響 鏡子の服毒日記

響 鏡子の気になった文章の引用で出来上がったブログ

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ココポの出来事

 戦争中の話だが、敵のいる前線に行くために、「ココポ」という船着場についた。
 ここから前線へ船が出るのだ。そういうところには必ずピー屋がある。ピー屋というのは女郎屋のことである。(中略)
 ピー屋の前に行ったが、何とゾロゾロと大勢並んでいる。
 日本のピーの前には百人くらい、ナワピー(沖縄出身)は九十人くらい、朝鮮ピーは八十人くらいだった。これを一人の女性で処理するのだ。
 僕はその長い行列を見て、一体いつできるのだろうと思った。一人三十分としてもとても今日中にできるとは思われない、軽く一週間くらいかかるはずだ。しかし兵隊はこの世の最期だろうと思ってはなれない、しかし・・・・・
 いくらねばっても無駄なことだ。僕は列から離れることにした。そして朝鮮ピーの家を観察したのだ。
 ちょうどそのとき朝鮮ピーはトイレがしたくなったのだろう、小屋から出てきた。
 (彼女がナニカを排泄する様子の描写)
 とてもこの世のこととは思えなかった。
 第一これから八十人くらいの兵隊をさばかねばならぬ。兵隊は精力ゼツリンだから大変なことだ。それはまさに「地獄の場所」だった。
 兵隊だって地獄に行くわけだが、

 それ以上に地獄ではないか。

 と、トイレに行った朝鮮ピーを見て思った。
 よく従軍慰安婦のバイショウのことが新聞に出たりしているが、あれは体験のない人にはわからないだろうが・・・・
 やはり「地獄」だったと思う。だからバイショウはすべきだろうナ。


            〜水木しげる著  「本日の水木サン」より〜




(*水木しげるの他の著作「水木しげる伝〜戦中編〜」によれば、彼女たちはこの後、病院船でココポを離れたが、途中潜水艦にやられ、全員が死亡したという。)
 
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水木しげる従軍慰安婦

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