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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

安倍政権を牛耳る「日本会議」の恐怖 菅官房長官が集団的自衛権合憲派として挙げた学者3人は全部日本会議

2015年06月21日 | #安倍晋三が諸悪の根源

「集団的自衛権を合憲とする」憲法学者は全員、日本会議関係者――シリーズ【草の根保守の蠢動 第9回】より



 2015年6月15日に、長谷部早大大学院教授と小林節慶大名誉教授が日本外国特派員協会で記者会見した際に、英エコノミスト誌が質問し、小林氏が答えた日本会議に関する質疑応答が、朝日新聞、毎日新聞など日本の報道からすっぽり抜けていることが話題になっています。

 ちなみに、その問答をBLOGOSから再掲します。

ー政府は集団的自衛権を行使する場合の想定シナリオをなかなか出さない。具体的には、どういう事態を想定しているのか。なぜ出さないと思うか。 

また、安全保障法制を「合憲」としている3人の学者は皆「日本会議」に属している。その意味や、「日本会議」の影響力をどう見ているか。(エコノミスト)
 

長谷部教授:最初の質問については私の方から。具体的な例は簡単には思いつきません。政府が果たして具体的な例を想定しているのかどうかも私にはわかりません。ホルムズ海峡の件については、ご存知のようにイランとアメリカは友好的な関係を迎えつつ有りまして、ホルムズ海峡が封鎖されることも具体的には想定しにくいと思います。 

むしろ、政府の側は、集団的自衛権が行使されること、それ自体が目的なのではないかと考えております

小林教授日本会議に沢山の知り合いがたくさんいるので私が答えますが、日本会議の人々に共通する思いは、第二次大戦で敗けたことを受け入れ難い、だから、その前の日本に戻したいと。かれらの憲法改正案も明治憲法と同じですし、今回もそうですが、日本が明治憲法下で軍事五大国だったときのように、アメリカとともに世界に進軍したいという、そういう思いを共有する人々が集まっていて、かつそれは、自民党の中に広く根を張っていて、かつよく見ると、明治憲法下でエスタブリッシュメントだったひとたちの子孫が多い。そうするとメイクセンスでしょ(笑)。 

長谷部恭男・小林節両氏が戦争法案について記者会見 印象に残った言葉のご紹介

小林氏の回答は21分30秒あたりから。

 

 

 この日本会議はマスメディア的には半ばタブーな存在であまりお目にかかりませんが、小林氏によると

1 第二次大戦で敗けたことを受け入れがたい。その前の日本に戻したい。

2 彼らの憲法改正案は明治憲法と同じ。

3 日本が明治憲法下で軍事五大国だったときのように、アメリカとともに世界に進軍したい。

4 自民党の中に広く根を張っている

5 明治憲法下でエスタブリッシュメントだったひとたちの子孫が多い

ということになります。実によくまとまっています。例の明治天皇の玄孫だという話の竹田なんとかという慶応大学の講師は小林先生の不肖の弟子らしいのですが、あの人が典型ですなw

日本会議の人に言わせれば、日本が起こした「大東亜戦争」=アジア太平洋戦争のおかげで「黒人」が解放された!?のだそうで、「人類史上初の有色人種によるサミット」=大東亜会議が行われた戦時中の1943年が日本最良の時だそうです(怖)。

 

 

 そして、集団的自衛権の行使を合憲だという著名な憲法学者もたくさんいると発言してしまい、じゃあ名前を挙げてみろと迫られた菅官房長官があげた三人の憲法学者もすべて日本会議の重鎮でした。

長尾一紘・中央大名誉教授
百地章・日本大教授
西修・駒沢大名誉教授

がその三人です。

 この中で、教科書を書いているくらい憲法学者として著名なのは長尾氏だけで(法科の世界で中央大学と言えば格上)、あとは憲法訴訟で国側の意見書を書いてくる(百地氏)とか、産経新聞御用達(西氏)ということで知られているくらいで、まずは著名な憲法学者をたくさんと言うわけにはいきませんでした。

百地章氏
「学者の解釈は私的解釈にすぎない。国は異論に縛られず、防衛に責任を持つ立場で進めればいい」

西修氏
「批判する学者は法案が従来の政府解釈を超えているから違憲と訴えている。だが、憲法の条文に照らして解釈すれば今回の法案は憲法の枠内だ」

長尾一紘氏
「日本の安全保障環境が大きく変化するなか、お二人(長谷部恭男氏と小林節氏のこと)は数十年前の見解をずっと持ち続けているのかと驚いた。政府見解を変えてはいけないルールはない」

 ちなみに、このお三方は徴兵制に関して違憲で許されないとする政府見解を間違っていると主張しています。

 西名誉教授は「政府の徴兵制に関する解釈は、およそ世界的に通用しない解釈」、百地教授は「意に反する苦役に当たるという議論には反対」、長尾名誉教授は「徴兵の制度と奴隷制、強制労働を同一視する国は存在しない。徴兵制の導入を違憲とする理由はない」としており、いずれも、憲法調査会の議事録や書籍などに記録として残っています。

 いかにトンデモない人しか集団的自衛権を合憲だなんて言わないことがわかりますね。

日本国憲法第18条

何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

菅官房長官の「著名な憲法学者もたくさんいる」→「数じゃないと思いますよ」 手のひら返し発言の笑撃!

 

安倍内閣の閣僚は毎回8割以上が日本会議国会議員懇談会のメンバー。なにしろ総理と副総理が役員の中でも最高顧問。まさに極右政権であることがわかる。



 ハーバー・ビジネス・オンラインに菅野完氏が連載している「日本会議は何を目指すのか 『草の根保守の蠢動』シリーズ」によると、日本会議の目指すものは、以下6項目とのことです。

1.美しい伝統の国柄を明日の日本へ
2.新しい時代にふさわしい新憲法を
3.国の名誉と国民の命を守る政治を
4.日本の感性をはぐくむ教育の創造を
5.国の安全を高め世界への平和貢献を
6.共存共栄の心でむすぶ世界との友好を

(1)皇室を中心と仰ぎ均質な社会を創造すべきではあるが

(2)昭和憲法がその阻害要因となっているため改憲したうえで昭和憲法の副産物である行き過ぎた家族観や権利の主張を抑え

(3)靖国神社参拝等で国家の名誉を最優先とする政治を遂行し

(4)国家の名誉を担う人材を育成する教育を実施し

(5)国防力を強めたうえで自衛隊の積極的な海外活動を行い

(6)もって各国との共存共栄をはかる

と、要約することができます。

 そして、この中で
日本会議が今現在もっとも力を入れるのが「憲法改正」運動だというのです。

日本会議の憲法改正運動は、今では憲法学者の誰からも顧みられない(はずなのだが3人はこの説かも)の「押し付け憲法論」=日本国憲法は無効!という立場に立っている。

 

 

 日本会議はそのフロント団体『美しい日本の憲法をつくる国民の会』を通じて、目下、1000万筆を目指して全国的な署名活動を展開しています。また、地方でも各地の地方議会で「早期の憲法改正を求める意見書」を採択させる運動も展開しています。

 また、もう一つのフロント団体『「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会』(通称・民間臨調)(公式サイト)を通じては、各界の識者や政治家を招聘して、「憲法フォーラム」と題するパネルディスカッションを全国各地で展開中で、今年の憲法記念日には、砂防会館に約900人の聴衆を集めたシンポジウムを開催し、一刻も早い憲法改正を訴えています。

 そして驚くべきことに、菅官房長官が挙げた三名の憲法学者、長尾・百地・西氏ら3名は、みな、この2団体の役員なのです。

 これでは徴兵制合憲論もむべなるかなと言ったところでしょう。

「集団的自衛権を合憲とする」憲法学者は全員、日本会議関係者――シリーズ【草の根保守の蠢動 第9回】

 

 

 安倍内閣が日本会議メンバーを中核とする極右内閣なら、これを支える「集団的自衛権合憲」「徴兵制合憲」という憲法学者もすべて日本会議の役員。

 しかも、日本会議は中央において、「美しい日本の憲法を作る国民の会」を通じ、1000万人の改憲賛成署名を集めることを目標として活動している一方、その地方支部を通じ、あるいは別働団体の地方支部や地方協力団体を通じ地方自治体の議員に働きかけ、次々と請願書や意見書を採択しています。

 2015年1月10日現在この「憲法改正の早期実現を求める地方議会決議」を行った地方議会は、25府県議会/ 36市区町村議会にのぼるというのです。

 しかも、注目すべきは、この改憲を求める意見書採択の動きが、長年の運動の結果ではなく、第二次安倍内閣成立後のここ数年の間に、一気に推し進められてきたという点です

 地方議会が国会に対し改憲を要求する意見書を採択した最初の事例は、2014年2月の石川県議会で、その後、熊本、千葉、愛媛と、各地の県議会で続々と同様の意見書が採択されました。

 最初の事例となった石川県議会の意見書は、日本会議の案文そのままであったということですが、その後、自民党本部から各都道府県連に石川県議会の意見書を参考にするようにとの通達がだされ、2014年から今年にかけ一気に意見書採択の動きが広まることとなった。

 見てください。1年と半年も経たないうちに、早くも日本の都道府県の半分が赤くなってしまっています。

憲法改正の早期実現を求める意見書採択済みの都道府県

日本会議は何を目指すのか?――シリーズ【草の根保守の蠢動 第2回】より

 

 

 これだけの力を持った日本会議だからこそ、マスコミはほとんど報道しないというわけです。

 今回、集団的自衛権の行使を合憲だとした憲法学者3人は単に少数派であるとか、変わっているというだけではなく、極右勢力である日本会議の主要メンバーであるからこそ、信念を持ってそういう発言をしているのだということを知って、心構えしておかなければなりません。

 そして、安倍内閣のほとんども保守ではなく、極右であるということも。

日本のマスメディアとしては初めてと言っていいほどまともに日本会議の問題を取り上げた東京新聞。

 

 

証言 村上正邦 我、国に裏切られようとも
魚住昭 著
講談社

日本会議を作った男の証言。「右派勢力」はなぜ台頭したのか。国家観、歴史観が異なる2人が解き明かす政治の現況。
生長の家が政治から撤退した真相。右派団体「日本会議」がとる毛沢東戦略。
国旗・国歌法制定、森首相擁立の裏側。そして、改憲について吐露した懸念。


最新 右翼辞典
堀幸雄 著
柏書房

玄洋社結成から昭和・平成へと至る右翼運動の歴史を整理。個人、団体、事件、運動、用語を幅広く網羅した辞典。近代日本の右翼運動の歴史を一望できる詳細な右翼史年表、主要事件の流れをたどれる口絵写真を収録する。


 

とにかく1年そこそこで日本の半分を制覇した力は凄まじい。

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2015.6.19 17:20 産経新聞

【安保法制整備】
西修・駒沢大名誉教授「明白に憲法の許容範囲だ」 百地章・日大教授「国際法上の固有の権利だ」 日本記者クラブで会見

 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案が「合憲」との立場をとる、憲法学者の西修・駒沢大名誉教授と百地章・日大教授が19日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。

 西氏は「法案は限定的な集団的自衛権の行使容認で、明白に憲法の許容範囲だ」と主張し、政府解釈を支持。百地氏も集団的自衛権について「国連憲章によって加盟国に認められた国際法上の固有の権利だ」と指摘した。

 4日に衆院憲法審査会に参考人として出席した長谷部恭男・早稲田大教授ら憲法学者3人全員が法案を「違憲」と指摘。これを受け、菅義偉官房長官は10日の衆院平和安全法制特別委員会で、西氏と百地氏、長尾一紘・中央大名誉教授の3人を合憲派の学者として紹介していた。

 

「徴兵制は合憲」安倍政権“お抱え学者”3人のトンデモ解釈

さすがに徴兵制はあり得ない(C)日刊ゲンダイ
 トンデモない事態だ。菅義偉官房長官が「安保法案は合憲」とする憲法学者として名前を挙げた3人が、「徴兵制は違憲」とする政府判断について、「間違っている」と主張していることがわかった。要は“徴兵制は合憲”と言っているのだ。19日の衆院特別委員会で、辻元清美議員の質問で明らかになった。

 3人とは、西修・駒沢大名誉教授、百地章・日本大教授、長尾一紘・中央大名誉教授の各氏。西教授は「政府の徴兵制に関する解釈は、およそ世界的に通用しない解釈」、百地教授は「意に反する苦役に当たるという議論には反対」、長尾教授は「徴兵の制度と奴隷制、強制労働を同一視する国は存在しない。徴兵制の導入を違憲とする理由はない」としている。

 いずれも、憲法調査会の議事録や書籍などに記録として残っており、よほど自分の解釈に自信があるのだろう。

 この独創的な解釈に真っ青になったのは、3人を推した“張本人”の菅官房長官だ。委員会では「徴兵制は憲法上許容されるものではない」と否定した上で「(3人の主張は)知らなかった。あくまでも憲法学者のひとつの意見だろう」と話した。

 95%以上の憲法学者が「安保法案は違憲」とする中、安倍政権にとって、3人は“頼みの綱”だったはずだ。それでも、さすがに「徴兵制は合憲」と発言していたことが分かり、「ひとつの意見」と突き放すしかなかったのだろう。切り捨てられた3人は唖然としたのではないか。

 安倍政権は「憲法18条(その意に反する苦役からの自由)がある以上、徴兵制はあり得ない」と答弁しているが、本当に信じていいのか。徴兵制も自分たちの都合のいいように解釈をねじ曲げ、いずれ「違憲ではない」とするのではないか。

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。

 「憲法9条から考えると、日本は戦争を放棄し、戦力を放棄しているので、徴兵制を問題にすること自体あり得ないんです。ただ、集団的自衛権を認めた安倍政権の手法を使えば、『国を守ることは国民の義務だ』との解釈から、18条を吹っ飛ばして、徴兵制を認めてしまうことも可能でしょう」

 このまま安倍政権の“横暴”を許せば、子供や孫たちが強制的に戦地に送り込まれることになるだろう。

 

 

【詳報】「安全保障法制は違憲、安倍政権は撤回を」〜長谷部恭男氏・小林節氏が会見

15日、憲法学者の長谷部恭男氏(早稲田大学法学学術院教授)と小林節氏(慶應義塾大学名誉教授、弁護士)が会見を行った。両氏は、政府・与党が今国会での成立を目指す安全保障関連法案について笹田栄司氏(早稲田大学政治経済学術院教授)とともに、4日に行われた衆院憲法審査会で「違憲」との認識を表明していた。 

会見で両氏は、改めて法案は違憲であり、撤回すべきだと主張、安倍政権が止まらないのなら、次の選挙で政権を交代させるべきだと述べた。 

 
ー政府は集団的自衛権を行使する場合の想定シナリオをなかなか出さない。具体的には、どういう事態を想定しているのか。なぜ出さないと思うか。 

また、安全保障法制を「合憲」としている3人の学者は皆「日本会議」に属している。その意味や、「日本会議」の影響力をどう見ているか。(エコノミスト)
 

長谷部教授:最初の質問については私の方から。具体的な例は簡単には思いつきません。政府が果たして具体的な例を想定しているのかどうかも私にはわかりません。ホルムズ海峡の件については、ご存知のようにイランとアメリカは友好的な関係を迎えつつ有りまして、ホルムズ海峡が封鎖されることも具体的には想定しにくいと思います。 

むしろ、政府の側は、集団的自衛権が行使されること、それ自体が目的なのではないかと考えております

小林教授:日本会議に沢山の知り合いがたくさんいるので私が答えますが、日本会議の人々に共通する思いは、第二次大戦で敗けたことを受け入れ難い、だから、その前の日本に戻したいと。かれらの憲法改正案も明治憲法と同じですし、今回もそうですが、日本が明治憲法下で軍事五大国だったときのように、アメリカとともに世界に進軍したいという、そういう思いを共有する人々が集まっていて、かつそれは、自民党の中に広く根を張っていて、かつよく見ると、明治憲法下でエスタブリッシュメントだったひとたちの子孫が多い。そうするとメイクセンスでしょ(笑)。 

ー先生方が国会で発言した際の自民党からの反応について、2つの質問があります。 

山東昭子元参院副議長が、長谷部先生を招致することをを決めた方は処罰されるべきだと発言しました。この発言を聞いてどう思われましたか。 

次に、高村正彦副総裁が「国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、自衛のための必要な措置が何であるかについて考え抜く責務があります。これを行うのは、憲法学者でなく、我々のような政治家なのです。」という発言をされました。これについてはいかがでしょうか。
 

 
長谷部教授:私が証言した日の憲法審査会のメインテーマはconstitutionalism(=立憲主義)について、でした。その専門家として事務局が私を選び、それを自民党が受け入れたと、いうふうに伺っております。 

ですから私はconstitutionalismの専門家として呼ばれたのでありますけれども、その人間がたまたま9条について発言をしたのがけしからん、というのが山東さんの発言の主旨なのだろうと思いますが、しかし、質問があれば私は自分の思っていることを答えるだけだと思います。 

それから、二番目の質問ですが、私は今回の安全保障法案は、むしろ日本の安全を危うくすると思っております。日本を確実に守りたいなら、ぜひ学者の意見を聞くべきだと思います。 

ーガイドライン(日米防衛協力のための指針)で、すでに日本は米国と色々な約束してしまっています。その約束を果たすために、今安全保障法制が議論されているのだと思います。もし法制が整備されないとなると、日米の関係が悪化することが考えられないでしょうか。(ブルームバーグ) 

長谷部教授:まず、できるかできないかもわからないことを先に約束してしまうということが大変リスキーな戦略だったと思っています。そして最近のガイドラインの内容は、元々の日米安保条約の枠をはみ出しているのではないかという批判もあります。 

従いまして、これがうまく成立しなければ日米の関係が悪化することもあるかもしれませんが、それはもともと無理な約束をしたことに原因があるのだと思います。 

小林教授:私は日米関係は悪くならないと思います。つまり、日本とアメリカの官僚は頭がいいですから、ガイドラインが法的拘束力がないことを知っていますから、勝手に夢を語り合って、ガイドラインの上に法律があって、法律の上に条約があって、条約の上に憲法があって、"あ、やっぱだめだった"、で済むんじゃないですか。(会場から笑い) 

ーまだ現段階では早いかもしれませんが、数の力で強行採決することも考えられると思います。その場合、どのような法的手段で対抗できると思いますか。 

もし違憲訴訟がおきたとしても、最終的な判決が出るまで法律は生きたものでになりますので、その間、どうなるのでしょうか。また、今までの最高裁判決を見ますと、明らかに違憲であったとしても"違憲状態"という判断をし、"無効"という判断をしてくれないようにも思う。(ロイター)
 

長谷部教授:最近、最高裁は変化をしつつありますので、今までと違う態度を取る可能性はあると思っています。 

ただ他方、裁判所に頼りすぎるのも良くない。まず次の国政選挙で新しい政府を成立させ、一旦成立したこれらの法律を撤回させることを考えるべきだと思います。 

小林教授:弁護団の一員として、訴訟の準備をしています。それは法律が有効になった瞬間から、今までの日本には無かった、海外で戦争をする危険が具体化するんですね。ですから、平和に生きる権利が憲法前文と9条で保証されているならば、今は海外派兵ができないからそれが守られているんですけど、法律ができた瞬間から、それが侵されたと理解して、平和が傷つけられたという政府に対する訴訟を準備しています。かなり技術的に難しいですが。 

次の段階は、具体的に海外派兵の命令が下って、その部隊の一員がそこから逃げたした時、懲戒処分を受けた場合、それが違憲無効だと訴える。一番悲劇的なのは海外派兵で死んだ人が居た場合ですが、違憲な戦争で家族が殺されたと訴える。その準備を我々は既に始めています。 

ー今のお話に関連しますが、日本では憲法に違反すると思われる法律が出来たとしても、実際に誰かがその法律に違反する行為を行った場合に、そもそもその法律は違憲だとして訴えるという形を採らないと違憲か合憲かを争えないということを多くの人が知りません。日本には憲法裁判所のようなものもありません。また、安保に関わるものは「統治行為論」という判断で、裁判所はそうした問題には介入すべきではないと言うわけです。
では一体、誰が違憲かどうかを決める立場にいるのでしょうか。 

もう一点、このような仕組みは意図したものなのかそれとも、ある種の欠陥なのか
 

長谷部教授:最初の質問について、日本においては内閣法制局がこの種の問題について違憲合憲の判断を下してきまして、従来は一貫して、集団的自衛権の行使は違憲ですと、何度も何度も言ってきています。したがって、そういった法案が提案されることなかった。ところが、今の内閣の下、内閣法制局はプレッシャーに負け、解釈を変えた。そこに問題があるということになります。 

二番目の質問についてですけれども、日本はアメリカと同じシステムを採っております。従って、裁判の解決にとって必要な限りでしか、裁判所は法令の違憲性・合憲性については判断を下しません。ドイツには憲法裁判所がありますが、ただドイツの憲法裁判所も、圧倒的多数ケースは、やはり事後的な、実際に事件が起きた後で合憲性の判断を下すということになっております。 

小林教授:高村副総裁が勝手に引用している判決が全てを言っておりまして、戦争というのは国の存続に関わる大問題ですから、選挙で選ばれていない最高裁の15人の裁判官が決めるわけにはいけない。これはアメリカ・フランスの先例に学んだんですね。だから、あの判決の中、一次的には国会と内閣が決める、だけど最終的は主権者である国民が決めると言っているんです。さきほど長谷部教授も言われるように、狂ってしまった政治は、次の選挙で倒せばいいんです。 

ー集団的自衛権に関する議論が加熱しているが、基本的な問題がその前にあるんではないでしょうか。つまり、自衛隊のそのものの存在です。私は法律の専門家ではありませんが、陸海空の戦力を保持しない、と書いてあるのは、理解できます。とはいえ、1950年代の世界情勢を考えれば、そういうものが必要になったという政治判断も理解できます。 

ただ、今まで積み重なってきあ解釈というのは、政治的な要素と合わさって、新しい憲法の問題を生んできたと思います。ですから、最終的には、道徳的、倫理的な法学者が、集団的自衛権の問題だけでなく、そもそも自衛隊を持つことはどうかということを議論すべきではないでしょうか。(タイムズ)


小林教授:自衛隊については、二つの根拠がはっきりしていまして、9条には「国際紛争を解決する手段としては」という条件がついていまして、これは1928年のパリ不戦条約の文言と同じで、それ以来、国際法上の普通の標準的な理解としては、これは侵略戦争の放棄で自衛戦争を放棄していないと読むんですね。 

もうひとつは、国際法上の独立主権国家の自然権として自衛権はありますから、条文の根拠が要らないんです。それに基づいて自衛隊は存在しているし、砂川判決も書かれている。 

そして、終戦直後に自衛隊がなかったのは、日本が危険だったから、米軍が完全占領して持たせなかった。そちらの方が政治的な問題で、不自然です。 

ーインドネシア人の私から見れば、当たり前のことですが、もし国が攻撃されたらインドネシア人は死ぬまで闘うと思います。国を守るため自衛隊があるということを憲法に書かなければ行けないと思います。専門家から見て、憲法の文言はどのように書かれるべきでしょうか。 

長谷部教授:攻撃を受けた場合、反撃が出来る。憲法で個別的自衛権は認められているので、それで十分だと思います。 

ー安倍政権は今回の法案を撤回すべきだと思いますか。その理由は。 

長谷部教授:撤回すべきだと思います。核心的な部分、つまり集団的自衛権を容認している部分は明らかに憲法違反であり、他国軍隊の武力行使と自衛隊の一体化、これをもたらす蓋然性が高いからです。 

小林教授:私も結論は撤回すべき。違憲というのはもちろんですが、恐ろしいのは、憲法違反がまかり通ると、要するに憲法に従って政治を行うというルールが無くなって、北朝鮮みたいな国になってしまう。キム家と安倍家がいっしょになっちゃうんです(会場から笑い)。これは絶対に阻止しなければならない。そして、安倍さんの言うとおりにすると、自衛隊はアメリカ軍の二軍になってしまって、その結果日本は傷ついた上に破産してしまいます。だから何一つ良いこと無いんですね。撤回しないならば選挙で倒すべきだと思います。 

ー内閣法制局について理解できていないのですが、三権分立の原則を考えると、内閣からは独立したものなければではないのではないでしょうか。 

長谷部教授:日本の内閣法制局はフランスのコンセイユ・デタ(Conseil d'État)をモデルに作られましたが、これは内閣や議会に対して法的なアドバイスを行うのが役割で、その意見は尊重され、政治からも独立しているのが伝統でした。これまでは。 

小林教授:日本の違憲審査を考えると、入り口で内閣法制局がやって、出口は最高裁が担っていたんですが、ご指摘の通り内閣法制局は単に内閣の下にある一部門に過ぎない。でもなぜそれがコンセイユ・デタのように力を持ってきたかというと、人間の力だったんですね。優秀な人がプライドを持って守ってきたんです。今回人事権を行使されて、法制局は単に内閣官房に付いている局の一つ、形式通りの弱さになってしまった。これは歴史的なことだと思います。 

ー官房長官や政府の人たちは合憲という憲法学者もいっぱいいるとおっしゃいました。先生方は、日本でどれくらいの憲法学者が違憲だと言うと思われますか。また、裁判所の裁判官も含めて、法曹の方の考え方の主流が違憲なのであれば、判決にも反映されると思うんですが、それについてはいかがでしょうか(AFP) 

長谷部教授:本日の夜10時からの報道ステーションが、憲法学者へのアンケートの結果を報道することになると思います。そちらをご覧いただければと思います(笑)。私の推測では95%を超える憲法学者は「違憲だ」と言うと思います。 

裁判官も含めた法曹一般の中では、例えば、裁判官前の前の山本庸幸内閣法制局長官は、現在、最高裁判事ですが、就任の会見の際に「地球の裏側まで言って武力行使するのは違憲だ」と述べられておりました。 

小林教授:専門家の中でどれくらいなのかは出ていまして、大学教授の95%が違憲だとするなら、それに習った人々ですから、弁護士会もそのような状態で、今運動を行っています。 

弁護士会が可哀想だったのは、もうずっと1年くらい前から運動をしていたのに、メディアが問題にしてなかったんですね。ところが、こないだの憲法審査会以来、死んでいたメディアが生き返って、弁護士会の活動も取り上げてくれるようになったので、弁護士会も生き返りました。 

個人的に、高いランクの裁判官や検察官からも仰るとおりだ頑張ってくれと連絡があります。やはり専門家の常識を国民が共有していなかったのが問題なわけで、それはメディアの責任だと思うんですね。 

ー民主党の岡田代表が法案成立後に最高裁が違憲判決を出した場合、その時の内閣は総辞職に値すると発言しました。法の重さ、政治の責任につきまして、時の政権はどのように対応すべきだと思いますか。(ニコニコ動画・七尾氏) 

長谷部教授:私は岡田代表の会見を存じ上げていないので、正確なお答えになるかわからないのですがいま、仮に法律が成立するとして、最高裁が出すまで相当時がかかるわけですね。仮に最高裁が違憲判断を出した時に、時の政権が負っている責任は、それを維持してきたというこだと思いますが、そこまでの内閣全てにも責任があるということになるだろうと思います。 

小林教授:どうしてもそういう話になるので私はいらいらするんですが、つまり、最高裁が違憲判決を出すまでに大体4年かかるんですよ。それまでどうして放っておくのか。 いま世論調査が支持率が下がれば、安倍内閣は次の選挙が怖くなってやめるんですよ。やめなかったら、それは露骨にひどい事だしたとして、次の選挙で交代させればいい。参議院選挙で自民党が沈めば憲法が改正できなくなるんです。その次の衆議院選挙で自民党政権を倒せばいいんですよ。これが4年後の最高裁判決を待つよりよっぽど早いですよ。 
 
 
 
 

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14 コメント

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日本の独立 (時々拝見)
2015-06-21 09:39:45
彼らの論理だと…
占領中に認めた日本の独立は無効な訳で…
だから、売国改憲をやりたくてしょうがないんですね。
第・条.日本国総理大臣はアメリカ隷属の象徴とする…あ、解釈改憲済みですか。
あんたらのせいで (リベラ・メ)
2015-06-21 12:03:38
あんたらのせいで、我が家は分裂&分断されてます。私たち親子は共にカトリック信者ですが、母は完全にあんたらと同じ考え方と発言をかまします。私は真逆で、長谷部・小林・ 笹部の3氏に近く、共産党にかなり近いです(苦笑)。そんな母を見ると、「信者なのに…。」と悲しくなります。さあ、どうしてくれる改憲賛成派。
この不快な団体は (わかば)
2015-06-21 12:18:56
この、戦後70年の節目の年に、広島で、しかも8月6日にこのような催しをしようという神経を疑います。
しかも、会場のリーガロイヤルホテル広島は「原爆ドーム」とさほど離れていないのです。
わたし、小学生の時から平和教育を徹底して教えられてきた広島県人として本当に許せません、この、日本会議という団体の存在自体が。

広島弁にてひとこと。
「何を考えよるんならー!ええ加減にしんさいやー!!」
http://jp-pride.com/topic/8670.html
昔を懐かしむのは人の常ですが (H.KAWAI)
2015-06-21 12:50:29
○あれだけ酷い目に遭っていながら戦前の日本を懐かしむというのは理解できませんね。
○然も単に懐かしむだけでなしに、その時代に引き戻そうとしているのですから、最早正気の沙汰とは思えません。
○そればかりかその人達の多くが現政権の主要なメンバーで、専守防衛を捨て積極的参戦主義に舵を切ろうとしているのですから、由々しき事態です。
○最早憲法に違反するしないと言った「神学論争」じゃなくて、命を差しだすかどうかなのですから、取り分け若い人には深刻に受け止めて欲しいものだと思います。
ひどい! (raymiyatake)
2015-06-21 12:50:39
よりによって原爆投下の日に爆心地付近で、反核平和運動をくさすシンポジウムを開くとは。

腐ってますね!
以前からのことです (AS)
2015-06-21 16:44:20
日本会議の前身は、1974年結成の神道・仏教系右派団体「日本を守る会」と、1978年に元最高裁長官・石田和外が呼びかけて結成された「元号法制化実現国民会議」(のちの「日本を守る国民会議)が1997年に合同して立ち上げられた団体です。
「国民会議」の石田は現職中の60年代に、青法協系のリベラル派判事を各裁判所から次々に追い出したことで知られています。
自民党は司法府も押さえて着々と現在につながる道を築いて来たのです。
Unknown (12434)
2015-06-21 16:54:47
彼らの考える「取り戻したい日本」というのは、とんでもなく独善的な代物です。あの方々は「日本の歴史や伝統を重んじるべき」とかいいながら、けっきょく自分らの趣味に合うものしか認めないわけです。

もっというと、戦前も否定していますよ彼らは。戦前にも現行憲法に近い民主的な憲法構想があったのに、それを一切無視しているような態度です。
戦前の民主的な憲法構想とは、千葉卓三郎や植木枝盛の私擬憲法や、あるいは幕末の上田藩士だった赤松小三郎の建白書とかが有名です。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E6%9D%BE%E5%B0%8F%E4%B8%89%E9%83%8E

さらにいってしまうと、明治政府を否定している疑いもあるでしょう。もいいましたが、今の自民党は、あの世の伊藤博文が転倒してもおかしくないほどひどい有り様です。
更に更に (AS)
2015-06-21 17:52:24
『「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会』には産経新聞が、深く関わっています。
押し付け憲法などと言ってみても (H.KAWAI)
2015-06-21 18:02:51
○その「押し付けた」アメリカを批判できないのが右派の泣き所なんですよ。
○そこを誤魔化すために右派は左派への責任転嫁を計るんですね。
○櫻井よしこの「・・日本の反核平和運動に、戦後70年間に何の紛争防止効果も無かった事実を踏まえ・・」もそういう責任転嫁の一つですね。
○ここでも憲法論議が収まらないのは憲法学者のせいだとか、護憲派のせいだとかいうコメが書き込まれていましたね。ご用心、ご用心。
「亡国」責任者たちの子孫 (洲蛇亜林)
2015-06-21 18:17:09
>あれだけ酷い目に遭っていながら戦前の日本を懐かしむというのは理解できませんね

いえいえ、彼らは「明治憲法下でエスタブリッシュメントだったひとたちの子孫が多い」そうですから、庶民ほどには酷い目に遭わなくて済んだのが多いと思いますよ。
つまり、インパール作戦などの無謀な戦場に行かされて酷い目にあった経験は比較的に少なく、そういう無謀な戦いに庶民を駆り立てる方の立場であったということです。
だから本当に戦争に負けたことが身にしみては分からないし、無謀で愚かな戦争であったことも分からない。
例えて言えば、営業の現場を知らない経営者が無茶な営業拡大計画を実行して会社を倒産させ従業員を路頭に迷わしたにもかかわらず全然反省もしないで「会社が潰れたのは従業員が不甲斐なかったからだ」と言っているようなもんです。

しかし国家の指導的な立場にあった者なら、あれだけの犠牲と破壊をもたらしたことへの自省の念があって当然で、実際にそういう自省の念を持った人もいるのでしょうけど、かたや共産主義陰謀論やルーズベルト陰謀論を唱えて責任回避に努める人たちも数多い。
歴史修正主義というのは、そういう責任逃れをしたいというのが起源の一つと思います。

今や、戦前のエスタブリッシュメントの子孫たちが再び政治の世界のエスタブリッシュメントとなっているわけですが、国家を指導する資格はないと思いますね。
彼ら

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