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六代目三遊亭円生の噺、「鰍沢」

2014年08月13日 | 落語・民話

六代目三遊亭円生の噺、「鰍沢」(かじかざわ)によると。
 

 身延にお詣りする順番は決まっていたもので、青柳の昌福寺(しょうふくじ)へお詣りをして、それから小室山で毒消しの護符を受け、法論石(ほうろんせき)へお詣りをして、いったん鰍沢へ出て、ご本山へお詣りをするという順路です。
 雪のヒドい時分です。雪下ろしの三度笠、回しガッパに道中差し、振り分けの荷物、足腰は厳重なこしらえで旅慣れした形です。法論石を出たのが今の時間で三時を回っていた。鰍沢に向かったが、雪の中、行けども行けども人家はなかった。凍え死にするかと思った時に、遠くに人家の灯りが見えた。草葺き屋根の、軒が傾むいたあばら家からたき火の灯りが漏れているのであろう。

 家の女に鰍沢に出る道を聞いたが、分からないと言う。一晩の宿を頼んだが、食事も出せないし、布団もないが雪をしのぐだけなら良いという。上総戸を開けて入ると広い土間と奥の壁には獣の皮が二枚掛けてあり、そこに鉄砲が掛けてあって猟師の家だと分かった。奥に上がって囲炉裏のたき火にあたれと言う。煙の中から女主を見ると二十六・七、継ぎハギだらけでは有ったが柔らか物で、色白で鼻筋の通った目元に少し剣があるが、口元はしまって輪郭の良い顔立ち。どうして山奥にこんないい女がいるのだろうと思った。だが、アゴの下から喉にかけてヒドい突き傷があった。
 聞くと、江戸は浅草の方にいたと言う。「間違ったらおわびをしますが、吉原の熊蔵丸屋(くまぞうまるや)の月の戸(と)(”月の兎”とも)花魁じゃござんせんか」、「おまはんだれ」、「花魁の座敷に登がったことがある者です。お酉様の晩に登がって世話になったが、改めてうかがうと『心中をした』と聞きましたが・・・」、「心中はしたんですがやりそこなったんです。品川溜めへ下げられて女太夫になるところを危うく男と逃げて、ここに隠れているんです」。連れ合いは本町の生薬屋の息子で膏薬を練る事が出来るので、ここで熊の膏薬をこしらえて、町に売り歩いている。旅人は小銭の用意がなかったので、胴巻きから25両の包みの封を切って、心付けだと半紙に2両包んで差し出した。
 ここらの地酒は匂いがキツいので卵酒にすれば飲みやすいと言って、作ってくれた。身体の外と中から暖ったまり、下戸で疲れが出たので、隣の三畳に移り振り分け荷物と道中差しを枕元において眠りに落ちた。

 旅人に飲ませてしまったので、酒を都合しに、お熊が雪の中に出たところへ、入れ違いに亭主の熊の膏薬売りの伝三郎が帰って来た。外は寒かったので残っていた卵酒を飲むと、にわかに苦しみ出した。帰ってきたお熊は「なんてことを。身延参りのカモを一羽泊めたんだ。胴巻きに100両有りそうだから、だからおまえが帰ってきてひと仕事するまで逃げられないように卵酒にしびれ薬を仕込んだんじゃないか」。
 これを聞いた旅人は驚いた。しびれた体にむち打って抜けた壁から逃げ出し、落ちた紙入れから、小室山で授かった毒消しの護符を雪で飲み込むと、身体が効いてきた。人間欲が出て、戻らなくても良いものを部屋に戻り、道中差しと振り分け荷物を取ると一目散。
 物音に気づいたお熊は、カタキだからと鉄砲を持ってぶち殺すからと追いかけた。

 もと来た道を戻ればいいものを、村があるだろうと懸命に雪を蹴立てて逃げる旅人が行き着いたのは、そそり立つ絶壁。眼下には、東海道は岩淵に流す鰍沢(富士川)の流れ、4~5日降り続いた雪で水勢が増したものか、ガラガラと流れる00、切りそいだような崖、ここが名代の釜が淵。前は崖、後ろはお熊、合掌するのみであった。そこに雪崩が起こって、川底に投げ出され、いかだの上に落ちると同時に道中差しが鞘走って、つなぎ止めてあった藤蔓を切った。いかだは流れだし、岩にぶつかった拍子にバラバラになった。一本の材木につかまって「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」。崖の上から、片ひざついたお熊が、流れてくる旅人の胸元に十分狙いを込めている。「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」、お題目を唱えていると、銃声とともに、弾は、旅人のまげをかすめて後ろの岩に「カチィーン」。
 「ああ、この大難を逃れたのも御利益。お材木(お題目)で助かった」。


  

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