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「女性の乳房は武器か」 香港揺るがす司法判断…背景に中国人の節操なき爆買い?

2015年08月28日 | ニュース

【世界を読む】「女性の乳房は武器か」 香港揺るがす司法判断…背景に中国人の節操なき爆買い?

 香港が女性の胸が武器かどうかで揺れている。その発端は、香港の裁判所が下した判決だ。裁判所は今年7月、デモ参加者の女性(30)に対し、制止しようとした警官を「胸で襲撃した」として禁錮3月半の実刑判決を言い渡した。デモが中国人による香港での「爆買い」への抗議だったことも拍車をかけ、反発した市民は男女を問わずブラジャーを着用。警察前でデモを敢行した。ネット上では皮肉ったイラストや写真が出回り、物議を醸している。

「痴漢」vs「警察の評判貶める行為」

 英BBC放送や米CNN、香港のニュースサイト「香港フリープレス」(いずれも電子版)などによると、事件は今年3月1日に香港北部の新界地区の繁華街、元朗で起きた。約8時間の抗議活動を警官隊は催涙スプレーを噴射して制圧し、30人以上を逮捕した。

 被告の女性は、抗議行動に参加し、その際、警戒に当たっていた警察官が女性のバッグのひもをつかんで制止しようとしたところ、女性の左胸が警官の腕に“接触”した。

 香港フリープレスには、警察官との接触の後に鼻から血を流す女性の写真が掲載されているが、裁判の中で、女性はこの際に「痴漢」と叫んだと証言。一方で、警察側は女性が胸で腕にぶつかってきたなどと主張した。

 判決で裁判官は判決理由について、こう述べたという。

 「(痴漢を捏造(ねつぞう)し)警察官の評判を貶(おとし)める行為を試みた」

 もっとも、当然かもしれないが、「女性の胸は武器」という判決は、市民の反発を呼んだ。

「いかにばかげた判決か世界に示す」

 BBCやロイター通信(いずれも電子版)などによると、香港・湾仔地区の警察本部前で8月2日、約200人の男女がブラジャーを身に着けてデモ行進し、実刑判決に抗議した。

 参加者は男女を問わず、ピンクや赤色のブラジャーなどを着用。デモには胸部下に「not weapon(武器じゃない)」と書かれた女性の人形も参加した。デモの中で、参加者は「胸は武器じゃない」と叫んだという。

 人生で初めてプラジャーを着用したという男性は、フランス通信(AFP)に対し「いかに判決がばかげているかを世界に示すため、このやや奇抜な方法を思いついた」と話した。

 しかも、こうした抗議活動に加え、SNSで判決に対する揶揄(やゆ)や抗議などが拡散した。

 「胸部×武器」と書かれたコラージュ写真が出回り、フェイスブックには「女子自衛術(香港版)」と題したイラストが登場。女子自衛術には、胸にめがけて両手を伸ばす男性に対し、女性が胸で体当たりし、最後は足で踏みつけるまでの“護身術”が8枚のイラストで描かれている。「This is Hong Kong」と題し、男性に胸で体当たりし、刑務所に入れられるイラストなどもある。

 米の深夜トーク番組の著名司会者コナン・オブライエン氏は番組内で、今回の判決をめぐる騒動を皮肉り、「どういうことか理解さえできない」とし「(武器とされた胸は)ヌンチャクのようなものか?」などと、胸のあたりで手を上下に動かしてみせた。

原因は「爆買い」中国人の存在…「イナゴたちよ、歓迎されていない」

 今回の事態の背景にあるのは、「パラレルトレード」と呼ばれ、香港で「爆買い」した日用品や免税品を、中国本土に持ち帰り、地元の市場に転売する中国人の群衆の存在だ。

 というのも、実刑判決を下された女性は、こうした中国人の節操のない買いっぷりへの抗議活動に参加していたからだった。

 「イナゴたち、お前たちは歓迎されていない」

 米CNNはこういう書き出しから始まる記事で、中国の香港での「爆買い」の凄(すさ)まじさを伝えている。

 記事によると、2014年に中国本土から香港への旅行者は実に3100万人で、全体の78%を占める。しかしCNNはすべてが、純粋な観光客というわけではないと指摘する。

 大きなスーツケースを抱えた中国人は食料品や日用品、さらに乳幼児用ミルク、クスリ、宝石類などをとにかく買い漁(あさ)る。不動産の購入者も多い。香港での新規の住宅購入者の40%は本土の中国人だという。

 しかも、日用品の買い占めで商品が品薄になり、価格が高騰し、庶民の生活に影響が出ている。

 中国人の「爆買い」をめぐる騒動は日本でもたびたび起きている。

 神戸市垂水区のホームセンターで8月8日朝、日本製の幼児用紙おむつをめぐって中国人や日本人の客同士による乱闘が起き、警察が出動する騒ぎになった。

 女性の胸は武器かどうか-。判決が巻き起こした影響もさることながら、中国人の「爆買い」がその行為そのものだけでなく、さまざまな形で世界の人々を悩ませていることだけは確かだ。

 

 

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