DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

山之口貘(1903-1963)「ねずみ」(1943年)

2017-08-13 19:37:27 | 日記
 ねずみ

生死の生をほっぽり出して
ねずみが一匹浮彫(ウキボリ)みたいに
往来のまんなかにもりあがっていた
まもなくねずみはひらたくなった
いろんな
車輪が
すべって来ては
あいろんみたいにねずみをのした
ねずみはだんだんひらくたくなった
ひらたくなるにしたがって
ねずみは
ねずみ一匹の
ねずみでもなければ一匹でもなくなって
その死の影すら消え果てた
ある日 往来に出て見ると
ひらたい物が一枚
陽にたたかれて反(ソ)っていた

《感想》
検閲が厳しい中、1943年、戦争中の詩人の気持ちの表明。
当時、死がどんなに、軽んじられているか、彼は知っていた。
戦争は、国民の生命・安全を、守るためでなかった。
日常的な感覚で観察すれば、それは多くの者に分かった。
検閲官は、この詩が、国民の生命・安全の軽視への批判だと、気づかなかった。
詩は出版され、詩人は痛快がったという。

 A MOUSE

Abandoning its life that is contrasted to its death, one mouse was rising like a relief on the center of a road.
After a while, the mouse became flat.
While various wheels slided and came, they pressed it like an iron.
The mouse became flat more and more.
The more the mouse became flat, the more it became a thing that was neither a mouse nor one animal.
Thus, even a shadow of its death throughly vanished away.
One day, coming outside on the road, you found one sheet of something bending backward under the beating sun.
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