DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

三好達治(1900-1964)「蟹」『南窗(ナンソウ)集』1932年

2016-09-18 21:56:48 | 日記
 蟹
村長さんの屋敷の裏 小川の樋(トイ)に
泥まみれの蟹がのぼって
ひとりで何か呟(ツブヤ)いている
新しい入道雲が 土手の向うにのび上がる

《感想》
①「村長さん」と呼ぶから、村長は敬意を表されている。「屋敷」というから大きな立派な家。村長は村の有力者。
②「泥まみれ」は、事実を述べただけでない。「村長さん」と違って、「泥まみれに」働く百姓を思わせる。
③「何か呟く」蟹。主張があるか、考えているか、不満がある。
③-2 「ひとりで」呟くから、蟹は孤立し、人に言えないか、言う必要がないことを、思う。
④「村長さん」、「泥まみれ」、「何か呟く」、「ひとりで」などの事実・状況は、村の人間界の出来事。
④-2 「のび上がる」「新しい入道雲」は自然界の出来事。ここに詩人の感情が示される。「新しい」も、「のび上がる」も、プラス価値。人間界に対比し、自然界の肯定。
④-3 「土手」は人工物だが、意図は洪水の防止で明瞭だから、「呟く」ような不明瞭な気持ちとは無縁。

 A CRAB
Behind the fine house of a village headman, a crab covered with mud climbs up an open water pipe over a small stream and mutters to itself about something.
New thunder cloud stretches itself up towering beyond the bank.
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