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yuuutunna toki no nikki

高丸もと子(1946-)「あしたへ」『今日からはじまる』(1999年)大日本図書:「あした」の幸福を「信じる」ことだけが、君を、幸福へ導く

2017-12-15 19:50:02 | 日記
 あしたへ To the Tomorrow

いつか聞いた話 
五千年前の雨だれの化石
その横には小鳥の足跡もあると
どんな小さなものでも
自然は忘れないで残していく

I once heard a story about a fosssil of raindrops fallen 5000 years ago that had also footprints of a little bird alongside.
Even though a very little thing is dealt with, nature never forgets it, and remains it.

《感想1》:君からの働きかけ
自然は、「どんな小さなものでも」忘れない。
しかし人は、普通、君に対して無関心で、君は忘れられる。
この状況を、変えるには、《君からの働きかけ》が不可欠だ。
君が働きかければ、君は、人から関心を持たれ、忘れられることはない。

わたしたちは出会った
五千年前につづく空の下
はるかにつづく時間の先頭を切って
わたしたちは今
未来に向かっている

We have met each other under the sky that has existed for 5000 years.
We now advance toward the future at the top of the time continuing forever.

《感想2》:物理的な時間
時間が、「はるかにつづく」としても、《物理的》な意味では、「時間がはるかにつづく」ことと、君が生きることおとは、特に関係はない。
例えば、君の生きる時間は、限りなく短く、そして、その短い時間が君のすべてだ。

《感想2-2》:歴史的社会的な時間
「はるかにつづく時間」と君が関係するのは、《歴史的社会的》な意味においてだ。
縄文以前・縄文・弥生・古墳・飛鳥・平城・平安・鎌倉・室町・戦国・織豊・江戸・明治・大正・昭和・平成と、日本の歴史が、闘争・継承・変転・断絶しつつ今に続く。
歴史は、諸制度(法・政治・経済・軍事・社会等)、諸文化(芸術・芸能・学問・科学・技術・思想・倫理等)の領域からなる。
君は、はるかにつづく《歴史的社会的》な時間を、全て引き受ける。
なぜなら、君は、歴史的社会の中に生まれ、先行する現在世代から、あらゆる諸制度・諸文化の現時点までの帰結を、意図的・非意図的に、教え込まれるからだ。
「はるかにつづく時間」と君は、《歴史的社会的》な意味において、決定的に関係する。
君は、《歴史的社会的》産物だと言って、言い過ぎでない。

《感想2-3》:時間の「先頭」と時間の「最後」
「今」いる「わたしたち」は、《これから到来する時間を受けとめる「先頭」》だ。
しかし同時に、「今」いる「わたしたち」は、《過ぎ去ってゆく時間の「最後」》でもある。
《未来》は、「今」へと到来し、「過去」へと過ぎ去ってゆく。

自然のめぐりに
昼と夜があるように
必ずくぐりぬける喜びも
あることを信じて
前へ前へと向かっていく

As the cycle of nature contains days and nights, we believe that we can necessarily experience joys.
Having such a belief, we march forward and forward.

《感想3》:問題は、論理でなく、信じるかどうかだ!
「自然」のめぐりに昼と夜があることは確かだ。
しかし、「人間」である君のめぐり(人生)において、一方で、喜び・平安・幸福があり、他方で悲しみ・苦難・不幸があると、言えるのか?
このことは、「自然」のめぐりと、何の関係もない。
だから、自然のめぐりに昼と夜がある「ように」、君のめぐり(人生)においても幸福と不幸があると、類推するのは、まったく、《論理的》根拠がない。
それは、《非論理的》な類推的・連想的根拠にもとづく。
だから《「信じて」みよ!》と、詩人は言う。
問題は、論理でなく、信じるかどうかだ!

雨あがりを待って
はじまる小鳥たちのさえずり
ぬかるみの道だって
今日からはじまる
すてきなあしたへつづいている  

Birds wait for stop of the rain, and they begin singing after that.
Even a muddy road extends to the splendid tomorrow begining from today

《感想4》:「信じて」みよ!
一方で、「自然」において、「雨」の後に「小鳥たちのさえずり」があること。
他方で、「人間」の人生において、「ぬかるみの道」の後に、「すてきなあした」があること。
両者は、なんの関係もない。
だから、「ぬかるみの道」の後に、「すてきなあした」があると、《「信じて」みよ!》と、詩人は言うのだ。

《感想4-2》:「信じる」ことは、不可能を可能にすることがある
詩人の、類推的・連想的根拠は、《非論理的》であって、まったく《論理的》でない。
だが「信じる」ことは、不可能を可能にすることがある。
「あした」の幸福を「信じる」ことだけが、君を、幸福へ導く。
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