうね

それはマツコさん曰く「しょっぱい経験」により熟成されて、生き様として形成されていく。

そういう人間が狂気に悶える女を演じたり、凄惨な事件を語ることにより、
人々に真に「伝える」ことができるのだと、終始一貫して語っていたように感じました。

感想その3に続きます。