転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



記録しておきたいと思いつつ、リサイタルが終わって早一週間。
とりあえず、リサイタル翌日の夜にTwitterに投稿したものを貼っておく。
これらは思いついた順に書いた、メモ同様のものなので、
このあとできればなんらかの感想文にまとめ直したいと思っているのだが、
落ち着いた時間が、今のところ全く取れていない(汗)。
演奏者が考えに考え抜いてかたちにした演奏を聴いたときには、
聴き手としての私もまた、「短時間でチャチャっと」通り過ぎることなど
到底、できない。

『ポゴレリチ(ポゴレリッチ)の昨夜の演奏会は、私にとって、「なるほど、そういうことか!」と次々に種明かしがされて行くような面白さがあった。クレメンティのソナチネは三楽章まで聴いて、なぜ最初がああいう音だったのか納得が行った。ベートーヴェンも然り。そして後半のショパンが始まって、「そうか、だから前半はああいう音で弾いていたのか」とわかり、ラヴェルまで行って、「なんと!!このために今夜の演奏会はクレメンティで開始されたのか!!!」と膝を打った。そして、アンコール二曲目にショパンの作品62-2が始まったときこの曲は2010年5月の来日公演の一曲目だったので、「ああ!!時を経て、ここへ来たということだったのか~~!!!」という感動があった。現時点の彼にできる完璧版と言って良い構成・内容のリサイタルだったのではないかと思っている。』

『ポゴレリチ(ポゴレリッチ)の昨夜のリサイタルに関して、ベートーヴェンは私にとってこれまでにない彼の音だった。熱情は以前もプログラムに入っていたので、正直「またか」という感じがあったのだが、聴いてみたら全く一新された内容で畏れ入った。一曲について解釈が何通りもあると以前、ポゴ氏が発言していたが、なるほどと思った。一方、ショパンのバラード3番は、音も構成も私にとって実によく知っているポゴ氏だった。ほぼ、思った通りの予定調和のように展開されたので、これまた納得が行った(笑)。ラヴェル『ラ・ヴァルス』は初出し。彼の音楽は昔からそうなのだが、水平方向に「流れる」ことよりも、その瞬間瞬間の垂直構造がどうなっているかのほうに聴きどころがあって、昨夜のラヴェルはその典型だったと感じた。まるでパーツごとに、テンポ設定やフレージングがばらばらに為されているように聞こえたのはそのためだったと思う。』

『ポゴレリチ(ポゴレリッチ)の昨夜の『ラ・ヴァルス』は、2005年の来日公演のとき私が感じた「音楽のキュビズム」が一歩完成に近づいたものでもあって、ポゴ氏自身が好んで使う言葉だがまさにあれはphonomenonだった。クレメンティの時代から見てピアノという楽器とそこで奏でられる音楽が、200年経たないうちに、あのように巨大なものへと実ったのだということを、2時間に満たない演奏会で聴かせて貰った。』

『ポゴレリチ(ポゴレリッチ)のバラード3番は少なくとも来日公演では初めてだったが、昨日彼がバラードを弾き始めた途端に、それまでの前半とは打って変わって、まぎれもないポゴ節が聞こえて来たので、私は不覚にも笑い出しそうになったほどだった。こういう面は30年来、変わらずにあるのだなと。』

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