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五代目古今亭志ん生の噺、「 怪談・阿三(おさん)の森」

2014年08月13日 | 落語・民話

五代目古今亭志ん生の噺、「 怪談・阿三(おさん)の森」によると。
 

 深川牡丹町の近くにスズメの森が有ったが、誰言うとはなしに”阿三の森”と言われた。江戸時代の実話で、その由来について・・・。

 そのころ、本所に二千石をとる旗本・松岡家が有った。そこに奉公に出ていた、漁師・善兵衛の娘で、十八になる”おかの”と言う美女がいた。殿様のお手がついて妊娠、蛤町の実家に帰された。月満ちて女の子を出産”阿三”と名付けた。実家の裏に離れを建てて、殿様もちょくちょく見えて何不自由ない生活をしていた。
 しかし、間の悪い事に母親が亡くなり、続いて殿様も亡くなって、阿三は祖父に預けられたが、生活に困窮していた。漁師を止めて、亀戸の天神橋のそばで団子屋を始めた。梅見団子を売り出して繁盛し、十七の時には母親の器量を写して団子屋の看板娘となっていた。

 幇間医者の藪井竹庵が、本所割り下水に住む”阿部新重郎”と言う跡取り息子を臥龍梅を見た帰り 、団子屋に連れてきた。歳22で、役者に近い美男であった。離れで、看板娘”阿三”と出会ったときに娘に一目惚れしてしまった。同じように娘もブルブルっと、感じて一目惚れしてしまった。
 その後、何日しても藪井竹庵が訪ねてこなかったが、呼びにやり団子屋に訪ねて行った。それからは毎日のように一人で阿三の元に訪ねて、逢瀬を重ねた。今では将来を約束する仲になっていた。

 新重郎は松岡家から阿部家に養子に入っていた。本家の実母の様態が悪いというので、お見舞いに訪れたが、その席で母親から意外な事実を聞かされた。「父親が奉公人の娘に手を出し子供を作ったが、里に帰し、今では十七になる娘に成長しているはず。聞くところによれば亀戸で団子屋の娘として働く阿三だという。お前の実の妹なので陰ながら面倒を見て欲しい」という。
 心のわだかまりがなくなったと見えて母親は亡くなった。四十九日も過ぎたが、新重郎は実の妹と犬畜生と同じ関係になった事を悩んでいた。
 今後は逢わない事を心に誓って、再出発する事にした。しかし、その事を知らない阿三は彼が来ないのを気にかけて、亡くなってしまった。(前編)

 久しぶりに藪井竹庵が訪ねてきて、阿三が亡くなった事を告げていった。
 新重郎は閑静な向島に住まいを移し気持ちを切り替えていた。お盆の夜、寝られないでいると、深夜庭先を「カラン、コロン」と下駄の音を鳴らしながら女性が通って行った。間もなく戻ってきて、窓下で止まった。「御前様」と声が聞こえたので、覗くと朝顔の花柄の浴衣を着た阿三であった。死んだ事はなく老人がうるさく出られないので、小梅から深夜怖いのも忘れて訪ねて来たという。抱き合って喜び、部屋に通し、お互い生きていた事を幸せにおもい、将来を改めて誓い合った。

 夜ごと女が訪ねてくるので、婆やが不審に思い覗いてみると、煙のようなものと話しているのを目撃し、主人に報告。菩提寺の法恩寺の住職に訳を話し、重三郎に言い聞かせ、窓にはお札を張ってもらった。その夜から阿三は現れる事はなくなり、重三郎も元気を取り戻し、本所割り下水の屋敷に戻った。

 1月を迎えたとき麻布の娘と仲人がたって祝言を上げた。その席、二人の間に蛇が現れ恨めしそうにのぞき込んだ。重三郎はキセルで蛇を殺したが、毎晩現れた。その事を住職に相談すると、阿三が蛇に化身して出てくるので、出てきたら私の衣に包んで、その上から縄で結んでおくように言われ、その様にすると難なく捕まえる事が出来た。住職は東の小高いところ”スズメの森”に埋めて、その上に祠を建てた。その難を仏力で封じ込め”阿三の森”と言う様になった。阿三の森はお産の森と言い換えられて、安産の御利益があるとたいそう繁盛し、稲荷となった。
 1年して、妻が亡くなって、今後は妻をめとらないと、つむりを丸めてこの稲荷の側に庵を建てて菩提を弔らった 。実際にあったと言われている、阿三の森の由来でした。(後編) 

 


  

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