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柳家小さんの噺、「道具屋」

2015年02月10日 | 落語・民話

柳家小さんの噺、「道具屋」(どうぐや)によると。
 

 与太郎さんが大家に呼ばれて来てみると、お袋さんが泣いてたという。「年増を泣かすのは、つれー」、「バカ、親を泣かせてなにが年増だ」。

三十過ぎて遊んでいたらいけないので、何か商売をしろと言う。
 商売は懲りている。前に、元手がかからないようにと、伝書鳩を飼った。

売ってしまって相手が放すと戻ってくる、また売って、それも帰ってくる、で、一羽有れば儲かる。しかし、買って放したら鳥屋に行ってしまった。
 おじさんの商売をやらせてあげる。

「知っているよ。商売の頭に”ど”の字が付くだろ」、

「そうだ」、「えへへ、ドロボウだろう。泥棒」、

「バカだな。”ど”が付いたって道具屋だ。そんな事、世間様には言わないだろう」、

「少しだけ」。

「その道具屋をやらせてやる」。

 道具屋と言ってもガラクタばかり扱い、行李を開けるとゴミ同様な商品が出てきた。

お雛様の首が抜けるのや、火事場で拾ってきたノコギリ、ボラがそうめんを食べているかと思う、鯉の滝登りの掛け軸、等々。

元帳があるから、それより高く売れたら、儲けの分はお前のだ。
 蔵前の伊勢屋さんと言う質屋さんの裏のレンガ塀のところだ。

今すぐ行け。

 蔵前に来ると同業者が並んで商いをしていた。

「神田三河町の杢兵衛のところから来た、与太郎さんだ」と自己紹介して仲間に入れてもらった。

脇に薄縁を敷き、値段の高いのは自分の回りに、立てかける物は後ろの塀に品物を並べたが客は来ない。

大きな声で呼び止めたが、行ってしまった。

オートバイに乗っていたら、それは無理。

 お客が来た。

「お二階へどうぞ!」、

「どこに二階があるんだ」、

「では、前の屋根にどうぞ」と景気を付けた。

「そこのエンマを見せろ」、

「閻魔様なら新宿の太宗寺に行きなさい」、

「そこの釘抜きだ。・・・ガタガタで使えない。そこのノコ見せろ」、

「ノコってタケノコ?ノコに有る。アッこれノコギリか、ギリ(義理)を欠いちゃいけない」、

「これは甘いな」、

「サッカリンでも入っていますか」、

「腰が抜けている」、

「中気になったかな」、

「焼きが生くらだな」、

「そんなことは無いですよ。おじさんが火事場で拾ったんだからよく焼けています」。

出だしで失敗し、隣の親方に叱られ、相手の買う気を引き出さなくてはダメだとう。

 次のお客が来た。

「そこの唐詩選(とうしせん)を見せなさい」、

「これは貴方には読めません」、

「失礼なこと言うな。読めるよ」、

「読めません。それは表紙だけですから」。

「黒くて長いのは、万年青(おもと)の鉢か」、

「いえ、ツバの取れたシルクハットです」。

「奥の目覚まし時計を見せなさい」、

「これはダメです。外だけで中身がないので、針は自分で回しなさい」。

「真鍮の燭台は」、

「3本足だったのが、2本足だから後ろの塀に寄り掛けてある」、

「買っても使えないな」、

「いえ、レンガ壁ごとお買い下さい」。

おまえは籐四郎だ、と言えば、与太郎だ。

「そこの短刀を見せな」、

「タントは有りません」、

「その白鞘の短刀だ。銘はあるか」、

「めいは神田に住んでいます」、

「サビ付いていて抜けないな。手伝え」、

一生懸命二人で引き合うが抜けない。

「抜けないはずです。木刀ですから」、

「木刀なのに何故手伝う」、

「顔を立てました」、

「顔なんかイイ。抜けるのはないのか」、


「お雛様の首が抜けるのが」。

 

 

 

  

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