転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



先月、リカちゃん展を見に行ったことで、懐かしくなり、
『想い出のリカちゃん』(タケヤマ・ノリヤ編)という本を買ってみた。
初代リカちゃん・二代目リカちゃんを中心に、
当時販売されていた人形たちや、お洋服、ハウス、家具、
等々を写真と文章で紹介した本だ。
まさに私が遊んだアイテムが、カタログの再現を交えて掲載されており、
懐古趣味に浸ると同時に、新たな発見もあり、とても面白かった。

リカちゃんは、女の子から見て素敵な存在でなくてはならないから、
ファッションも行動パターンも、その当時の流行や憧れが、
ふんだんに取り入れられた設定になっていたことを改めて知った。
例えば、リカちゃんの、ある自己紹介の文章は次のようになっている。

『私の名前は、「香山リカ」。おしゃれ大好き。
ママのデザインしたステキなお洋服をたくさん持っています。
(中略)そしてみんなと同じように、絵を描いたり、
歌を唄ったり、ゴーゴーを踊ったりして遊んでいます』

そういえば、『アタックNo.1』の鮎原こずえも、
裏山の八幡様で仲間と一緒にゴーゴーを踊っていたものだが、
平成の今となっては、これはかなりシュールな遊びだな。

また、リカちゃんたちは、小学生ながらバンドを組んでいた。
『うたうわたるくん、えんそうするリカちゃんといづみちゃん』
という構成で、れっきとした、エレキ・バンド(爆)だった。
『レッツゴー!!タイガースみたいなリカちゃんトリオ かっこいいわ』
というコピーもあった。
タイガースは、勿論、阪神ではない。

それにしても、わたるくんが、ヴォーカルって。
確か、彼のプロフィールは『音楽はにがて3』だったハズ。
そんなことも省みず、わたるくんは、
『「よしきた!リカちゃんトリオで、エレキ音楽をやろう!」
と今にも若大将バクハツの予感
だったと書かれている。

リカちゃんは、幼いせいか、見事なまでに、ストレスが無かった。
自分はハーフで、裕福ではあっても母ひとり子ひとりで、
ママは国際的な服飾デザイナーで多忙・・・、
10歳そこそこの少女にとって、世の不条理をそれなりに感じ、
孤独な思いも味わった生活だったのではないかと想像されるのだが、
リカちゃんの当時のプロフィールには、いつも、
このあたりの事情が、実に簡潔に述べられているのみだ。

悩みはフランス人のパパの行方がわからないこと

悩みは算数が苦手なこと、という程度の、こだわりの無さだ。
しかも、どこまでもポジティブなリカちゃんは、
一度も会ったことのない、生きているかどうかもわからないパパのことを、
『リカは、よくパパの夢をみるの。足が長くて、ハンサムで・・・』
と、一方的に自分好みの容姿で描写している。
頭髪の行方の怪しい、ハラの出た白人、なんてのは完全に想定外だ。

ちなみに、パパはピエールと言い、職業はオーケストラの指揮者、
というのが、初代リカちゃん時代からの一貫した設定なのだが、
当時、日本にいる香山母娘がその行方を把握できなかったということは、
ママのデザイナーとしての華々しい活躍に比して、
パパのほうは限りなく無名の音楽家だったのかもしれない。

ときに、リカちゃんは自分語りが好きだったようだ。
だいたい、「もしもし、私リカよ」で有名な、『リカちゃん電話』も
いつも、聴き手を羨ましがらせるほど楽しそうな、
リカちゃんの近況報告だった。
「リカちゃんは電話で自慢話ばかりするから、キライ」
という意見も、そういえばどこかで読んだことがあった。

『想い出のリカちゃん』には、リカちゃんの日記も紹介されている。
『リカのゆめは、デザイナー。
でも、デザイナーになるには、もっとべんきょうしなくっちゃ・・・。
それから、およめさん!だれにおよめにいこうかなー。
ケンちゃん、わたるくん、かずおくん・・・』

カルい(汗)。
結婚などという人生の重大事を語るのに、
まるで、どのバッグを持っていこうかなー的な浮かれ具合だ。
リカちゃんは、「わたる」のほか、「ケン」や「かずお」が好きだったが、
このあと、気の毒なことにわたるくんが死ぬと(製造中止になると)、
マサトくん、イサムくん、かけるくんという新顔たちが、
リカちゃんのボーイフレンドとして次々に登場することになる。
本当に、リカちゃんの男性遍歴は華麗だ。
しかも、「ケン」ってバービーのボーイフレンドだっただろうが。

そして現実には(と言っていいのかどうかわからないが)、
リカちゃんは成人後、デザイナーにはならず、外交官になり、
フランツ・シブレーという、日仏ハーフの男性と出会って、結婚する。
これは2000年代初頭、㈱タカラが発表した公式設定だ。
30歳で、女の子を生んだ、という展開まで当時は決められていた。
高い学歴を持ち、国際的に活躍し、かつ結婚も子供も手に入れる、
というのが、平成の女の子たちの典型的な憧れだった、というわけだ。

ただ、2009年現在、公式サイトのどこを探してもこの話は出て来ないので、
『リエお姉さん』同様、『なかったこと』にされている可能性は高い。
リカちゃんは、結局、今もやっぱり白樺学園5年生、永遠の11歳なのだ。

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