道なりに歩いていこうか

週間アニメの感想や萌え語りを、筆のおもむくままつらつらと。週に1回でも更新できれば御の字かなぁ、なんて……。

【感想】世紀末オカルト学院 第13話「マヤの文明」

2010年09月28日 | Weblog
ナイトレイド最終回の感想を書いてから、まださほど時間がたっていないような気がしますが、実際にはあれから早3ヶ月。
〈アニメノチカラ〉3部作の中では、私見ではありますが最も完成度が高く、物語の疾走感も群を抜いていた印象のオカルト学院が、昨夜ついに最終回を迎えました。

無事“ノストラダムスの鍵”の破壊に成功したマヤと文明。
これでひと安心とばかり、文明はマヤに対し淡々と暇乞いをします。
ところが、当のマヤはひどく浮かない顔。
あまつさえ、まだもう少しいられるのではないかと引き留めにかかる始末です。
マヤの変わりように驚きを隠せない文明でしたが、そこへスキャン携帯を通じて、さらなる驚天動地の事実がもたらされます。
すなわち、未来世界は何ひとつ変わっていない、いまだ荒廃のただ中にあると――。
そして、本当の鍵は美風ではなく、他ならぬ文明自身であると告げられ、呆気に取られる2人。
正確には、2日後――7月21日の終業式の日に特別講演をしてもらうため、マヤが学院に招待した1999年現在の文明(文明少年)と未来から送り込まれた文明(大人文明)とが出会ってしまう、この“現象”こそがノストラダムスの鍵だったのです。
本来ならば、決して鉢合わせることのないはずの大人文明と文明少年との邂逅が実現した瞬間、時空にひずみが生じ、世界は破滅へとひた走ることになる――この最悪の事態を回避するべく、速やかな帰還を申し出る文明。
ところが、それでもなおあきらめきれないマヤは一計を案じ、すでに文明少年を連れて松代入りしていた母親を打ち合わせと称して学院に呼び出すと、一方的に講演の中止を告げ、彼女を怒らせることで2人の文明が顔を合わせる危険を未然に回避すると同時に、ひと目母親に会いたいと願う文明の切ない胸の内に応えるという離れ業をやってのけます。
その策士ぶりを文明に称賛され、ご満悦のマヤ。
さらに、学長命令の名のもと亜美の家にいつもの面々――亜美・茂・こずえ・スマイル・JK――を集め、ささやかながも心のこもった送別会を開きます。
これですべては丸く収まる、そのはずでした。
けれども、2人の預かり知らぬところで、事態は思わぬ方向に動き始めていました。
迎えた運命の7月21日、つつがなく退任の挨拶を終えた文明は、マヤと連れ立って学院の屋上へ。
どうあがいてもこちらの世界に残ることはできないのかと詰め寄るマヤに、自分が居座り続けることで生じるリスクを説く文明。
最後にはマヤも折れ、これで後顧の憂いなく旅立てると、文明が一抹の寂寥感と共に胸をなで下ろした、まさにその刹那、マヤの目が驚愕に見開かれます。
彼女のただならぬ様子に異変を察した文明が恐る恐る振り返ると、そこにはあろうことか、とっくに松代を離れたはずの文明少年の姿が。
彼は遠目に垣間見たヴァルトシュタイン学院の威容に言い知れぬ魅力を感じ、母親の不在をついてホテルを脱出、前夜のうちに学院に潜り込んでいたのです。
それまで人の言うまま、状況に流されるまま、茫洋と日々を生きてきた文明少年が、厳格な母親の言いつけを破ったのは、これが正真正銘初めてのことでした。
次の瞬間、空一面が真っ黒な雲に覆われるや、学院の上空に禍々しい文様が刻み込まれた巨大な光の円盤が浮かび上がります。
その表面から次々と降下してくる宇宙人の歩行機械(トライポッド)。
と、突然文明少年が、最初に降り立った歩行機械に向かって走り出します。
やっと見つけた自分の“居場所”である学院を、何としてでも守りたい一心からの無謀な突撃。
しかし、スプーン1本曲げるのがやっとというささやかな超能力が通じる相手ではなく、建物を粉々に打ち砕いた一撃によって生じた爆風をまともに受けた文明少年は、後方に大きく弾き飛ばされます。
少年のもとに慌てて駆け寄るマヤと文明。
ぐったりと横たわる幼い自分を目の当たりにした文明は、その瞬間、己のやるべきことが何かを悟ります。
全身にふつふつとみなぎる懐かしい力。
少年のポケットからそっとスプーンを抜き取り立ちあがった文明の顔には、もはや迷いはありませんでした。
「俺を頼む」
そう短くマヤに告げるや、疾走を開始する文明。
生身の人間が耐えられるはずもないビーム攻撃を受けてもひるまず前進を続け、出現したすべての歩行機械を撃破、そのまま光の円盤へと突入していき――。
始まった時と同様、唐突に終わりを告げた戦闘。
周囲を埋め尽くすおびただしい瓦礫の中からNo.5のスキャン携帯を拾い上げたマヤは、かすれた声で小さくつぶやきます。
「任務完了」と――。
そう、今度こそ本当に、すべてが終わったのです。
ところ変わって、2012年の未来世界。
待ちに待った一報に歓喜を爆発させ、なだれを打って部屋を飛び出していったレジスタンスメンバーの後から、1人悠然と階段を上っていく司令官――千尋によって松代から東京は墨田区へと“飛ばされ”、以後事情を知る者として抵抗組織(対策本部)の構築と過去改変に尽力してきた神代純一郎が、扉の外に見い出したもの、それは破滅や荒廃とはまるで無縁の平和にさざめく街の喧騒でした。
目の前の光景がとっさには信じられず、狐につままれたかのように呆然と立ち尽くす純一郎。
と、ズボンのポケットの中で携帯が鳴っているのに気づき、半ば夢見心地のまま取り出して耳に当てると、そこから聞こえてきたのは、他の誰でもない、たった1人の愛娘の声でした。
他愛ないやり取りが交わされ、最後に“マヤ”はごく自然な口調でこう付け加えました――「文明も待ってるわよ」。
切り替わった画面に映し出された一軒の家。
何の変哲もない、こじんまりとした構えの日本家屋にかかげられた表札には「内田」の文字が。
明るく、家庭的な空気に満ち溢れた食卓に並ぶカレーの皿は3つ。
そのかたわらには、当然のように銀色に光り輝くスプーンが置かれているのでした――。

……ふ~~~!
勢いにまかせて、ついつい最終話全編書き出してしまいました。
め、めったにこんなサービス、しないんだからね!(←って、どこのシェリルだ。汗)
でも、思わずそうしたくなってしまったくらい、とにかく力のこもった素晴らしい最終回でした。
1クール物のオリジナルアニメとしては、近年まれに見る出色の出来映えと言っても過言ではないと思います。

それにしても、物語最終盤に来ての文明株の爆上がりっぷりったらなかったですね!
なまじ、ずっと地を這うがごときヘタレ道を邁進していた(ひどっ!)だけに、いい意味で落差がハンパなかったです。
このあたりの匙加減が本当に上手くて感心しきり……。
マヤに関しても、最初の頃のひたすらツンケンしっぱなしの状態から、ストーリーが進むにつれて少しずつ角が取れていって、あんなに嫌い嫌い言っていたオカルトも、実は変わらず大好きだということが判明、そんな硬軟取り混ぜた奥行きのある人物像に、大いに魅了されました。
あー、それからもちろんフトモモも(笑)。
最終回直前のツイッターで何やら監督さんが強調していらっしゃいましたが、ここぞというポイントで描写される絶対領域に、時には本編そっちのけで目が釘付け状態でした。
個人的には、下手なパンチラやらパンモロより萌えましたね~、マヤのフトモモ!(何か無駄に鼻息荒いし)
さらにキャラという点では、マヤと文明、2人の主人公を取り巻く脇役達もまた非常に個性的で、一筋縄ではいかない魅力に溢れていました。
マヤの幼馴染という最重要ポジションをがっちりキープしつつ、時に常識人ならではの悲哀も味わった亜美、無類のトラブルメーカーにしてマスコット的存在でもあったこずえ、巨大な六角レンチを縦横無尽に操る規格外れの修理工ことスマイル、そして、インパクト満点の容姿&言動からとにかく目が離せなかったJK……。
また、この4人↑と共に忘れてはいけないのが、文明を間に挟んで意味深な恋のさや当てを繰り返した教頭・千尋と美風。
よもやそれぞれが、白魔術師と黒魔術師というトンデモ一歩手前な正体を隠し持っていたなどとは、11話を見るまではこれっぽっちも思いませんでしたが、虫も殺さぬような顔で着々と文明の籠絡を図った美風のそこはかとない黒さと、小林ゆうさんのテンションの高さが激ハマりだったポエムに代表される、あくまで純情一徹、恋する乙女モードを最後まで貫き通した千尋の可愛らしさの対比は、この作品にベクトルの違う深みをもたらす重要な要素でした。

ただ、これは私個人の印象ですが、美風に関しては、登場シーンの多さの割にはやや掘り下げというか、説明不足のきらいがあったように思います。
文明が母親へのコンプレックスからカレーを箸で食べることにこだわっていることや、文明の本来の読み方が「ブンメイ」ではなく「フミアキ」であること等を何故か知っていたこと然り、おやきのルーツにやたらと詳しいこと然り、象山地下壕の建造工事で亡くなった人達を悼んでさめざめと泣き濡れたシーン然り……。
これらのささいと言えばささい、気になると言えば気になる“謎”の数々について、結局、最後まで確たる解説がなされなかったのは、やはり少々残念と言わざるを得ません。
まあ、あまり何でもかんでもガチガチに説明されても面白くなかったりするので、この辺は単純に好みの問題かもしれませんが(汗)。

ところで、ラストシーンのあの「内田」姓表札、あれは要するにマヤと文明が結婚したってことでいいんですよね?
10歳かそこらの文明少年を大人文明に託されて以降、じっくり時間をかけて愛を育んでいったかと思うと、実に胸熱!
この期に及んで、主人公2人がただ生き別れになって終わり、なんてオチだけはないだろうと思っていましたが、まさかの逆光源氏計画が用意されていたとは……!
最後の最後に、とんだサプライズが待っていましたね(笑)。
そしてオーラスのカット、食卓にカレーが3人分しかセッティングされていませんでしたが、あれがマヤ・文明・純一郎の分だとすると、いったい文明母はどこに行っちゃたんでしょうか。
この場合、色んなパターンが考えられるだけに、ついつい想像(妄想?)が膨らみます。
く~っ! 気になる~~~!!
気になりますが、こんなにも綺麗にENDマークがついてしまった以上、この先語られることはないんでしょうねえ、きっと……(遠い目)。

ここまで来てもまだまだ書き足りないというのが正直なところですが、きりがないので、ひとまず今回はこの辺で。
1クール全13話、濃厚な純正オリジナルストーリーを、中だるみもなくきっちりみっちり描き切って下さった監督始めスタッフの皆々様、本当にお疲れ様でした&ありがとうございました!!!!

さて来期はどのアニメの感想を書こうかしらん……?


最新の画像もっと見る