転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昨日は実家に行った。
四捨五入すると90歳になる両親は、変わりなかった(^_^;。
ただ、居間のファックスが新しくなっていた。
これまで15年間使っていたものが先日壊れたので、
両親は某百貨店の外商に頼んでカタログを持ってきて貰い、
深く考えず、見た目が前のと似ているものを選んで注文したそうだ。

届いてみると、最新の機械はスバラしく進化して多機能になっており、
両親にとっては、ひどく使い勝手が悪くなっていた。
着信を示すランプがついているので押したら、
機械が電話番号を一方的に何件か読み上げて終わったり、
留守録を再生しようとしたら、「迷惑電話に気をつけましょう」などという
メッセージがやたらと繰り返されるだけだったり、
全く、使い方がわからなくなってしまったのだという。
取扱説明書をひもといてもみたが、
「○○の場合→○ページへ」と書いてあり、
その○ページへ行ってみたら、似たような文面のあと、
「○○の場合→○ページへ」とまたほかのページを参照せよと書いてあり、
たらい回しされた挙げ句、何も解決しなかったとのことだった。

少し前まで、先代からお世話になっていた電機屋さんが村にはあったのだが、
ついに先年、老齢になった店主が店じまいして隠居してしまった。
それで今回、ファックスを買うにあたって百貨店の外商を頼ったわけだが、
こうなってみると、簡単に話のできる業者さんがいなくなったことは、
両親にとって大きな痛手であった。
ちなみにこの電機屋さんというのは、私が小学生だった頃には、
村のあちこちの家が買う雑誌や書籍を扱っていたお店でもあった。
当時、うちの村には書店などというものは存在していなかったので
書籍は電機屋さんに注文すると、月に一度、届けて貰えることになっていたのだ。

「せやから、最近はファックスがわからんときは魚屋に訊くことにしてんねん」
と母は言った。
実家のあたりは田舎ゆえにか、今でも御用聞きがあるのだ。
馴染みの魚屋さんのおじさんが来たときに、
「これのF1って書いてあるとこ押しても、何も始まらへん」
などと母が言うと、おじさんは
「そういうときは、先に、こうじゃろ?」
等々と、気さくに教えてくれるそうだ。

おじさんでもわからないことが時にあり、そういう場合、おじさんは、
「待ちんさい。いっぺん息子に訊いてみるけ」
と言って、一旦、家に帰るそうだ。
そうすると、若い息子さん(←中年)が
たちどころに謎解きをしてくれて、わかるようになるのだという。
生き字引のようである、と母は会ったこともない息子さんを崇めていた。

今、うちの両親の社会生活がどうにか保たれているのは、
某鮮魚店の御主人、特に御子息のお蔭である。
心からの御礼を申し上げたい。


いや~、それにしても、ファックスを扱う魚屋があろうとは。
人間、トシとると物凄い解決法を平気で編み出すものやね。

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