DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

ライナー・マリア・リルケ(Rainer Maria Rilke, 1875 - 1926)「クラインザイテにて」『家神奉幣(Larenopfer)』(1895年)所収  

2017-06-19 13:02:48 | 日記
 クラインザイテにて

古い家々は破風がとがっている
多くの高い塔の絶えざる鐘声、—
狭い中庭のなかへ
わずかな断片の空だけが、いたずらっぽく姿を見せる。

そして階段のどの石杭の上にも
物憂く微笑む—キューピッドたち;
高く屋根のあたり、バロック風の
花瓶のまわりには、薔薇の鎖が流れ落ちる。

あそこ小さな門に蜘蛛の巣が張っている。
ひそかに陽光が
石のマドンナの陰に
秘密に満ちた言葉を読む。

《感想1》
リルケはプラハ生れである。クラインザイテ(小地区)は、プラハ城の周囲の貴族の館が多く建つ、坂の多い地区。チェコ語ではマラー・ストラナと呼ばれる。リルケ少年は、ここが好きで、良く散歩した。詩は、その時の印象である。
《感想2》
小地区の建物のたたずまい。破風がとがった古い家々。教会の高い多くの塔。建物の中庭は狭く、空がわずかに見える。
《感想3》
街の装飾の描写。階段に佇むキューピッド像が、物憂く微笑む。高く屋根のあたりには、バロック風の花瓶と薔薇の花。
《感想4》
一方で、現実は、蜘蛛の巣がかかった小さな門。他方、幻影では、陽光がつくる石のマドンナ像の暗がりに、秘密に満ちた言葉があり、陽光がそれを読む。

 AUF DER KLEIN SEITE

Alte Häuser, steilgegiebelt,
hohe Türme voll Gebimmel, —
in die engen Höfe liebelt
nur ein winzig Stücken Himmel.

Und auf jedem Treppenpfloche
müde lächelnd — Amoretten;
hoch am Dache um barocke
Vasen rieseln Rosenketten.

Spinnverwoben ist die Pforte
dort. Verstohlen liest die Sonne 
die geheimnisvollen Worte
unter einer Steinmadonne. 
ジャンル:
ウェブログ
Comment   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 柴田トヨ(1911-2013)「秘密... | TOP | 相手への不信は、相手への恐... »

post a comment

Recent Entries | 日記

Trackback

Trackback  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。