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世界最大の航空機「Airlander 10」が2015年内にも試験飛行を実施予定

2015年04月10日 | ニュース

世界最大の航空機「Airlander 10」が2015年内にも試験飛行を実施予定

全長92メートル・全高26メートルという巨大な機体を持つ飛行船が「Airlander 10」です。翼の広さを除けば、長さ・幅・高さの全てにおいて現存する全ての飛行機を凌駕する世界最大の航空機となるAirlander 10は、2016年の商用利用開始を目指して開発が進められており、2015年にも試験飛行が行われる予定になっています。

Airlander 10: World’s largest aircraft slowly drifts toward commercial use | Ars Technica
http://arstechnica.com/cars/2015/04/airlander-10-worlds-largest-aircraft-slowly-drifts-towards-commercial-use/

Airlander 10: up close with the gigantic airship the US Army wanted | The Verge
http://www.theverge.com/2014/7/8/5880061/airlander-10-photo-essay

格納庫に保管されているAirlander 10の姿。細長いコッペパンを2つ並べたような形状で、白い表面はつるんとした印象となっています。傍らには、船体のサイドに取り付けられることになるプロペラの姿も見えます。


船体を前方から見るとまるでお尻のような形状。Airlander 10は、その巨大な船体の内部に空気より軽いヘリウムを充填することで浮力を得て浮き上がる飛行船です。


後方に回ると、船体は3つに分かれたような形状になっています。多くの飛行船がそうであるように、Airlander 10も船体の内部にフレームを持っているので、地上で駐機している間もぺっしゃんこになることがありません。


船体の巨大さがよく分かるアングル。写真の左方に置かれたテーブルや照明器具、そして格納庫と見比べると、そのスケール感を感じることができるかも。船体データシート(PDF)によると、Airlander 10の船体寸法は全長92.0m×幅43.5m×高さ26mで、人や貨物を最大で10トンまで搭載できるペイロード能力を持っています。なお、船体の容積は38万立方メートルとなっており、これはいわゆる東京ドーム3分の1個分にも相当するもの。


このAirlander 10は当初、アメリカ軍のためにイギリスのHybrid Air Vehicles(HAV)社らによって開発されていたもの。高い静粛性を持つ飛行船の特性を活かして偵察機「LEMV」(Long Endurance Multi-Intelligence Vehicle:長時間飛行多用途情報収集機材)としての活用が期待されていたのですが、予算の削減のあおりを受けて計画は中止に追い込まれる事態に。そこでHAV社は船体をアメリカ軍から買い取り、イギリスに持ち帰って開発を続けています。

軍用機としての可能性はほぼ消えたAirlander 10ですが、その後は輸送機や高級クルーズ旅客機としての利用を目指して開発が進められているとのこと。以下のムービーでは、軍用機として開発されていたころに飛行実験に成功したAirlander 10の姿を見ることができます。

HAVは、2015年2月にイギリス政府から340万ポンド(約6億円)、3月には欧州委員会から250万ユーロ(約3億2000万円)、そしてクラウドファンディングを通じて60万ポンド(約1億円)という資金の取り付けに成功しており、各方面からも期待が集まっていることをうかがわせる状況となっています。

アメリカからの輸送の際に分解されたためか、操縦席は船体から取り外したまま保管されています。


コクピットは二人乗りにレイアウトされていますが、実際の運用に必要とされるパイロットは1名のみ。必要のない副操縦士用のシートはすぐに移動させることが可能になっているので、広いガラス面積を活かした展望席とすることも可能だそうです。


コクピットの背後には貨物や乗客を載せるためのスペースが広がっており、その容積は40フィートコンテナ1本分とほぼ同じ77.9立方メートル。飛行船の下にコンテナが1本ぶら下がっていると思えば、およそのスケール感を理解できるかも。


船体には4基のプロペラが搭載して推進力を得るようになっています。1基のプロペラごとに350馬力を発生する4.0リッター・V8直噴ターボディーゼルエンジンを搭載し、合計1400馬力のパワーで船体を最高時速80ノット(約148km/h)で飛ばすことが可能です。


船体フレームにはカーボンファイバーが用いられ、軽量化が図られている模様。ヘリウムガスを収める気球の素材にはケブラー繊維が用いられているのですが、これはヨットレースの最高峰である「アメリカスカップ」で使われる帆と同じものが使われており、高い耐久性が考慮されています。浮力を得る気体には不燃性のヘリウムが使われているので、1937年に起こったドイツの飛行船・ヒンデンブルク号のような爆発事故は起こらないとされています。


Airlander 10のような飛行船タイプの機体が持つ最大の特徴は、なんといってもその経済性にあります。同じ量の荷物を運ぶのに必要な燃料は、従来の航空機のおよそ3分の1で済み、太陽光発電パネルを取り付けることでさらにエネルギー効率を上げることも可能。従来にはないレベルのクリーンエネルギー輸送機・旅客機として、また、静粛性の高いクルーズ旅客機としての活用が見込まれています。

軍用機として開発され、その後に旅客機に生まれかわった飛行機としてまず思い浮かぶのは、なんといってもボーイング・747型機、通称「ジャンボジェット」です。B747はその高い搭載能力をフル活用することで飛行機による大量輸送時代を築き、空前の大ヒット機となったわけですが、果たしてAirlander 10も同じように独自の特性を活かして広く使われる日が来るのか、興味深く見守りたいところです。

 


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