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9月2日、化粧品会社の株式会社DHC(ディーエイチシー)とその会長・吉田嘉明氏が、弁護士の澤藤統一郎氏がブログで公開した記事が名誉毀損であるとして、それぞれが3000万円、計6000万円の損害賠償と謝罪広告を求めた裁判の判決が東京地裁(阪本勝裁判長)で出され、原告の請求がいずれも棄却された。

この裁判は、吉田嘉明DHC会長がみんなの党(当時)の渡辺善美代表に8億円の資金を貸しつけていたとして、2014年4月の週刊新潮に手記を寄せるかたちで暴露したことを受けて、弁護士の澤藤統一郎氏が自身の運営するブログ「澤藤統一郎の憲法日記」で政治資金の問題やサプリメントの規制緩和をめぐる問題に言及した記事を書いたところ、当初DHCと吉田氏からそれぞれ1000万円、計2000万円を請求する損害賠償訴訟を提起され、その後、その提訴を不当な訴訟だとする記事をブログで書いて応酬すると、請求がさらに増額され、計6000万円の損害賠償を請求されていた事件。
 
澤藤弁護士はDHCからの訴訟をDHCスラップ訴訟と名づけ、2日の判決までに50回もの関連するブログ記事を書いて応酬してきた。スラップとは、SLAPP(strategic lawsuit againsut pablic participation)の意味で、 公的な事柄への言論や行動に対する戦略的な訴訟を指し、訴訟の勝敗の結果もさることながら、訴訟をつうじてもたらされる疲弊や委縮に訴訟の目的を見出す切り口のことをいう。

DHCおよび会長・吉田氏による、吉田氏の週刊新潮への手記発表後の訴訟提起は、東京地裁で確認されているだけでも10件におよび、雑誌を発行した出版社、記事執筆者、業界紙、ブロガー、ツイッターの利用者を対象に、いずれも2000万円〜2億円と幅があるものの高額の損害賠償を求めるものとなっている。(うち出版社に対する1件は取下げ)

一連の裁判は現在までに、弁護士・折本和司氏のブログ記事、経済評論家・宋文洲氏によるツイッターのつぶやきに対する2件の裁判で控訴審判決までが出され、いすれもDHCと吉田氏側の請求が退けられている。来月10月14日には通販新聞社に対して1億2000万円を請求した裁判の判決が出される。

本日の判決では、澤藤氏側の本訴訟をスラップ訴訟だとして訴権の濫用だとする主張は認められなかったものの、問題のブログ記事は週刊新潮の手記の内容の事実を前提として意見を述べたものであるとし、さらに本訴訟をスラップ訴訟だと銘打って記事を書いた点についても、その意見の当否はともかく、批判的言論を封じるための訴訟であると推論して意見を展開することは論理的関連性のある範ちゅうに属することとされた。

またDHCおよび吉田氏による裁判は、名誉毀損を理由とする高額請求訴訟だけでなく、リベラルタイム出版社に対しては、出版物の販売禁止とウェブサイトからの記事削除を求める仮処分申し立て事件があり、いずれもDHC側の訴えが却下されている。