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後味の悪い話 大の字

2015年05月19日 | 面白画像


私がまだ学生だった2年くらい前のこと。
その頃、無性に海外旅行に行きたい!ということで、その資金調達のため、
早速アルバイトを探すことに。

まだ4月だというのに暑い日が続いてて、
私は汗をかきながら求人雑誌をめくっては電話していた。
ところが、何故かどこもかしこも駄目、駄目駄目。
擦り切れた畳の上に悪態をつきながら大の字に寝転がると、
すぐ横に散らばった雑誌の1つの開いたページが目に入ってきた。
そこには、とある山麓の旅館が宴会係の求人募集しているものだった。
その場所は偶然、日本で私が行ってみたいと思ってたところ。
条件は夏の期間だけのもので時給はあまり高くはないものの、
"住みこみで食事付" というところに強く惹かれた。
ずっとカップメンしか食べてなかったので。
接客は前のバイトで慣れてると思うし、
まかない料理でも手作りのものが食べれて、
しかも良いなと思った場所。
まだ午後3時、今なら丁度いいタイミング。
私はすぐに電話した。

「はい、お電話ありがとうございます。麓○山旅館です」
「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
「はい、少々お待ち下さい.......ザ....ザ....ザザ....い、....そう...だ.....」
旅館の受付の電話の声は若そうな女性だった。
電話の向こう側で低い声の男性(宿の主人でしょうか?)と
小声で会話をしている様子。
私はドキドキしながら正座なんかしちゃったりして、暫く待っていた。
やがて向こう側で受話器を握る気配と共にその男性に代わった。
「はい、お待たせしました。あなたはアルバイト募集の方ですか?」
「はい。雑誌の求人でそちらを知りまして、是非お願いしたいのですが」
「あー、それは、ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。
 いつからこちらに来れますか?」
「いつでも私は構いません」
「それでは、明日からでもお願いしますよ。それでは、お名前は?」
「真崎です」
「真崎さんですね。はやくいらっしゃい....」

とんとん拍子だった。運が良かった。
ちなみに私は電話の用件などを忘れない様に録音していて、
旅館の住所や必要事項などを確認するべく、再度電話内容を再生しました。
住みこみなので持っていくものの中に、
保険証なども必要とのことだったのでメモしておかなくては。
改めてその求人のページを見ると、白黒で旅館の写真が写っていた。
こじんまりとして自然に囲まれた凄く良さそうな場所。
私は急に事が進んだいうこともあってホっとした。
しかし、何か変だ。

 

日はいつの間にかとっぷりと暮れ、
開けっぱなしの窓から湿気の多い生温かい風が入ってきた。
私はカップメンを食べつつ、私は夢想した。
条件は良く、旅費を稼ぎながら、ある意味、旅行も味わえる。
女の子も働いている様だから、
もしかしたらちょっとした出会いもあるかもしれない。
しかし、何か変だ。
ふと、暗い窓ガラスに映る自分の顔を覗くと、
生気が無くなっていることに気がついた。

翌日、私は酷い頭痛に目覚めた。
するとあまりの気持ち悪さに激しく嗚咽してしまった。
風邪だろうか? 私はふらふらしながら歯を磨いた。
歯茎から血が滴った。
鏡で自分の顔を見るとギョッとした。
目の下にくっきりと墨で書いたようなクマが出来ており、顔色は真っ白。
まるで、死人の様。
今日行くのは止めようかなと思ったが、
すでに準備は昨夜のうちに整えているし、
第一、旅館の方々に悪い印象をもたれてしまう。
しかし、どうしよう。気が乗らない。
その時、電話がなった。

「おはようございます。麓○山旅館の者ですが、神尾さんでしょうか?」
「はい。今準備して出るところです」
「わかりました。それにしても、体調が悪いのですか? 失礼ですが、声が....」
「あ....すみません。今起きたばかりでしたので」
「無理はなさらずにいらしてくださいね。
 こちらに到着されたら、まずは当旅館を知っていただくためにも、
 温泉などつかって頂いて構いませんよ。初日はゆっくりとしててください。
 今はそこまで忙しくはありませんので」
「あ....大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
「それでは、お待ちしております。最寄り駅に着きましたら連絡くださいね。
 迎えにいきますから」


私は電話を切り、少しして家を出た。
あんなに親切で優しい電話。ありがたかったな。
しかし、電話を切ってから今度は寒気がしてきた。
玄関のドアを開けると眩暈がした。
「と....とりあえず、旅館まで着けば....」
私はすれ違う人が振りかえるほどフラフラとしながら駅へ向かった。

やがて雨が降り出した。
傘を持ってなかった私は駅まで濡れながらいくことになった。
激しい咳が出る。
「ああ....はやく旅館で休みたい.....」
私はびしょ濡れで駅に辿りつき、切符を買った。
その時、自分の手を見て驚いた。
まるで老人の様にひび割れてカサカサになっている。
雨で濡れたにも関わらず。
「ヤバいな....私は病気か? 旅館まで無事に着ければいいけど.....」
私は手すりに縋る様にして足を支え、何度も休みながら階段を上った。

 

電車が来るまで時間があった。
私はベンチに倒れるように座りこみ、苦しい息をした。
ぜーぜーと声が枯れ、手足が痺れている。
そして波の様に頭痛が押し寄せる。
発作的に酷い咳をすると足元に血が散らばった。
私はハンカチで口を拭った。
吐血している。
私は霞む目でホームを見ていた。
「はやく.....旅館へ.....」
やがて電車が轟音をたてながらホームに滑り込み、ドアが開いた。
乗り降りする人々を見ながら、私はようやく腰を上げた。
腰痛が激しくも、フラフラと乗降口に向かう。
体中が痛む。
取りあえず、この電車に乗れば.....
そして、ドアに手をかけた瞬間、体が外に強く引っ張られた。

ドシンっ!
私はふっ飛ばされホームに転がった。
「やめろ! やめてくれ! 私はあの電車に乗らないといけないんだっ!
りょ、旅館に行けなくなってしまう!」
やがて駅員たちが駆けつけ、私は囲まれた。
電車は行ってしまっていた。
私は立ち上がることも出来ず、人だかりの中心で座りこんでいた。
すると私と同じ歳くらいの男が近寄って呟いた。
「お前まで引かれてた。もっと喝を入れろ。また来るぞ」
そして彼は去っていった。

私は駅員と少し応答をした後、すぐに帰された。
駅を出て仕方なく自分のアパートへ戻ることにした。
すると体の調子が良くなってきた。
声も戻ってきた。
鏡を見ると血色がいい。
私は不思議に思いながらも帰宅した。

 

荷物を下ろし、タバコを吸い、電話の前に座った。
落ち着いた私は、やはり断わろうと旅館に電話をかけた。
すると無感情な軽い音声が帰ってきた。
「現在、この電話番号は使われておりません」
再度かけ直す。
「現在、この電話番号は使われておりません」
私は混乱した。
着信履歴からして、
この番号で今朝、あの旅館から電話がかかってきたのだ。
そういえば...と、私は通話記録を録音していたのを思い出した。
最初まで巻き戻して聴いてみることに。

「ザ....ザザ....はい。ありがとうございます。麓○山旅館です」
あれ? 私は悪寒を感じた。
電話の応対は若い女性だったはずなのに、
声がまるで男性の様な低い声になっている。
「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
「はい、少々お待ち下さい.......ザ....ザ....ザザ....い、....そう...だ.....」
ん?? 向こう側で会話をしていると思ってたけど、
良く聴くと何か変に気がする。
私は巻き戻し、音声を大きくしてみた。
「はい、少々お待ち下さい.......ザ....ザ....ザザ....い、....そう...だ.....」
もう一度、巻き戻す。
「はい、少々お待ち下さい.......ザ....ザ....ザザ...むい、こご...そう...だ.....」
もう一度、巻き戻す。
「.....さむい、こごえそうだ」
良く聴くと子供の声が入っている。
更にその後ろで大勢の呻き声が....
うわぁっ!! 私は咄嗟に電話から離れた。
すると通話記録がそのまま流れた。

「あー、それは、ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。
 いつからこちらに来れますか?」
「いつでも私は構いません」
記憶にある会話。
私は中年くらいの男性と話をしていたはずだ。
しかしそこから流れる声は地面の底から響く様な老人の声だった。
「真崎さんですね。はやくいらっしゃい....」
そこで通話が途切れ、私の体中に冷や汗が流れ落ちた。

暫く私は金縛りにあったかの様に動けなかったが、ようやく落ちついてきた。
すると、そのまま通話記録が流れた。
今朝、掛かってきた電話だ。
しかし、話し声は私だけだった。

「私たちの荷を軽くするための依り代となるがいい」
「はい。今準備して出るところです」
「死ね死ね死ね死ね死ね」
「あ....すみません。今起きたばかりでしたので」
「死ね死ね死ね死ね死ね」
「あ....大丈夫です。お気遣いありがとうございます」


私は電話の電源ごと引き抜いた。
目の前にある、あの求人雑誌を咄嗟に掴み、
震えながらあのページを探した。
すると見つけたものの、あのページは切り離され、床に落ちた。
昨日見た時は他の紙面と同じ風だったのに、
この落ちた紙はシワシワで黄ばみ、何かのシミが大きく広がり、
少し焦げていた。
まるでかなり前の古雑誌の様。
そしてそこに全焼して燃え落ちた旅館写真と記事が掲載されていた。
『死者30数名。台所から出火した模様』
泊まりに来ていた宿泊客たちが逃げ遅れて炎にまかれ焼死。

これって求人情報ではないじゃないか!
するとお札の様にそれが張り付き、一瞬、闇が私を包んだ。

そして、電話がなった。

 

     

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